保険 アリコ Moon of Samurai 2017年06月17日

今週のジャンプ一コマレビュー 2017年28号 

・『シューダン!』

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 『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』の横田卓馬先生の新作漫画です。えらく早い復帰だなと思って調べてみたら前作の最終回は今年のジャンプ十一号でした。四ヶ月しか間があいていないのだから実際に早い。これほどのスピード復帰は俺のおぼえているかぎりでは鳥山明先生の『Dr.スランプ』から『DRAGON BALL』までの三ヶ月で、こちらはそもそも人気絶頂の『Dr.スランプ』を鳥山先生がやめたがったために三ヶ月の猶予期間で新作を出すという条件の結果だから、横田先生のケースとはだいぶ状況を異にしています。横田先生はよほどジャンプ編集部に期待されているのか、それとも単に新連載のタマがないのか。
 新連載のジャンルはジャンプの鬼門のサッカーです。編集部はまだあきらめてないのか……しかし横田先生はジャンプのほかでも経験のあるベテランなのでさすがにソツなくまとめていました。サッカーはプレイ人数が多いのに第一話で多数の登場人物にキャラづけをし、かつ話としてもまとまっていたのはさすがのひとことです。キャラのなかではヒロインの七瀬晶ちゃんがかわいい。

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 ヒロインの七瀬晶ちゃんがかわいい。大事なことなので二回いいました。
 さて、これまでホメました。しかし連載が好調にゆくかときかれたら首をかしげざるをえません。この漫画、はっきりいって情報量が多すぎます。おおぜいの登場人物にキャラづけをしたというのは別の見方をすればみんなどんぐりの背くらべになってしまったともいえます。俺が小学生だったらキャラが多いうえに似たような連中だから区別がつかずに頭がパンクしたんじゃないでしょうか。あと主人公もその他大勢のひとりでしかないから、正直なところ誰視点で漫画を読んでゆけばいいのか子どもにはわからないんじゃないかと思います。
 漫画をたくさん読んできたオッサンには評価が高いかも知れんが小学生のアンケートはふるいそうにありません。横田先生の漫画の腕がアダになった感があります。


・『鬼滅の刃』

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 煉獄さんは腹を穿ちぬかれても渾身の力をふりしぼって上弦の参の首を切り落そうとします。そうでなくても夜明けは近いのでこのまま時間をかせげれば鬼は死にます。しかし上弦の参はすくたれ者にござれば首に煉獄さんの刃をのこし両手をうしないながらも異様な跳躍を見せたのちに日の光をあびずにすむ林の影へとのがれようとしました。そこへ炭治郎が自分の刀をなげつけて鬼の胸板をうしろからつらぬきます。それでも敵は絶命することなく逃げの一手を取りました。

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「逃げるな卑怯者!! 逃げるなァ!!!
 いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!
 生身の人間がだ!! 傷だって簡単には塞がらない!! 失った手足が戻ることもない!!
 逃げるな馬鹿野郎!! 馬鹿野郎!!
 卑怯者!!」


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「俺の刀を今度は鬼にくれてやりやがってぇぇぇもう許さんぶっ殺すぅぅぅぅ」
「あんたじゃなーい」



・『火ノ丸相撲』

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 久世の心象風景。大横綱の息子にうまれて孤独に戦ってきたのが、気がつけば好敵手たちと肩をならべて疾走していたのでした。しかし好敵手とひとくちに言ってもあつかいはそれぞれで、いちばん因縁があって今現在試合中の火ノ丸がやはりいちばん大きい。つぎは顔がかくれているけど天王寺。あとは悲しいけれど有象無象って感じです。わかりやすいようワクでかこんでみました。

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 水色のワクは大典太、紫のは沙田で、オレンジ色のはたぶんジュズマルドン。前二者は久世と対戦経験がないからしかたがないにしてもジュズマルドンはこのあいだ試合をしたばかりだというのに大典太のゴワゴワ胸毛みたいなポジションなのは哀れをとどめます。電車道で圧勝したのが印象の弱い原因か。
 でもいちばん悲惨なのが国宝なのに無視された大包平であることはうたがいありません。

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 火ノ丸の祖父母が母親の遺影とともに登場。次回はついに火ノ丸の過去回想が描かれるのでしょう。ああ、最終回が一歩一歩ちかづいてくる……


