Wizardryのごとく! 第十六話
「結局、聖なる鎧と村正を有効活用するためにヒナギクさんとマリアさんに転職してもらうことにしました」
「あれ? 年齢が22歳だけど、計算が違うんじゃない?」
「いえ。前回も言及したように、私たちは何回か死にましたからね。Wizardryだと生き返らせたときに年齢が上がる場合もあるんです」
「何だかちょっと損した気分ね。……って、どうしたのハヤテ君?」
(……ぽ〜っ)
「あらあら〜、どうしたのかな〜? 二十代に成長して大人の色気を身にまとった私にメロメロになっちゃったのかしら?」
「ごふっ!!」
「ふふ〜ん、私のことなんて意識してなかったんじゃないのかな〜?」
「あ、いえ、その、ですね。元々ヒナギクさんは性別を超えた意味でかっこいいし綺麗だから僕もそれほど意識せずに済んだんですけど今は女性の丸みと年上の余裕を兼ね備えているから見る目も違って来てしまうって僕は何を口走っているんですか!」
「そ、そんなふうに言われると、……こっちまで照れちゃうじゃない……」
「オフェンシブツンは諸刃の剣。カウンターによるダメージは三倍付け(当社比)です。もちろん心はデレなので、今回のように切り替えされると確実に甘々な雰囲気が周囲に漂うことになるのです」
「(ハッ! 確かにハヤテ君は大人っぽい女性に弱い!)こうなったら私もパーティーのために転職しようかな!」
「いえ西沢さん、盗賊は代わりが効かないからそのままでいてください」
「はうう!」
「もしもし、ハヤテ君。私を見て何か感想はありませんか?」
「えーっと……お嬢さまが帰ってこないうちにちゃんと転職していたほうがいいですよマリアさん」
「あなたの目は節穴ですかっ! ちゃんと年齢が21歳になっているでしょう!」
「あ、ホントだ。すいませんマリアさん、あまりにも外見が変わらなかったもので、つい」
「ついじゃありません、ついじゃ!」
「やっぱり数字の上では変化があっても、実際は実年齢に近づいただけだから本質的には何も変わらないってことなんでしょうか」
「はぐぁっ!」
「ただいま〜。っと、マリアとハムスターはなぜ落ち込んでいるのだ?」
「それが僕にもさっぱり……」
「ハヤテ君の鈍感さは犯罪ですっ!」
「転職したてのマリアとヒナギクはどちらもレベル1だから、経験値稼ぎにコンビを組ませてマーフィーズゴーストと戦わせることにした」
「え? でもレベル1の侍でもワードナは倒せるんじゃないですか」
「いやそれ『隣り合わせの灰と青春』の読みすぎだ」
「Wizardryの、というよりもゲームノベライズの伝説的作品はさておき。二人だとやっぱり不安じゃないでしょうか」
「なに。二人とも武装度は同じだし、どちらも三種の神器を装備しているからな。正直、地下一階ではどうやったら全滅できるか想像もつかん」
「でも村正って、海外でも有名なんですね」
「ああ。たまに綴りを間違ってMURASAMA BLADEなどと書かれてしまうがな。やっぱりアメリカ人に日本語の発音は理解しにくいらしい。あちらのRPGでは忍者もけっこう活躍しているが、肝心の手裏剣がSHURIKINとかSHURIKENTAとか笑わせてくれるアイテムに変貌していることもある」
「そのへんは日本人も、和製英語とかがあるから偉そうなことは言えないけどね」
「でも村正って、なんで妖刀として知られているんでしょうか」
「徳川家に仇なす刀だからさ。徳川家康の祖父の清康と父の広忠はどちらも家臣によって斬り殺されたが、そのときに使用されたのが村正だった。家康の長男の信康が謀反の疑いで切腹させられることになったが、このとき介錯に使われた刀もまた村正だった。家康本人も村正に傷付けられたことがある。後に三男の秀忠が小刀で爪を切っていたとき、謝って指を怪我したことがある。それを聞いた家康は“その小刀も村正じゃないのか”と冗談を飛ばしたが、調べてみると本当に村正だった。さすがの東照大権現も薄気味が悪くなり、村正は公にも忌避されるようになったというわけだ」
「なるほど……さすがお嬢さま、博識ですね」
「はっはっは、いやなに。メインヒロインとして当然のことをしたまでだ」
「ちょっと日本語がヘンじゃないかな」
「さて妖刀として忌み嫌われることになった村正だが、捨てる神あれば拾う神あり。徳川幕府に転覆させようと企む反体制の闘士、具体的に言えば真田幸村や由井正雪、幕末の勤皇志士たちは好んで村正を佩いたのだ」
「ははあ」
「さて知名度としてはトップクラスの村正だが、日本刀の番付から言えばそれほどランクの高い刀ではなかったりする。と言うのも村正は数代(三代説と七代説がある)に渡って伊勢桑名で刀を鍛えた刀匠であり、言ってみれば村正の刀はブランド品だからだ。たまに正宗と並び称されたりもするが、はっきり言って格が違う。なにせ正宗の代表作は大抵が国宝か御物だ。なお村正が正宗に師事したという俗説があるが、もちろん嘘だ。五郎入道正宗は鎌倉末期に活躍した刀匠で、文亀元年に初めて銘が確認される初代村正とは200年近い開きがあるからな」
- [2006/08/06 23:03]
- Wizardryのごとく! |
- トラックバック(1) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
- ≪MARIA-マリア-
- | HOME |
- 漫画ナツ100≫
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://samuraimoon.blog67.fc2.com/tb.php/99-532c03ef
ビッダーズオークション(新刀上作・初代越後守包貞)
出品中商品説明 『新刀上作・初代越後守包貞』日刀保の保存鑑定書☆拵付き摂州藤原包貞は初代越後守包貞の初期銘新刀上作地鉄は小板目刃紋は互の目乱茎はうぶで目穴は一つ※鍛え割れ・ヒケ有り(写真参照)昭和27年の大名登録長さ:二尺一寸二分五厘反り:三分強目くぎ穴:
- | HOME |





コメントの投稿