今週のジャンプ一コマレビュー 2017年12号
・『ポロの留学記』
最強の力をもつ男が、戦いばかりの人生に嫌気がさし、平和で充実した生活を送るため、日本の学校にやってきた!
『青春兵器ナンバーワン』の説明ではありません。今週号の新連載のことです。作者が自覚してのことかどうかは知らないけれどずいぶんとにかよった設定をもってきたものです。いまのところ『青春』は短期打切りを回避し、個性的なキャラを用意できているので、おなじ路線であらそっても勝ちめはうすいでしょう。しかしもしこれが作者の意向によるものではなく編集部の要請によるものだとしたら、おそるべきはジャンプ蠱毒……
主人公は腐女子に媚びたようなショタ百面相が不快度MAXだったし、主人公が人間界でできた友だちは左門くんとこの九頭竜くんのクズっぷりを脱臭漂泊したスカみたいなキャラだったし、主人公に戦いをいどむポンコツコンビがどちらも上半身ハダカでこれまた腐女子票をあてこんだような見てくれをしていたし、読んでいて苦痛になるようなポイントも多かったけれど、見るべき点がなかったわけでもありません。主人公が魔界の王子として生れた運命をうけいれて一年後の登極までに人間界のよいところをノートに書いてゆこうとするところは前向きでよかったし、新人にしては絵がうまいほうだし、あと金未来杯の読切りみたいに男が女々しくポロポロ泣いて読者に感動の押売りをするようなところがなかったのが個人的に歓迎できました。あとはカラー扉絵の左のはしのヒロインらしき悪魔っ娘がどんなキャラかがこの漫画の生死をにぎることでしょう。
・『青春兵器ナンバーワン』
で、現時点では新連載の上位互換というべき漫画では主人公が体操着ドロボウをはたらいていました。すごーい! きみは体操着ドロが得意なフレンズなんだね!
しかしもつべきものは友だちで、これは濡衣だと零一をかばうクラスメイトのおかげで糾弾会は棚上げとなり、真犯人をもとめてクラスの人気者トリオ+オマケが尽力するものの、調査をすすめればすすめるほど零一にとっては不利になるばかり。はたして体操着ドロの正体やいかに?
「アレは零一様であって零一様でないもの……
零一様が普段抑え込んでいる邪悪な意志……それがあり余る零一様のエネルギーを借りて実体化し、零一様と同じ姿となり一人歩きしたもの!
邪悪な欲望の権化となったもう一人の零一様……
“零一オルタナティブ”!!」
「結局犯人零一じゃねーか!!!!」
やっぱりきみは体操着ドロが得意なフレンズなんだね!
・『U19』
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';.:l|.:l:..:.l.:.:.:.ii、l:| `  ̄ ` ̄ .l:|.:.:l.:l.:.l:| うわぁ 気持ち悪い
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l.:l.:.:l.:.l.:.:.:.ii ヽ " / l.:.:.l:/:/ i!
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ヽ;l\':.:.ii:::\ 、_丿 /::/:.//'ヽ
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幼なじみヒロインの眠れる才能がみとめられ、家族の助けにもなるからとランクの高い学校へうつるときめたのに、主人公は相手の家庭の幸せをかえりみることなく、ちいさなころの約束をもちだしてヒロインを底辺学校にひきとめようとし、いいかげん教師にあきれられて拳銃で撃たれました。イヤミな説明をすればこういう中身の第二話でした。
いやまあ作者が主人公を是とし大人や教育者を否としたいのはわかりますよ。そういう雰囲気だけは漫画にも描かれていました。しかしほかはてんでダメ。現状この漫画の世界がデストピアというほど悪い社会とも思えず、またヒロインの転校が客観的にみてどれほど悲劇的なのかもわからないため、主人公が自分のことしか考えていないように見えてしかたがありません。しかもヒロインをひきとめる理由が子どものころに結婚の約束をしたというものなのだから恋愛脳にもほどがあります。これがちいさな女の子のいうことなら同情もできたのだけれど主人公は思春期のボウズなのだから救えません。女々しい。女の腐ったようなやつです。
そもそもこういうばあい、ヒロインは主人公とはなれたくないから転校をしぶるけれど、主人公は顔で笑って心で泣いてヒロインをおくりだし、人目につかないところで落胆しているところ、ヒロインが実は○○○で×××(なんでもいいからとにかく悲惨なこと)になると教師どもが陰で話しているのを聞いてしまい、あわてて追いかけてヒロインを救いだそうとするところで撃たれる、というのが安直ながらもベターな展開ではないでしょうか。
正直なところここまで作者がひとりよがりで読者への説明の手間をめんどうくさがるような漫画が長続きするとはとうてい思えません。だからせめて読んでて不快なクソ漫画ではなく『デモンズプラン』みたいに読んでて愉快なクソ漫画に昇格することを天に祈ります。
・『火ノ丸相撲』
チヒロと旧知の仲の栄大選手はチヒロに大いに嫌われていました。しかしそれも納得です。見るからに大ざっぱでデリカシーがなさそうでナチュラルに自分のことしか考えてなさそうなところがチヒロにそっくりなので。人それを同族嫌悪という。
「相撲ってのは“大きく”“重く”なきゃいけねぇのさ。
お前らも決勝でそれを痛感する事になるだろうよ」
_,,;' '" '' ゛''" ゛' ';;,,
(rヽ,;''"""''゛゛゛'';, ノr)
,;'゛ i _ 、_ iヽ゛';, お前それジュズマルドンのまえでも
,;'" ''| ヽ・〉 〈・ノ |゙゛ `';, 同じ事言えんの?
