保険 アリコ Moon of Samurai 漫画ナツ100・レビューその1

漫画ナツ100・レビューその1 


001.CLAMP『カードキャプターさくら』

 あらすじ:小学四年生の少女、木之本桜はこの世に災いをもたらすと言われる「クロウカード」をあやまって開放してしまう。彼女は「クロウカード」を回収するため、封印の獣ケルベロスとともにカードキャプター(カード捕獲者の意)として活躍する。

 レビュー:主人公の恋人(もちろん男)の初恋の人は男。親友は主人公のコスプレ姿の活躍をビデオに納めることに血道を上げるレズ。兄はかつての恋人を捨てて主人公の初恋の人とホモ関係。担任教師は同級生の小学生に婚約指輪を贈る。そこまで人間関係が狂っているのにあまり気にならないという妙な漫画。

 ひとこと:昨今の小学生ブームの火付け役。だったらいいな。



002.Moo.念平『あまいぞ! 男吾』

 あらすじ:巴男吾は三度のメシよりケンカ好き、口より先に拳が飛ぶ。周りの大人からは問題児扱いされ、クラスの女子からは毛嫌いされる。しかし粗野で奔放な性格ではあるが曲がったことは大嫌い。子供らしい正義感と義理堅さを胸に、男吾は今日も全力疾走!

 レビュー:コロコロコミック史上に残る傑作。初期のドタバタ人情物は大人の鑑賞にも耐えうる佳作揃い。中期のバトル三昧は荒唐無稽な描写が多いが、その圧倒的なパワーのおかげで全く気にならずに楽しめる。後期は評判が悪いが、ケンカトーナメント最後の主張には頷けるものがある。最近では失われてしまった熱さが横溢している。文部科学省はこの漫画を小学生の課題図書に加えるべきだ。

 ひとこと:お姫は俺にとって最初のファム・ファタール。



003.アンソロジー『ドラゴンクエスト四コママンガ劇場』

 あらすじ:日本を代表するRPG「ドラゴンクエスト」を題材にした四コマギャグ漫画。

 レビュー:初期は玉石混交といった感じだったが、四〜五巻あたりから非常にレベルが高くなった。柴田亜美を初めとして、多数の漫画家を輩出したことでも知られる。俺はドラクエ四コマが毎月掲載されているという理由でガンガンを購読していた。

 ひとこと:「どうじゃ、世界の半分をお前にやろう」「全部くれ」ひゅるりら〜



004.相原コージ『ムジナ』

 あらすじ:卍の里の下忍、ムジナは落ちこぼれ。彼は同じく落ちこぼれだった父ゴキブリの遺言に従い、周囲のあらゆる蔑みに耐えながら生き抜くことを決意する。

 レビュー:とにかくインパクトの強い作品である。絵もギャグも下品だが、そのおかげで非常に人間臭く感情移入できる。が、登場人物の九割九分が死ぬ上にろくな末路を迎えない。あとムジナの必殺技は一見の価値あり。そのあまりの素晴らしさに、手に持った単行本を地面に叩きつけること請負いである。

 ひとこと:最悪としか評価のしようがないハッピーエンドが強烈。



005.秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

 あらすじ:葛飾区の亀有公園前の派出所(実在はしない)に勤務する破天荒な巡査長・両津勘吉を中心にしたドタバタギャグ漫画。1976年42号以来、30年以上に渡って週間少年ジャンプで連載が続けられている。少年漫画界の金字塔。

 レビュー:金とホビーのためならば異常な知識と行動力を発揮する――そんな両さんのキャラが確立した中期は本当に面白かった。広範な取材、豊富なアイデア、起承転結の整ったストーリー。ジャンプのみならず日本漫画の大黒柱であった。え? 後期? 訊くな。

 ひとこと:老害の痛ましさを世に知らしめる漫画。



006.荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』

 あらすじ:19世紀末のイギリス。貴族の息子ジョナサン・ジョースターが研究していた石仮面によってディオ・ブランドーは吸血鬼となる。ジョースター一族とディオ、そして彼に従う者たちとの2世紀に及ぶ奇妙な抗争。

