保険 アリコ Moon of Samurai 皇国の守護者

皇国の守護者 登場人物(皇国) 

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 独立捜索剣虎兵第11大隊長、新城直衛太尉(野戦任官)。
 すばらしく根性のねじくれたヤン・ウェンリー。うだつの上がらない中尉が戦場での功績で英雄とされ、少佐に昇進する(漫画ではまだ描かれていないが)。「あなたには幕僚は必要ありませんな」と主席参謀に鼻白まれる。
 兵科は剣虎兵(サーベルタイガース)なので、名前は阪神タイガースの新庄剛志選手から採ったのであろう。


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 第11大隊第二中隊長、若菜太尉。玉砕したリンチ少将か? 単に佐藤大輔氏が大嫌いな“無能な働き者”として登場しただけなのかもしれない。
 名前は阪神タイガースの若菜嘉晴選手からのものと思われる。


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 金森二等導術兵。ソフトバンク打撃コーチの金森栄治氏からか。


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 第二中隊最先任下士官、猪口曹長。現在シカゴ・ホワイトソックスで活躍中の井口資仁選手にちなむ。と思ったら井口選手はダイエーホークスに所属していた。

 新城の後輩の西田少尉、元第11大隊長の伊藤少佐、漆原・兵藤・妹尾の三少尉については不明。原作小説の初版が1998年なので古参のタイガースファンではない俺には調査は困難。単純に阪神タイガースの選手とは全く関係のない命名法則によるものという可能性も否定しきれない。


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 剣牙虎。学名マダラオオキバネコ。皇国陸軍に採用され、剣虎兵として編成される。
 第11大隊、そして後に新城が率いることになる近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊のモデルはどちらも兵科が戦車兵である。そのため剣牙虎は現実世界の戦車の代用として設定されたものであろう。
 剣牙虎の分類である主力戦闘獣(メイン・バトル・ビースト)という呼称はもちろん主力戦闘戦車(メイン・バトル・タンク)からのもじり、というよりもたぶん冗談。


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 天龍・坂東一之丞。剣虎兵が阪神タイガースとすれば、龍は中日ドラゴンズであろう。その流れで理解すれば、一之丞の名は坂東英二氏を由来としているのであろう。
 なお漫画には未登場の一之丞の父親、坂東小吉はその八方破れなべらんめえ口調から勝小吉(勝海舟の父親)と知れる。

  