,;'' "| ▼ |゙゛ `';,
,;'' ヽ_人_ / ,;'_
/シ、 ヽ⌒⌒ / リ \
| "r,, `"'''゙´ ,,ミ゛ |
| リ、 ,リ |
| i ゛r、ノ,,r" i _|
| `ー――----┴ ⌒´ )
(ヽ ______ ,, _´)
(_⌒ ______ ,, ィ
丁 |
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・『鬼滅の刃』
しのぶさんは今日も美しい。きっと明日も美しいぞ。それがこんなに顔を近づけているのだからそりゃ炭治郎も赤面します。年下の男の子の心をもてあそぶ魔性の女……
ところがどっこい炭治郎も負けてはいません。しのぶさんの心の奥底を的確についてきました。
しのぶさんの笑みはつくりものでした。その笑顔を好きだといってくれた姉のために絶やさないでいるのです。その姉は鬼に殺され、しかし今わの際でなお鬼を哀れんでいました。しのぶさんは姉の遺志をつごうと決心したけれど、鬼への怒りと憎しみは体の奥深いところにつのるばかりです。
鬼を救おうとする意志と、鬼を殺したいという感情がせめぎあい、いまのサイコパスみたいな……もとい形容しがたい性格になったわけです。例の姉鬼にモズグズさまみたいなことを言ったのも、相手が保身のために嘘をつく姿を見て内心ブチ切れていたんでしょうね。
ちびっこトリオのアドバイスにしたがって全集中の呼吸が長くできるようになり、そのかいあってカナヲとのおいかけっこや薬湯かけっこにも勝てるようになりました。漫画のなかでは二十五日経過しているけれど読者としては一話だけのことなのでレベルアップが早すぎないかとも思ったけれど、よくみたらカナヲは訓練中に汗ひとつかいていないので、なんだかんだで地力の差はまだまだあるのでしょう。このあたりはいいバランスです。
そして女の子らとキャッキャウフフする炭治郎を見て今さらながらにあせりだすヘタレと猪でした。つーかおまえら今の今までふて寝してたり遊びほうけていたりしたんかい。とはいえ伊之助は単純な男なので、あきらめるのも早いけど立ちなおるのも早く、陰でこっそり訓練していたけれど我流の悲しさで成果があがらず、そこへ炭治郎が急激に力をつけたのを見てケツに火がつく思いがした、という可能性も捨てきれません。
いっぽう善逸は……善逸だからなあ。
・『歪のアマルガム』
俺にとってこの作品はアメンボみたいな漫画でした。『三ツ首コンドル』は序盤こそダメのダメダメなダメ漫画だったけれど、尻上りにおもしろさが加速してゆき、マイナスの底から急速に浮上していったところで打切られました。その急成長への期待度を加味して、新連載は天までかけあがってくれるかと思っていたのに、実際にはつまらなくもないけれどとりたてておもしろくもない平凡な漫画、ゼロの水面を浮ぶアメンボでしかなかったのです。
ともあれ石山先生おつかれさまでした。うえではだいぶ酷評したけれど今作も『三ツ首コンドル』とおなじように終盤の展開は決して悪くはなかったので、最後のチャンスの三番目の連載では全四話のつもりで序盤に全力投球したらいかがでしょうか。正直なところだしおしみしていられる身分でもないでしょう。五話目からは泥縄式に話をひねりだせばいいんですよ。『北斗の拳』なんかなにもかも見切り発車ではじめてアトヅケにつぐアトヅケだったのにジャンプを代表する漫画のひとつにまでなったんですから。
・『デモンズプラン』
全十二話。絵に描いたようなクソ漫画でした。いや実際に絵に描いたクソ漫画なのですが。しかし『U19』のところにも書いたように読んでいて実に愉快でした。ページをめくるたびにワザとやってんじゃねえかと疑念がきざすほどにわかりやすいツッコミどころが出てくるのがすばらしかった。
岡本先生これまでありがとうございました。最後に2chのスレの作品愛にみちたAAを貼って擱筆といたします。
通 んぁ…へへ… ゾッ カルーアミルクお願い ――っっしゃあぁああ゛ぁ!!!