 レビュー:騙し絵のような構図、奇抜なアイデア、強烈な印象を与えるキャラクターと台詞回しと擬音、読者の予想をことごとく裏切る頭脳戦。他の漫画に与えた影響は計り知れない。歴史に残る名作として後世の教科書に掲載されることが約束されているような漫画である。とにかく読め。それしか言えない。

 ひとこと:「はっきりいうと、この作品のテーマはありふれたテーマ――「生きること」です」



007.荒木飛呂彦『バオー来訪者』

 あらすじ:秘密結社ドレスによって寄生虫バオーを頭脳に埋め込まれた橋沢育郎は、予知能力者のスミレとともに脱走する。バオーの力で超人的な能力を身に着けた育郎はドレスの刺客を退けるが、スミレを浚われてしまう。育郎はスミレを救うため、ドレスに立ち向かう!

 レビュー:ジャンプ史上、最もラストシーンが美しい打ち切り漫画。基本コンセプトは変身モノだが、寄生虫の力で変身するという独特かつダークな雰囲気はやはり荒木イズム。不条理に押し付けられた逆境にめげず、スミレを救うために戦う育郎はまさにヒーロー。悪口が見当たらない。

 ひとこと:「おまえらのにおいを止めてやるっ!」



008.彩花みん『赤ずきんチャチャ』

 あらすじ:世界一の魔法使いセラヴィーの弟子、チャチャ。彼女は修行中の身なので、召喚魔法をよく失敗する。二人のボーイフレンド、狼男のリーヤと魔法使い見習いのしいねちゃんと共にドタバタギャグを繰り広げる。

 レビュー:キャラクターたちはステレオタイプだが個性が非常に強く、複雑な人間関係も相まってドタバタギャグとしてはうまく出来ている。……十年前は非常にハマっていたのに、今ではあまり書くことがないな。

 ひとこと:正直、アニメの方が出来はいい。



009.あんど慶周『究極!! 変態仮面』

 あらすじ:熱血刑事の父とSM嬢の母の間に生まれた色丞狂介は、正義に燃える変態野郎だった! 女性のパンティーをマスク替わりに被ることでヒーローに変身、人呼んで変態仮面!!

 レビュー:見た目のインパクトだけならどんなヒーローにも負けない。というか何も悪くないのに思わず土下座して平謝りしたくなる風貌である。ストーリーとか人間関係とか、そういった何もかもがどうでもいい漫画であるし、実際ほとんど覚えていない。なお、かつて俺は変態仮面の真似をしてブリーフの端を肩に引っ掛けようとして母に叱られた。これに懲りてパンツを被るときは母の目の届かないところでやった。

 ひとこと:「それは私のおいなりさんだ」



010.池田理代子『栄光のナポレオン−エロイカ』

 あらすじ:コルシカ出身の青年、ナポレオン・ボナパルト。独裁者ロベスピエールを打倒して権力を握ったバラスは彼を国内軍総司令官に任命する。ナポレオンは出世の階段を駆け上がり、ついにはフランス皇帝にまで登り詰める。しかしその後は権力の拡大と維持にしか感心を持たなくなり、しだいに没落いていく。『ベルサイユのばら』のキャラクターも何人か登場する。

 レビュー:この作者の名前を出せば必ず『ベルサイユのばら』が返ってくるが、あえてこちらを選ぶ。フランス革命の狂気と流血がまるで描かれておらず、全肯定されているのが気に入らないからである。もちろん『エロイカ』も色々と美化されてはいるがナポレオンを等身大の人間として破滅するまで描いたのは好感が持てる(歴史観はともかくとして)。作品としての面白さはやはり『ベルサイユのばら』に軍配を上げるが。あと、キャラの顔が肖像画によく似ている。アレクサンドル一世の頭髪だけは豊富だが、ロシア遠征以後は激減。読者の爆笑を誘う。

 ひとこと:日本人がナポレオンの生涯を知るには最適の作品。





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