皇国の守護者 独立捜索剣虎兵第11大隊 

 大隊長の戦死に伴い、新城直衛が率いることになった第11大隊について。モデルは大日本帝国陸軍戦車第11連隊であろう。

 1945年8月18日午前2時ごろ、占守島の北端に設置された監視哨から「竹田浜に敵上陸開始。兵力数千人」との報告がもたらされた。それはソ連軍第101狙撃師団による強襲上陸であった。
 当時の日本はすでにポツダム宣言を受諾していた。第91師団の隷下にあった第11連隊もまた武装解除に備えて戦車砲や弾薬の信管を取り外す作業にかかっていた。
 彼らは知る由もなかったが、終戦の翌日にソ連書記長スターリンは米大統領トルーマンに対して釧路市と留萌市を結ぶ線から北の地域をソ連が占領することを主張していた。半年前に締結されたヤルタ協定はソ連の南樺太・千島列島の領有を認める内容であったが、スターリンはさらに北海道の北半分を要求したのである。それはオホーツク海をソ連の内海とし、宗谷海峡を押さえて太平洋の入り口を確保するのが目的であった。
 午前2時30分、戦車第11連隊長池田末男大佐は第91師団長堤中将より攻撃命令を受領した。第11連隊はただちに非常召集をかけ、午前3時20分までに終結した戦車約40両を以って連隊長車を先頭に急進した。午前6時20分ごろ、四嶺山南麓の台地に進出し、すでに山を越えていたソ連軍1個中隊を突破して山頂に至ることを決意した。
 午前6時50分、「連隊はこれより敵中に突撃せんとす。祖国の弥栄を祈る」と師団・旅団の両司令部に決別通信を打電、敵を撃破して午前7時30分ごろには山頂に到達した。午前7時50分、池田連隊長は攻撃前進を命じた。
 濃霧の中、歩兵を随伴しない第11連隊は対物ライフルや対戦車砲に悩まされながらも戦い続けた。擱座した戦車の乗員は肉弾戦に突入した。
 連隊の被害は池田大佐以下96名が戦死し、戦場に投入された戦車の約半数の21両が撃破された。しかし第四中隊長の伊藤大尉が連隊の指揮を執って戦闘を続行した。そして彼らの活躍によってソ連軍の戦線は縮小を余儀なくされ、敵軍は100以上の戦死体を遺棄して退却を始めた。
 その後も各地で戦闘が行われたがやがて停戦交渉が成立し、8月21日の午後に堤中将とソ連軍司令官グネチコ少将が会同して降伏文書の正式調印が行われた。占守島における最終的な損害は日本軍の約600人に対してソ連軍は約3000人であった(諸説あり。ソ連の発表によれば日本軍1018名、ソ連軍1567名)。ソ連の機関紙イズヴェスチャは
「占守島の戦いは、満州、朝鮮における戦闘よりはるかに損害は甚大であった。8月19日はソ連の悲しみの日である」
と述べた。スターリンは他の連合国が介入する前に北海道を占領する計画であったが、第一歩の占守島で予想外に手間取ったために北海道を諦めざるを得なくなった。第11連隊を始めとする日本軍将兵の活躍によってソ連軍の北海道侵攻は阻止されたのである。
 なおスターリンは初め捕虜のソ連領移送は行わないと発表していたが、北海道占領を断念した翌日には日本軍捕虜50万人のシベリア移送の極秘命令を出している。むろんその中には占守島守備隊の全将兵も含まれていた。その最後の兵が日本の土を踏んだのは昭和三十一年であった。
 これは余談だが、第11連隊の通称は士魂部隊といった(十と一とを併せて士とした)。四嶺山の戦闘では歌いながら戦い続けた。実は第11連隊は『皇国の守護者』だけではなく『ガンパレード:マーチ』にも影響を与えていたのである。

  


皇国の守護者 第24話 

「第11大隊、前へ」
 ほぼ同数の騎兵を前に、新城は方陣を組みもせずに銃兵の突撃を敢行する。瞬間、バルクホルンは相手の意図を測りかねるが、それを勇気で捻じ伏せる。
 両軍が衝突しようとするまさにそのとき、新城は剣牙虎に咆哮を上げさせる。馬はその巨躯に似合わず臆病な生物である。肉食獣の脅威を浴びた帝国軍馬はあるいは怯え、あるいは棒立ちになり、あるいは騎兵を振り落とす。
 その混乱に乗じて新城は敵の脇を駆け抜けようとする。目的地は前方の森。遮蔽物を利用すれば騎兵の突撃は封じられ、射撃の勝負になれば銃兵に分がある。懸案事項は相手の指揮官である。もし有能であれば全力を以って阻止しようとするだろう。
 そしてバルクホルンは有能な指揮官だった。収拾の付かない兵を切り離し、わずか三十騎を率いて第11大隊の逃走経路を遮断しようとする。その意図を悟り、新城は千早一頭を引き連れて捨て石になることを決める。“戦友の命を救う目的以外の戦闘を禁ずる”という、かつて自分が下した命令に従って。そして新城に反感を抱いていた漆原もまた、その命令に従って新城の命を救おうとする。
 人と猫と馬の激戦の中、両雄の対峙。バルクホルンは宣言する。
「終わらせてやる。
 貴様の戦争をここで終わらせてやる」