・『U19』

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「敵じゃねェ!!!
 そもそもオレに……敵なんかいねェ!!!」

「はぁ!?
 お前は社会の敵!! テロリストだろうが!!」


 言ってくれた! 俺の気持をかわりに言ってくれた! このシザーマンが主人公だったらどれほどよかったことか!
 そしてジャンプ読者の大多数から支持されていなさそうな主人公のセリフが最終回にいたってさえひどいひどい。俺に敵はいないって、オマエ谷先生をインチキ能力で気絶させたうえに変態教師の濡衣を着せて人生を破滅させたあげくにクラスメイトと大笑いしてたじゃねえか。あと戦車兵をはじめとして自衛隊員を虐殺しまくったじゃないか。あれはいったいなんだったんだ。大人党の手先はワルモノだから正当防衛した結果だとでも言いわけするつもりか? だとしてももうちょっと方法とか内面の葛藤とかがあっただろうに。

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 主人公はシザーマンとリビドーぬきの殴りあいのはてに相手をノックアウトしたあとひとりで逃げだしました。シザーマンに言わせれば敗者に情けは無用だから主人公の行動は正しいのだそうだけれど作者に言わせられている感がスゴイ。
 で、その結果どうなったかというと。

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 主人公に見すてられたシザーマンが大人党の研究の被験者となってリビドーのしくみを知られ、学園の子どもらが人為的に過度のストレスをかけられてリビドーを強制的に発現させられようとすることになりました。主人公の無駄なカッコつけが最悪の結果をまねいたよ!

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「オレたちは子供なんだ。子供らしく行こう!
 素直に!! 自分のやりたいことをやりたいと言い、そして迷わず実行に移す!! それがオレたち子供だろ?」


 最低だなコイツ。
 自分がシザーマンをつれてこなかったせいで子どもらがひどい目にあっているというのに自責の念などカケラもありません。ちょっとくらいは自分のやったことを後悔するのがフツーじゃないんですかね……ああフツーじゃないからテロリストなのか。こりゃまた一本とられたねHAHAHA!
 それはさておきコヤツは最後の最後まで子どもという妄想のなかの特権階級にしがみついて言いたいほうだいやりたいほうだいでした。自分の権利や欲求のことしか頭になく、それに附随するはずの義務や責任についてはみごとに無視する。小児的独善性の極致ともいうべき言語道断のクズです。

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 子供たちの戦いは続く。いやきっと子供の戦いに終わりはない。
 好きな人のため? よりよい人生を得るため?
 理由はなんでもいい。自分より強大な敵に挑み続ける限り……
 人はきっと永遠にU19(こども)なのだから。

 ガレキみたいなクソガキが内面はそのままで体だけ成長した大人になったらただの社会不適合者です。
 というわけでこの漫画も最終回をむかえました。だいぶまえからドベが定位置になってからの十七話打切りです。タイトルどおり十九話以下で終ったのは評価できます。
 さて総評にうつると、全体的に気持の悪い漫画でした。悪い意味でなろう小説っぽい。主人公のやることなすこと賞讃されて、それによってひきおこされた破壊や犯罪はきれいにスルーされていたのが非常に片手落ちでした。かえって悪の組織であるはずの大人党のほうがよほどマシな集団に見えたほどです。作者が主人公に自己投影しすぎ、かつ抑制がぜんぜんきいていないのが気持悪さの原因のひとつでした。

   ↓ 俺がスゴイ・シツレイに想像する木村先生像
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 そんな主人公だから読者が感情移入できるはずもありません。谷先生を唐突にゲスキャラにしたうえで主人公に倒させてもカッコイイとは思えないし、そもそもヒロインが主人公みたいな男に惚れてシザーマンになびかなかったことも釈然としません。したのキャプ画像みたいな感じです。

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 実際のところ『U19』の主人公の人間性は悪役にこそふさわしいものでした。悪のテロリストの尖兵としておのが欲望のかぎりをつくしてシザーマンに見ひらきでコナゴナにされていればよかった。したのキャプ画像みたいに。

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 なんでしょう、今週号の『青春兵器ナンバーワン』は長谷川先生の木村先生への手向けの花だったのでしょうか。



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