うたわれるもの 偽りの仮面 第14話 「剣豪」
今日も今日とてドブさらい。オシュトルがウズールッシャとの戦場へでむいたもののハクの仕事は以前とかわりませんでした。それどころかキウルがオシュトルについていったので仕事量はたぶん倍増しているはずです。おかげでハクは身も心もボロ雑巾のようになりましたとさ。
で、そのボロ雑巾を天下の往来でまちうけていたのはクオンで、ルルティエやアトゥイが出陣しなければならないのが不安なので自分もノスリといっしょについてゆくと言います。
「もしよかったらなんだけど、ハクもいっしょに来てくれたら、うれしい、かな……
ハクって、けっこう頼りになるし……どう?」
なんやて!?(ダルシム)
クオンの頬が赤く染まっとる! 瞳がキラキラ光っとる! 夕日の反射やあらへん! いつのまにフラグが立ったんや! ……と仰天のあまり関西辯になってしまうほどの意想外のクオンのアクションでした。前クールはくどいほどにハクとのあいだに恋愛感情がないとくりかえされていたのに、えらいかわりようです。
しかし唐突とはいえ不自然でもありません。あれだけ長いこといっしょにいて、イベントの数々をこなし、ハク当人は勤労意欲に難ありとはいえ顔もいいし頭もきれるし空気もよめるし都のお偉方とのコネもあるしの案外な優良物件なのだから、実をいうと惹かれないほうが不自然なのです。
なおハクは疲れはてていたためにクオンがなにをいっているかもわからないまま生返事をしたせいで戦場へゆくことと相成りました。
ショボっ! 戦闘シーン、ショボっ! 臨場感ゼロ! 遠景だと兵隊が点の集まりだし、ズームアップされたらされたでだだっ広い平原で数人しか動かないから中学校の運動会の騎馬戦みたいな感じになっています。
自軍が優勢だときいてデコポンポはマロロの忠告もきかずに兵を猪突させて伏撃を喰らいました。絵に描いたような無能ぶりです。銀英伝の門閥貴族連中とはさぞかしウマがあうことでしょう。
ところでウズールッシャの軍はみんな歩兵です。だから匈奴とかモンゴル軍がよくやったような撤退とみせかけてのパルティアンショットはやりませんでした。遊牧民族のはずのウズールッシャの兵士がだれも馬に乗っていないのは、作画がめんどうだからでしょうね、たぶん。でもまあ兵種についてあんまりつっこむのもヤボかもしれません。聖戦の系譜のイザークだって遊牧民の国なのにユニットは徒歩の剣士ばかりなんだし。
乳ゆれノスリらをつれてハクは馬車で戦場へむかいます。そこへ戦場の流れ矢が馭者のハクをおそい、間一髪で巫女バリアーで守られました。けっこう呑気してたハクも、矢にはビビった!! そしてジョセフよろしく逃げだして言いました。
「戦だよ戦。もう矢なんかバンバン飛んで来て、あんなのに巻きこまれたら命がいくつあってもたりん。
さっさと帰るぞ」
おまえは何をしにここまで来たんだハク。もちろんかようなすくたれ者の意見がいれられるはずもなく、ウルサラとルルティエとをのぞく全員は戦場へとかけおりてゆきました。しかしハクが本来はわれわれと同時代の日本人なのだとしたらその平和ボケ発現もそれなりにリアリティのあるものではあります。俺がおなじ立場だったらハク以上の醜態をさらさない自信はありません。
ウズールッシャの尖兵がヤマトの捕虜であることを見すごせずにクオンらは参戦しました。ただでさえ緊張感がない合戦シーンなのに、女や若僧がフィクションまる出しの活躍をするものだからなおさら緊張感がなくなっています。なんだか高校の運動会の学生劇みたいだ。それとノスリがあいかわらず乳をゆらしていたのもすばらし……緊張感をそぐものでした。
つーかアトゥイおまえは本陣へゆけよ。いくら従軍義務があるからっていくさ働きまでは要求されんだろう。父親の名代として出陣したという事実が重要なんだから。それどころか姫君に白兵戦をさせたとあってはオシュトルが監督不行届で責任を問われるんじゃなかろうか。万が一にもアトゥイが戦死して、その原因が一兵卒に立ちまじって戦ったからというのでは、父親は絶対にヤマトに恨みをもちます。下手すりゃ離反しかねません。仕事ってのは立場によってちがうものですぜ。
ハクやルルティエら非戦闘組はウズールッシャの後方でヤマトの女が人質になっているのを見つけて助けだしました。ところで人質の女らはこぎれいなものだけれど、これがリアルだったら最悪のばあい島津の豊さんを激怒させるような悲惨な目にあっていたかもしれません。アニメでよかった。
あと不意打とはいえ大の男をふたりもまたたく間にたおしてのけるとはハクも成長したものです。肉体労働の日々も無駄ではなかったか。
そのときたすけた幼女の父親が心ならずもウズールッシャのために戦わされる剣客だったので、そいつはすぐに鞍替してヤマトにつきましたとさ。このへんは原作がシミュレーションゲームらしいイベントです。
ところでこの剣客は娘のために戦って、語尾にじゃないをつけるので、元ネタは『北斗の拳』のアインなのでしょう。
全体として短所よりも長所のめだった回でした。これで合戦シーンがよかったら申しぶんなかったのに。やっぱり週一アニメだと時間と予算のやりくりがむつかしいんでしょうなあ。
「事情を説明してもらおうか」
「今すこし時間と予算をいただければ」
「辯解は罪悪と知りたまえ!」
- [2016/01/20 23:59]
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コメント
いうほど長所めだってました?
>監督不行届で責任を問われるんじゃなかろうか
名代として戦地に送り出すのに、護衛の随伴兵もつけない方が悪いような気がする……。
それよりも徒手格闘で完全武装の兵士に突っ込んでいくクオンはエルルゥ達からどんな教育を受けてきたんだろうか?
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評価 ★★ 中の人などいない
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