は 対戦車砲撃GH-3 んぁ…へへ… 頭にウジでもわいてるの? んぁ…
塩 んぁ? キライを通り越してヘドが出そう ダ へへっおっぱいっ へへ…
塩最高 きったね――分別分別っ ダ 深淵を覗く者はまた――…と申しますでしょう
そこのあんた情報屋か!? 夢みる時間は終わり ダ 本当に… バリ堅のカサブタみたいな
ええそうよ私が情報屋 くそお世話になりました!!! ダ パ 悪魔になんかなりてぇのかよ
いい一品 さっきはすまねぇ ダ ァ 872÷4=184 ジャコン
おっと言いすぎましたか? ヌ _∠フ-、_ ト 性だね♪ やめろぉぉオオ゛オおおお
最終的にたどり着くのは塩 ォ `ー‐、`ー(_∧ ロ んぁ…へへ… 万死以外あるか!!
パトロンジョーク . _ r 、 ペ ッ (二′ ヽ 丶 ォ くわっ ありえねぇんだよ
「欲」から「慾」に Lハ_l-r、 ラ  ̄\ \ ン おれが守ってやる ムキー
普通は塩 (_) У _,. / ̄ ̄ ̄\-─-─| ヽ ヽ なんだこの落ちついた目は――…
シンプルに塩 () ┬'´\/二 /. \ / \ ー l ー } こいつ自分の状況が分かってんのか!?
やばいわね… { ./ <●> <●> \-、>-‐ ' 簡単に殺してもらえると思うなよ
俺は現実主義だ \ ,. -| (__人__) |_ 御託はいらねぇかかってこい!!!
俺ら結構顔広いぜ ペ / \ `ー´ / \ ペ おおおおおお!! オオオオオ!!
ダッハハハハ ラ/ 、__\_>-、 _ .-‐- 、 l ラ ほらはやく復唱しなさい んぁ…へへ…
最高のジョークですね ヽ ) r'´ `ー' -一' Y 馬鹿が夢見た金で喰う飯が儂は一番好きだからの
わりぃ忘れてた `ー‐- 、_ノ‐┤ __ノ お礼がしたいので家にいらしてください
C-ってとこかな `ー-/ ̄ ̄ おいしかとすんなよ
おれたちにもぜってぇハッピーエンドがやってくる
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- [2017/02/26 00:55]
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尾田っちも出し惜しみするなって言ってたね
AAのんぁへへ率w
この金髪デブの物言いには少しムカついたけど直ぐ下のAAを見て溜飲が下がった
善逸は毒の進行を遅らせようとしていた時にずっと呼吸し続けてたので
実は寝てるときなら今の炭次郎と同じ事が出来るという……
アマルガムの作者みたいに最初から出し惜しみしなければ希望がある人ならいいけど
最初から出涸らし状態だったころのブリーチに遠く及ばないような連載も星の数ほどあったわけで・・・
短期打ち切り回避・・したのか?
後まだ3つくらい入ってくるしどうなるかまだわからなくね?
鬼滅はともかく青春はまだ気が抜けませんね
思うんだけどU19といい、最近堀越公平の画風や作風"ばかり"に影響受けまくった作品多過ぎない?
・ポロの留学記
ショタっぽい主人公を始めとした絵柄が受け入れられるかどうかが鍵ですね。
設定的には、順位が若干安定してきた“青春”とダダかぶりなので、+αの武器が必要。
・青春
安定してきたとは言え、打ち切りになった前作と比べて、明確に良くなってるとも言い難い気がするし、
似たような設定の新連載が出てきたので正念場ですね。
・U19
読者とキャラ(=作者)の間に、ものすごく温度差が生まれやすい作り方をしてる印象です。
読者が、キャラに魅力を感じたり、作品に没入・共感を感じたりしていない中で、
キャラ(=作者)が突っ走って熱血しても置いてけぼりになってしまいます。
・歪のアマルガム
打ち切りになった前作が、第一印象ドン底から始まり、最後に盛り返したことから、
今回の連載に期待する声があったと思いますが、結局再び打ち切りに。とは言え個人的には妥当です。
確かにより可愛い女の子が描けるなど、前作から目に見えてレベルアップしてますが、
打ち切られる要因で、致命的なのはキャラに魅力が欠けていたことと、話の展開が進むのが遅かったこと。
ダークな作風だったから、難しいのかもしれませんが、せめてもう少し早くエンジンがかかっていれば…。
・デモンズプラン
だめな部分・雑さが色々目についた作品でした。第1話での主人公の
「ハッピーエンドを目指そう」というふわっとした感じが、印象として良くなかったです。
「海賊王に俺はなる」とか「火影になる」みたいな具体性も何もなかったので、
キャラが何を目的・原動力としてるのかがわかりにくかったです。
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