今週のジャンプ一コマレビュー 2014年29号
・『斉木楠雄のψ難』
麻生先生、連載二周年達成おめでとうございます。けっこうながいこと連載している気がしていたのに、まだ二年だったんですね。しかし二年という歳月をながいと感じなくなったのは俺がトシをとった証拠ですな。
ところでうえのカラーの見開きって、伝説のクソゲーにしてバグゲー「摩訶摩訶」の戦闘シーンのパロディでしょうか。
斉木ママの家へ里帰りしたときに名前が出てきた斉木の兄の空助が二周年記念巻頭カラー回という実においしいタイミングで初登場しました。斉木の頭の超能力制御装置をつくったということなので若いながらも天才的な科学者なのでしょう。あの好人物だけれど平凡な両親からなぜこんな息子たちがうまれたのか。
ところで空助があの子煩悩な両親と別居しているのは、すんでいるところが日本と時差があるようなので、ハーバードだかMITだかに飛び級で学んでいるからかと思われます。弟の楠雄にニガテ意識をもたれている理由はわかりませんが、性格がわるいとかいうような読者を不快にさせるものではあってほしくない。そういう漫画ではありませんから。
・『食戟のソーマ』
スッポンの着ぐるみを着ているのはわかるのに、それでも秘書子の股に目がいってしまうのは、男のかなしきサガです。
・『トリコ』
ゼブラのセリフやフルコースのメニューでいくたびか言及されてきたダルマ仙人が出てきました。カッパのメス風呂をのぞいたせいで重態になったそうです。そのまま天にめされていいよ。ブランチそいつにトドメさしていいよ。
ところで風呂でおもいだしたのですが、湯(ゆ)ということばは、日本語では温水とか熱水とか風呂とか温泉とかいろいろな意味があるのに対し、シナ語では湯(タン)はただスープをさすのみです。だから支那人が日本へ観光にやってきて旅館の風呂場の「男湯」「女湯」と書かれたのれんを見るときまっておどろくそうな。そりゃおどろくでしょう。あちらの感覚では「男汁」「女汁」なのですから。
・『火ノ丸相撲』
石上高校のチャラい一年生の沙田は去年の中学横綱、火ノ丸の年代では現時点で最強の男でした。主人公のすぐそばの学校にこれだけの強キャラを配するとは、ハードルをあげたものです。でもそれが正解。ジャンプで早期打切りをまぬかれるためにもペース配分など棚上げして目先に刺激的なエサをぶらさげて読者を食いつかせねばなりません。
それより石上高校の相撲部員たちがよかった。主将は火ノ丸を見なおしてダチ校をライバルあつかいし、沙田のことも一年生エースとして期待しています。沙田は沙田で実力のおとる主将に対して軽口はたたくもののそれなりに慕っているようです。これこれ、こういうのがいいんです。スポーツ漫画で相手校の選手がイヤなヤツである必要なんてありません。
きたないユーマが改心しました。火ノ丸や石上高校の主将や沙田が本気で日本一をめざしているのを見て自分のちっぽけさを痛感し、どしゃぶりの公園で火ノ丸に足腰がたたなくなるまでなげとばされ、翌日に相撲部の部室をひとりで掃除したうえ今までずっとバカにしてきた部長に頭をさげて相撲部にいれてくれるようたのみました。
予想どおりの展開だとはいえます。しかしユーマが改心するまでの描写は納得できるものだし、これまでのふるまいに対する最低限のケジメもつけたし、なによりユーマの相撲部いりを許可したのが部長だというのがいい。読んでいて気分がいい。読者の期待どおりの展開です。
エンターテイメントは読み手の予想を裏切り、期待は裏切らないというのが理想でしょう。しかしどちらを優先すべきかえらべといわれたらもちろん後者です。予想は裏切らず期待も裏切らないというのはつまり王道なのですから。あと原作者が読者の予想を裏切ることしか頭にない『ステルス交境曲』の現状をみれば、読者の期待にこたえることがどれだけ重要なのか、おわかりだと思います。
・『ワールドトリガー』
アフトクラトルのじいさまの黒トリガーは、のばした円の軌道上を刃がはしる能力でした。これでは正面に楯をかまえてもうしろからスパッとやられます。なんという初見殺し。おちついた筋肉でも戦闘不能においこまれるわけです。しかしその敗北のおかげで遊真は相手の能力の見当をつけることができました。『ワールドトリガー』はまちがいなくいまのジャンプでいちばん情報の価値というものが重視されている漫画です。
アフトクラトルは三門市のみならず近隣の衛星すべてに捕虜をえるための精鋭を派遣していました。本国のまもりは完全にカラッポ。危ない橋どころのさわぎではありません。なぜこんなハイリスクハイリターンのバクチをうったのか、葦原先生の手のひらのうえでおどらされているのを承知のうえで気になります。でもこういうの、チビっ子にわかるおもしろさなのかな。それともこういうふうに考えるのは子どもをバカにしたことなのかな。
・『ニセコイ』
アンタにゃムリだ、あきらめろ。
ゴメンよ小野寺さん、でもホントにそう思ったんだからしかたがない。
・『BLEACH』
おまえはなにを言っているんだ。
殺しあいのさなかに新技を敵にはなっておいて、むこうが相殺しようとしたらよけろって、おまえはなにを言っているんだ。だったらハナからやるな。
剣八にかわって一護が戦うようになってからとたんにつまらなくなり、しかも相手のスベタどもがそろいもそろってカスばかりのため、とてもレビューする気がおきません。今回みたいにつまらないとかいうレベルを超越したツッコミどころがなければ。
・『ILLEGAL RARE』
おおお、ウィッグをはずしたマーダック市長、美人さんです。羽衣狐の再来! とまでは言えませんが。しかし漫画キャラって髪型がちがうだけでずいぶん印象がかわりますな。
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- [2014/06/21 00:54]
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コメント
椎橋先生ってワンパターンな展開しか
かけないのか…おもいっきり羽衣狐じゃん…見た目も性格も
空助さんはじいさんの反応や過去の回想的に
何かしら問題があるのが確定的なのが何とも……
せめて「親の百倍くらい過保護」とかそういう類いであって欲しい物ですね
斉木は連載自体は2年前だけどその前に読み切り何本か掲載してるしな
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