保険 アリコ Moon of Samurai 2017年04月11日

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第50話 「彼等の居場所」 

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「昭弘・アルトランド、ガンダムグシオンリベイクフルシティ!」
「三日月・オーガス、ガンダムバルバトスルプスレクス」
「行くぞ!」


 最後の最後だからか三日月と昭弘がめずらしく主人公らしい見得を切りました。カッコいいっちゃカッコいいのだけれど麻呂女の部下どもみたいに口上をのべているさなかに攻撃をくらって「撃って……いいんだよな?」「あたりまえじゃん」てなぐあいにギャラルホルンの部下らにあきれられたらもっとよかった。
 ああそうそう、このあいだ『ゲッターロボ』第一話を観ていたら練習用ゲットマシンが合体しようとするところでメカザウルスの攻撃をくらって撃墜されたので大笑いしました。むかしのアニメといってもあなどれません。

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 ダインスレイヴ最強伝説。宇宙からブッぱなして地上のモビルスーツにあててきました。まえも書いたけれど命中率がスゴすぎます。宇宙空間なら機動計算もラクだったろうけれど、大気圏とか重力とかそのほかモロモロの影響がてんこ盛りの地球上の目標すらはずさないのは異常ってレベルじゃねーぞ!
 つーかなんでダインスレイヴが禁止兵器なんですかね。命中率が超スゴイ、威力もグンバツ、おまけに核兵器みたいに放射能をまきちらさずに目標だけをピンポイントで破壊できる。これなら過剰な被害をださずに戦争ができるのでモビルスーツなんぞよりもよほど有効な兵器です。それどころかダインスレイヴがあればモビルスーツの存在価値はほとんどゼロです。ぼくのかんがえたさいきょうのへいきというのはよっぽど慎重に設定しないと作品そのものを茶番にしてしまうことをダインスレイヴは教えてくれます。
 さてバルバトスもグシオンもボロボロになりながらも脚本のつごうでまだ死なれてはこまるので再起動します。そこへイオクさまが昭弘のところへ単騎でつっこんできました。

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「このイオク・クジャンの裁きをうけろ!」
「その名前……! おまえかあああ!」


 昭弘はグシオンの巨大ペンチでイオクさまをモビルスーツごとプチッとつぶしました。ところでこのシーンをはじめて観たとき「あれ、昭弘ってイオクさま個人にそんな恨みがあったっけ?」と首をかしげたものの、ホコリまみれの記憶倉庫をさぐっていみたら、イオクさまは名瀬のアニキのカタキだということを思い出しました。
 うーむ、俺が鉄血を最後まで観つづけたのはひとつには日曜日のたわけイオクズ・クズジャンの死にざまをみとどけるためだったのだけれど、いざそれを目にしても「ザマミロ&スカッとサワヤカ」の笑いがたいして出てきません。これまでイオクさまの出番がほとんどなかったのにくわえてストーリーがどんどん絶望的につまらなくなってしまったのでアニメそのものがどうでもよくなったためです。それでも死んでくれたのはまあよかった。これまでの目も当てられない脚本をかんがえればイオクさまが生きのこる可能性すら否定できなかったのですから。

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 昭弘は本懐をとげて満足しながら死に、三日月は三日月でなんだかよくわからん自己完結のなかで命をおとしました。直接的に手をくだしたのはジュリエッタです。ラスボスのポジションとしては貫目がたりませんなあ。ファーストでたとえるならアムロがララァに倒されたようなものか? いやララァはアムロとおなじニュータイプだしシャアをはさんで因縁もあるから、アムロがシャアに勝ってララァがラスボスに昇格するというシナリオになってもそれなりに説得力があります。いっぽう三日月はジュリエッタとの因縁なぞ仇敵どうしというくらいしかありません。ラスタルは三日月のことを鉄華団の象徴くらいにしか見なしておらず、マクギリスはただの片想い。結局のところ三日月は第一話から死ぬまで一騎当千の一兵卒のままでした。
 三日月は好きだけれど、こういう完成されたキャラクターを主人公にすえるのならば、それに適したストーリーを用意してほしかった。
 そして数年後。

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 なに? ギャラルホルンの威信失墜とセブンスターズ三家の断絶で発言力をましたラスタルが? ギャラルホルンを民主的な体勢へと移行させ? 経済圏の支配から脱した火星の各都市が聯合を設立し? テイワズのあとおしでクーデリアが火星聯合議長に就任して? ヒューマンデブリ廃止条約が締結された?
 もうね、アホかと。馬鹿かと。
 目的のためならどれほどド汚い手段であろうと行使することを辞さなかったラスタルがなんでいきなりものわかりのいい指導者に変貌してるんだよ。ギャラルホルンでも一頭地をぬく立場にのぼりつめたのに、それがいまさら民衆に気がねするようになった理由がさっぱり理解できません。ギャラルホルンの弱体化? そんなもんお得意の情報操作でどうとでもなるでしょう。めまいがするほどに非論理的でもはやギャグの域に達しています。みていて乾いた笑いしかでてきませんがね! ラスタルのほかに蒔苗のジイサマとかテイワズの親分とかもムリヤリいいハナシにまとめるための善人化がひどすぎます。いちばんハラたつのはクーデリアがケバくなったことだが