 前回に増して話の展開が遅い。というわけで『皇国の守護者』に仕込まれた小ネタについて説明していく。

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 新城が発砲しているのは皇国軍騎銃・蓬羽五九年式前装騎兵銃である。蓬羽の音はHowaなので、おそらく豊和工業株式会社をもじっているのであろう。
 1907年、豊田佐吉によってトヨタ自動車の前身である豊田式織機株式会社が創業される。後に昭和重工株式会社が設立され、五年後に合併。社名から一字ずつ採って豊和重工業株式会社と改称した。
 同社は工作機械や特殊車両のほか、自動小銃や迫撃砲のような自衛隊の装備も製造している。陸上自衛隊の正式装備の64式自動小銃89式自動小銃は豊和工業の手によるものである。

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 こちらは皇国軍施条銃・存坂六四年式施条銃/先行量産型。存坂は十中八九、有坂を参考にしているのであろう。
 有坂成章。初の国産小銃として名高い村田銃の開発者・村田経芳と並び称される銃砲開発者である。周防岩国藩の砲術家の子として生まれ、陸軍に入る。明治三十年に三十年式歩兵銃の開発に成功し、本邦最初の陸軍正式小銃として採用された(村田銃は正式ではない)。また翌年には三十一年式速射砲を誕生させ、「有坂砲」の通称で日露戦争を戦い抜いた。特に三十年式歩兵銃は世界に先駆けて6.5ミリ弾の使用に成功するなど、世界の最先端の位置にあった。その高性能のために、海外の旧日本軍火気のコレクターは明治三十年以降の日本製の小銃をひっくるめてアリサカ・ライフルと総称しているほどである。
 また有坂本人の功績として、沿岸警備用に配備された二十八サンチ榴弾砲を二〇三高地の攻略に投入すべきだと具申したことが挙げられる。
 有坂成章の活躍についてはこちらこちらを参照されたし。

 「日露戦争は三十年式歩兵銃と有坂砲によって勝利した」という極論さえあるが、それほど高い性能を誇っていたことは論を待たない。新城は存坂六四年式施条銃を手に、帝国から祖国を守り通すことができるだろうか。

  


皇国の守護者 第23話 

 バルクホルンの背中から始まる今回。付近で戦闘が行われているのに銃声も鯨波も聞こえない。疑念を抱く彼に語りかけるアンリ・ロボフ軍曹。
 全幅の信頼をおく軍曹とともに、バルクホルンは自分が撃破すべき敵――新城直衛が率いる部隊について理解する。その士気は高く、しかも勢いを得ていることを。対する自分の騎兵中隊は半数が落伍し、百騎を数えるばかり。そのような状況でなお彼は抜刀突撃を決意する。
 騎兵たるの条件は勇気と果断さ。バルクホルンはまさしく騎兵だった。

 新城もまた窮地に立たされていた。バルクホルンは知る由もなかったが、新城が率いていた兵たちの大半は寄せ集めの敗残兵――しかも予備兵に過ぎなかったのだ。そしてなにより、彼らは銃兵(正確に言えば剣虎兵だが)だった。
 およそ銃兵・砲兵・騎兵はジャンケンのような三すくみの関係にある。すなわち銃兵は砲兵に強く、砲兵は騎兵に強く、そして騎兵は銃兵に強い。総員は九十三名、数の優位はない。そして単純な意味での撤退もまた不可能。相手との距離は近すぎ、なにより速さで二本足が四本足に敵うべくもない。
 そして新城もまた決意する。破滅を回避するたった一つの地獄への進撃を。関ケ原における島津軍のように。
「僕らは撤退する。敵騎兵の中央を突き破りその後方へ。
 どうだ? 孫の代まで語りぐさ。
 まるで諸将時代の軍記物語だ」

 そして激突。二人の指揮官、彼らの運命はいかに。


 最後に。このレビューを書くに当たって原作小説を再読し、愕然とした。
 数えて六ページ分しか話が進んでねェー!!

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