保険 アリコ Moon of Samurai バカ漫画レビュー『DAWN』

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バカ漫画レビュー『DAWN』第72話 

 青年層をターゲットにした小学館の漫画雑誌に「ビッグコミックスピリッツ」があります。読者もそろそろ政治や経済について感心を抱きつつある年代なので、掲載されている漫画のラインナップもそれに対応しています。
 そんな中の一つにDAWNという社会派漫画があります。訓みは“どーん”。ワンピースの気の抜けた効果音みたいだ。序盤は金融篇だったらしいのですが(読んでない)、しばらく前から政治篇に突入したとのこと。原作者は倉科遼氏。ぶっちゃけ「夜王」の中の人。
 はいそこ、失笑しない。それさっき俺がやったから。
 とにかくその一事だけで俺の中ではステキ漫画確定。
「プハーッ!! 飲んだぜ!!」
とか
「この有権者陥落(おち)たっ!!」
とか
「それじゃあ“ありがと”コール、行くぞっ!」
「ありがと!」
「これからも!」
「矢作さんを!」
「よろしくね!」

とかやってくれる展開なんだろうなウフフフフと期待に胸を膨らませてページをめくる。
 まるっきり方向性の違うバカ漫画でした(いや、ある意味同じか?)。というか、一ページごとにツッコミどころのある漫画なんて『野望の王国』以来ですよ。

 今回の舞台は北京の迎賓施設、釣魚台。
 まずズラズラと中共の首脳が一コマごとに顔だけ登場。判で押したように右側からのアップのみ。もうちょっと変化つけましょうよ。
 続いて日本側、進歩党のお歴々。こっちは左側からのアップのみ。ギャグですか? なお進歩党は民主党がモデルだそうです(でも捏造メール問題は全力でスルー。したがって党首は据え置き)。
 最後に主人公の矢作、肩書きは“影の内閣”金融・財政相。つまりみんす側。この時点でどーんの底が見えた気がする私はダメダメなんでしょうか?
 あ、あと現実世界だと民主の前原前党首が訪中したとき
「前原代表の訪中は、日中関係にとって無益」
とか言われちゃってますけど。胡錦濤国家主席との会談に至ってはドタキャンされる始末ですし。

 実務会議。進歩党が招待されたのは冷え切った両国の関係を打開するためのこと。靖国問題で騒いでいるのはどこのどなたでしたっけ? 100パーセント日本の与党が悪いと思っていなければこんなことは言えませんよ。さて、進歩党の訪中には主人公・矢作の「提案書」が大きかったとのこと。また日本の国益を売り飛ばすつもりらしい。

 これからの地球のためとか環境破壊とかエネルギー問題とか言い出す矢作。こやつの脳ミソは三十年前から立ち腐れているようだ。アニメ版ナウシカを聖典にしていそうでキモいが、コミック版の結末やもののけ姫も観たほうがいいぞ。あ、あと矢作が挙げた問題で一番やっかいなのが目の前の国だということはスルーかい。そーかい。
 で、この点については地球規模で取り組む必要があるのに、世界は自国のことだけを考えて、石油をめぐって領土争いをしていると。まったくの同感です。他でもない中国サマが尖閣諸島の領土権を主張していますからね〜。
 尖閣諸島問題についてちょっと説明。1969年から70年にかけて、国連が海洋調査を行いました。結果、推定1095億バレルという莫大な石油が埋蔵されていると報告されました(後の調査では下方修正されましたが)。ちなみにイラクの推定原油埋蔵量は1125億バレルです。で、翌年の中共の地図には尖閣諸島が領土に加えられていましたとさ。ちゃんちゃん。
 補足として、中共だけではなく台湾も尖閣諸島の領有権を主張しています。しかし台湾団結連盟(台連)の李登輝前総統のような人たちは、そんな主張の撤廃を呼びかけています(代わりに漁業権を獲得しろとは言っていますが)。もちろん中共にはそんな意見は存在しません。台湾は民主主義国家ですが、中共は自国民に言論の自由なんて認めていませんから。後、李登輝氏ですが、男塾の江田島塾長のコスプレをかました前歴があります。
 そうそう、中共では尖閣諸島を釣魚台と呼んでいます。偶然ですが今回のどーんの舞台と同じ名前です。きっと中共の首脳は
「この馬鹿、自分が立っている場所の名前に気づいてねぇー!!」
とか思っているのでしょう。さぞかし居心地が悪いでしょうね。

 そして京都議定書からのアメリカの脱退を批判。どこぞの国が途上国扱いなのをいいことになんの義務も負わず、温室効果ガスや二酸化炭素の有数の排出国になっているのは構わないんですか? そろそろいい加減にしたほうがいいと思いますよ。
 で、矢作の解釈によれば中国はアメリカのグローバリズムに乗らなかったそうです。中国のアメリカへのロビー活動についてこいつは……いちいちツッコムのもそろそろ疲れてきました。

 メタンハイドレード。この次世代エネルギーの生産・実用化技術を開発するためのファンドが“DAWNファンド”だということです。はー、さよけ(棒読み)。なお最大の出資者はアラブの国王や財閥。石油が枯渇した未来を想定しての先行投資らしい。しかし出資者の方々にとって眩暈がすることに矢作はこのプロジェクトに中国を参加させる始末。
 日米欧に較べて圧倒的に技術力が立ち遅れた中国を参加させる!? 正気ですか?
 世界は繋がっているから、とかなんとか矢作は書生論をぶちますがそれとこれとは話が別です。出資者からすれば最低の投資で最高の成果が欲しいもの。だとすれば中国などとは結ばずにアメリカやEUと提携させたがるはずです。最悪の場合、矢作のアジア重視のスタンスはDAWNファンドの崩壊を招きます。欧米に出資したほうがマシだと判断するはずですから。今まで欧米に石油を搾取され続けてきたからそんなはずはないとでも矢作は思っていそうですけど。
 さらに矢作の暴走は止まりません。
 中国の砂漠化を食い止めるための緑化プロジェクト。
 環境汚染を食い止めるためのプロジェクト。
 常に不足する水を供給する淡水化プロジェクト。
 これらの実現のためにアジア諸国の銀行による国際シンジケートローンを組成して行うつもりです!!
 もういい。もういいから中国の有害廃棄物で奇形化した魚食って死んでくれ。こんなの。
 えーと、アレですよね。中国の経済発展による環境破壊、その尻拭いをアジア諸国にやらせるわけですよね。中華思想によるアジア册封体制でも復活させるつもりか。言っとくけど、册封体制で経済的に損をしていたのは中華帝国のほうだぞ。
 あとアジア諸国の銀行とか言ってますけど、もし実現すれば(悪夢ですが)その負担は大部分が日本にしわ寄せされるでしょう。日本以外のアジアのほとんどが途上国で、経済力の規模が違いすぎますから。国民の金を外国に渡し、それを贖罪だと悦に浸るのがそんなに好きですか?
 この漫画のタイトル“DAWN”、どうやら映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』の略だったようです。
(ゾンビ映画の代表作。絶望的に救いのないラストが最高)

 おまけ:二文でわかるどーん。
「おれはアメリカべったりをやめるぞ! 大城(現在の首相、矢作の敵役)――っ!! おれは欧米を超越するッ!」
「さすが矢作! アジア重視なんておれたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる! あこがれるゥ!」


 おまけのおまけ。矢作を招待した中国首脳のコメント。
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