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 いやね、俺ね、ガエリオの前途を嘱望していたんですよ。はじめ貴族のおぼっちゃんとしての長所と短所をかねそなえ、劇中でさまざまな出会いと別れを経験し、この世界の善悪を自分なりに見きわめ、ラスタルに面従腹背して最後には反旗をひるがえし、ついにはロマンチストのマクギリスにはついになしえなかった、現実に根ざした理想主義を実現してくれるのではないかと期待していたんですよ。でも結局は最初期のおぼっちゃんに逆戻りし、成長したジュリエッタといい雰囲気になっていました。
 チクショウ、俺の期待を裏切って小市民的な幸せを手に入れやがって! 末長く爆発しろ!

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 チャドの霊圧が……消えてない……だと……?

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 ノブリスがウンコしてたら大人ライドにハジかれました。しかしノブリスがライドにオルガのことをきかれて完全に忘れていたのには失笑せざるをえません。オルガはしょせんノブリスにとってはその程度の男にすぎませんでした。ライドからすればそうでなかったにしても。

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 アトラは背と髪がのびました。あと三日月との子どもをさずかっていました。三日月の息子のアカツキ、髪のほかは父親のDNAが濃すぎます。もし母親がクーデリアだったら金髪になっていたことまちがいなし。ドラクエⅤの勇者みたいです。なおクーデリアはアカツキの手を未来をつかむ手だといっていたけれど、このアニメにでてくる未来だの信念だの幸福だのといったコトバはどれもこれもつかう人によってぜんぜん意味あいがちがってくるフワフワしたシロモノなのでエンディングの泣かせどころのはずなのにちーとも感動も共感もできませんでした。積みかさねって大事ですね。

 総評にうつります。作品への愛がほぼゼロになってしまったのでカンベンしてほしいところだけれど前後四クールのつきあいなので自分なりのケジメをつけるつもりで書いてゆきます。
 このアニメ、はじめのころは大好きでした。深夜枠でもないのに暗く暴力的で救いのない世界観と、それを体現する主人公の三日月のキャラクターがもうしぶんなくマッチしていて、毎週の日曜五時がまちどおしかった。その思いがうすれはじめたのは第一期の後半あたりからです。ドルトコロニーのあれこれのせいではじめのころは重厚に思えた世界観が案外うすっぺらに感じられ、麻呂女の悪い意味での活躍やビスケットのテキトーきわまる死にざまにあきれ、第一期ラストでラフタやシノが死ななかったことには正直どううけとっていいものか悩んだものです。第二期は迷走につぐ迷走で、特にマクギリスがバエルを手にいれてからの世界全体の知能指数の低下には落涙する思いでした。そして絶句するほかないラスト。いやホントにラストがあまりに滅茶苦茶なものだから、これだけで俺のなかで鉄血はOOの下に位置づけられるにいたったくらいです。
 主人公が負けて死ぬこと自体はいいんですよ。ガンダムらしくない最後だといわれても、俺はガンダムらしさがどうのこうのというのにハナクソほどの値うちもみとめていないのでどうでもいいことです。むしろ主人公全滅エンドというのはガンダムの間口をひろげたものと評価していいんじゃないかと言ってやりたい。俺が文句をいいたいのは結果ではありません。過程なんです。
 最終的に敗北するにしても、トップが考えなしにマヌケな死にかたをしてゆくのではなく、第一期みたいに虫がよすぎるほどに奇策を成功させつづけ、しかし鉄華団が生きのびるためにどうしても必要な犠牲をはらわざるをえず、しかもギャラルホルンは圧倒的な物量を間断なく投入してくるため、鉄華団は命も精神もすりへらしてゆき、視聴者が神の目でみてもあきらめるほかないような負けかたに帰着した、という展開になってほしかったんです。結果はごらんのとおりですがね!
 要するに制作陣はみずからが創造した世界とキャラクターを完膚無きまでにコケにしてくれたのです。それが実に、まことに、ホントーに、不愉快でした。

 最後に。
 このアニメを観るまで岡田麿里氏は俺にとって『フラクタル』の脚本の人でした。このアニメを観終えてからは『フラクタル』と『鉄血のオルフェンズ』の脚本の人になりました。最底辺の評価からまさかそれ以下に転落するとは思ってもみなかったぜ!




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