漫画ナツ100・レビューその3
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021.原作・大場つぐみ/作画・小畑健『DEATH NOTE』
あらすじ:高校生・夜神月は名前を書き込んだ人間を殺すことができる「デスノート」を手に入れる。悪人を皆殺しにすることで月は(あくまで主観的な)理想社会を築こうとするが……。
レビュー:主人公が本質的には犯罪者だったり、「友情・努力・勝利」のうち友情を完璧に素っ飛ばしたり(どころか逆手にとって利用さえした)肉体ではなく頭脳を駆使した知略戦を展開したりとジャンプでは異色の名作。Lが死んでからの第二部は正直どうでもよくなった。が、月の無様そのものの最期に全ての不満は吹き飛んだ。
ひとこと:「僕は新世界の神になる」
022.大和田秀樹『たのしい甲子園』
あらすじ:超不良高校・瓦崎工業高校の頭(ヘッド)、太田は素行不良で高校球界を逐われた不良球児どもを従えて甲子園を目指す。なぜ?
レビュー:『アストロ球団』のバカ漫画的なノリを解っててやってるギャグ漫画。とにかくハッタリが効きすぎている。瓦高も対戦相手も真面目に野球をやる気がどんどん無くなっていく。主人公の太田からして金属バットよりも釘バットを握っている方が多い。一ミリグラムも人生の糧にはならないだろうが、とりあえず読んでいる間だけは充実した時間を過ごせる作品である。
ひとこと:実写化されたら制作費の八割は火薬代に持っていかれます。
023.原作・Guy Jeans/作画・ヒラマツミノル『REGGIE』
あらすじ:メジャーリーグで十年以上4番を張ってきたホームランバッター、レジー・フォスター。成績不振を理由に解雇された彼は日本の球団に移籍する。ベースボールと野球の違いに戸惑いながらもレジーはメジャーに復帰することを目標にバットを振る。
レビュー:とにかくキャラクターが食傷を起こしかねないほどに個性的。しかも平山監督を除いてどいつもこいつもどうしようもない馬鹿ばかり。そんな連中が見せてくれる、一球入魂としか表現しようのない熱いプレイはスポーツ漫画の醍醐味であろう。最初期の抽象画みたいな絵柄を受け付けられる人は少ないだろうが、そのうち見やすくなっていくのでご安心を。
ひとこと:『アグネス』仮面の最終回に絶望した!!
024.片山まさゆき『ノーマーク爆牌党』
あらすじ:フリー雀荘にふらりと立ち寄った無名の青年、爆岡弾十郎(なんて名前だ)。ひょんなことから彼は三大麻雀タイトルの一つに参加し、ついには無敗のままタイトルを総なめにする。
レビュー:お世辞にも絵が巧いとは言えないが、それでも麻雀漫画の金字塔。『哭きの竜』や『アカギ』と違ってちゃんと四人麻雀が描けている。天才のライバルに負け続けながらも一歩一歩成長していく凡人の主人公、というのはベタだがそれだけに王道。すんなり感情移入できる。
ひとこと:結局、爆牌の正体って何?
025.原作・勝鹿北星/作画・浦沢直樹『MASTERキートン』
あらすじ:大学講師の口にすらありつけないこともあるうだつの上がらない考古学者、平賀・キートン・太一。かれはSAS(特殊空挺部隊)のサバイバル教官だった経験を活かし、ロイズ保険会社の調査員(オプ)として世界中を飛び回る。
レビュー:主人公のキートンはかつて特殊部隊のエリートであり、軍当局から幹部候補生としての待遇を受けた。そんな輝かしい経歴を弊履のごとく脱ぎ捨ててまで青年時代の夢を忘れないキートンは中年男性の一つの理想像だろう。人を殺せない設定が追加された途端に話がつまらなくなったのが非常に残念。
ひとこと:ぐぐると絶版問題と雁屋哲の話ばかり。
026.原作・雁屋哲/劇画・由起賢二『野望の王国』
あらすじ:神奈川一円を掌握する暴力団・橘組。その組長の五男坊として生を受けた橘征五郎は自らの野望を果たすため、僚友の片岡仁とともに周囲を血と暴力で染め上げていく。
レビュー:劇画版『アストロ球団』。この怪作の魅力はとてもじゃないがこんな所では語り尽くせはしない。とりあえずこの漫画に山岡士郎が登場したら確実にコンクリートブロックで殴られます。
ひとこと:「この世を支配するのは暴力だっ! 暴力が全てだっ!」(これ、警察署長のセリフです)
027.河合克敏『帯をギュッとね!』
あらすじ:昇段審査試験で抜群(五人抜き)で黒帯を手にした柔道少年・粉川巧。彼は進学先の高校で他の有段者四人と柔道部を設立する。
レビュー:試合だけではなく練習シーンも多いのにあまり汗臭さを感じない柔道漫画(ちょうど『SLAM DUNK』みたいに)。合間合間にギャグやラブコメが挿まれているので飽きが来ず、読みやすい。全体的に爽やかな印象を受ける。
ひとこと:下手すりゃ本編よりも単行本のオマケ四コマの方が面白い。
028.かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』
あらすじ:海上自衛隊二等海佐・海江田四郎は日本初の原子力潜水艦「シーバット」の艦長に任命されるが、処女航海で脱走。後に戦闘国家「やまと」として独立を宣言。彼をテロリストに指名したアメリカと戦う。
レビュー:いかにも団塊の世代らしい作者のイデオロギーには首肯しかねる部分が多いが、とにかく傑作。海江田はカリスマ性が高いように描写されているが何を考えているのかよく解らないので、上官と仰ぐなら深町二佐の方がいい。アクロバティックな海戦はわりと滅茶苦茶。
ひとこと:ところで“やまと保険”はどうなった?
029.北崎拓『ますらお』
あらすじ:鞍馬寺に預けられた遮那王(後の源義経)は、その境遇からこの世の全てを恨む。どうにか鞍馬寺を脱走した遮那王は暗い憎悪を胸に平家打倒を誓う。
レビュー:作者はラブコメばかり描いているイメージが強いが、どうしてかなりの歴史マニア。コーエーが発行していた『DA GAMA』や『歴史ファンワールド』の表紙のイラストを描いていたこともある。打ち切り風味なのが残念だが、歴史を題材にした少年漫画の中では傑作の部類に入る。が、平家ファンは読まない方がいい。
ひとこと:なんで金売り吉次が女でしかも藤原泰衡といい仲なんだよ。
030.原作・工藤かずや/作画・浦沢直樹『パイナップルARMY』
あらすじ:ジェド・豪士は元傭兵にして西側最高の爆発物のスペシャリスト。現在は民間軍事援助組織CMAに所属し、戦闘インストラクターとしてさまざまな依頼人たちに護身術を教授する。
レビュー:たまに中篇もあるが大抵は一話完結のオムニバス形式。個性豊かな依頼人とその周辺人物による人情話に佳編が多い。毎回銃器や爆発物が登場する物騒な漫画ではあるが、それでいて血生臭い展開はほとんどないのでグロ耐性の無い人にも勧められる。
ひとこと:『HAPPY!』以降の浦沢直樹はどうも性にあわない。
- [2006/08/15 20:12]
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