Wizardryのごとく! 第七話
「さて。そろそろイベントアイテムが置かれている場所に到達する頃ね」
「いやあ、修行のおかげでザコ戦が楽になりましたね。特にお嬢さまの攻撃魔法――」
「MAHALITOという。敵一グループに4〜24のダメージを与えられる。この魔法を習得した瞬間、パーティーの戦闘力は50%(当社比)アップするといっても過言ではない!」
「ドラクエのギラみたいなポジションですね。でも効果に随分とバラつきがあるのはなぜなんでしょうか」
「あ、それって実は六面体のサイコロを四回振って出た数値なんですよ。最初期のコンピュータRPGはテーブルトークRPGの影響を大きく受けていますから、ダメージ計算や敵のHPにサイコロ何回って感じの数字がよく出てくるんです」
「とにかく、よほど運が悪くない限りオークやコボルド程度のザコ敵を討ち漏らすことはないだろう。地下一階のモンスターは複数のグループで襲ってくることはないから、事実上MPが底を突くまでパーティーに危険はないと言える」
「あっ、どうやら目的地みたいですよ。なになに、ヘヤには、ツノとながいキバをもった……」
「あーハヤテ、その文章については気にしなくてもいいぞ」
「え? でもいかにも思わせぶりで後の謎解きの手がかりになりそうな印象なんですけど……」
「そんなことは全然、ちっとも、これっぽっちもない。どうしても存在意義を見出したいのなら、製作者の自己満足のポエムとでも理解しておいて充分だ」
「ポエムですか……」
「KEY……これで僕も鍵っ子に!」
「断っておくがKanonもAirもCLANNADも関係ないぞ。それこそゾウリムシの繊毛一本たりとも共通点はないからな」
「ハヤテ君、アイテム欄を見てみなさい」
「クエスチョンマークがついていますね」
「不確定アイテム、つまりまだ鑑定されていないアイテムってことです。最近のゲームだと不思議のダンジョンシリーズで採用されているシステムですね」
「じゃあインパスの巻物とかもあるんですか?」
「そんな便利なものはWizardryには登場しません。というか、迷宮で入手できる巻物だって不確定アイテムなんです」
「それじゃあどうやってアイテムの正体を見極めるんですか?」
「そのへんはストーリーが進めば説明する機会もあるでしょう」
「もう一つの鍵が置かれている場所に来たぞ」
「やっぱりこれもポエムですか?」
「そうだ。しかしまるで歯ごたえがないな。よし、このまま余勢を駆って下の階層に降りるぞ」
「でもまだ解毒魔法を覚えていないんじゃ……」
「なんの。毒攻撃を受けなければそもそも何の問題もない。私たちの実力からすれば二階だって楽勝なのだ。みんな、私について来い!」
「後衛が先頭になってどうするんですか。まったく、すぐ調子に乗るんだから」
「ほらマリア、もう二階に降りてしまったし。あまり不機嫌な顔をしたままだと小ジワが増えるぞ。ただでさえ成人式を迎えたサキさんよりも老けているように見られているのに、さらに進行してしまえばクリスマス女と間違われてしまうぞ」
「誰のせいだと思っているんですか!!」
「ま、まあまあ。お二人ともそのへんで……」
「イベントだよ。“なんビャクマンもやつらをころしたぞ!”……やつらってなに?」
「いちいち気にしていても仕方がないと言っているだろう。む、モンスターだぞ!」
「あいったぁ」
「……」
「……」
「……毒攻撃を受けてしまいましたね」
「……毒攻撃を受けてしまったな」
「なんだかいきなり最悪の事態に陥ってしまったようですけど、どうしましょう」
- [2006/06/02 23:19]
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