保険 アリコ Moon of Samurai 2006年08月

月別アーカイブ

 2006年08月 

漫画ナツ100・レビューその10 


091.原作・山田風太郎/作画・せがわまさき『バジリスク』

 あらすじ:甲賀卍谷と伊賀鍔隠れはともに忍者の里である。徳川家康は二つの里からそれぞれ十人づつを選出して殺し合わせ、どちらが最後まで生き残るかによって徳川家の跡継ぎを決定することにした。
 レビュー:人外フリークスどもが繰り広げる異形のバトル。オヤジキャラと萌えキャラをきちんと描き分けられる画力は見事。もちろんストーリーも問答無用の面白さ。なおバジリスクとは邪視の力を持つとされる空想上の怪物であり、里の頭目二人が操る瞳術を隠喩している。
 ひとこと:荒木飛呂彦の能力バトルは六十年前に山田風太郎が到達している!!



092.山田芳裕『大正野郎』

 あらすじ:平徹は大正時代を愛し、芥川龍之介を目指すアナクロ大学生である。彼は自分なりのスタイルを貫き、そのダンディズムに悦に浸る。
 レビュー:正直、レビューしようがない漫画である。別に奇想天外なプロットも目新しいアイデアも登場しない。が、この作者が醸し出す独特の雰囲気がいい。定規を使わずに筆で描かれた枠線もマッチしている。
 ひとこと:「遺憾な、これは」



093.山田玲司『Bバージン』

 あらすじ:住田秋はまったく女にもてない生物オタク。彼は一目惚れの相手にふさわしい男に成長するために生物学への情熱を殺す。そして姉妹たちの厳しいシゴキの果てに大学ナンバーワンのモテ男に変貌する。
 レビュー:この漫画を描くに当たって作者は「思想は当時の消費税3%だけにして、残りの97%はすべてエンタテイメントの、低俗作家になってやる」と宣言したがそれは正解だっただろう。この作者の青臭い思想は変わらないがそれほど鼻につく分量ではないし、それ以上に作品として昇華されている。
 ひとこと:『絶望に効くクスリ』は存在そのものが絶望。



094.ゆでたまご『キン肉マン』

 あらすじ:キン肉マンはキン肉星の王子だが、赤ん坊のころにブタと間違えられて地球に捨てられる。彼はダメ超人と笑われながら超人オリンピックで優勝、カメハメに四十八の必殺技を伝授されて敵たちをなぎ倒していく。
 レビュー:ゆで物理学に代表される矛盾のオンパレードは有名すぎる。そういう意味では80年代のジャンプを代表する漫画。リアルタイムで読んでいたらそれほど気にも留めずに純粋に楽しめていたであろう。実際、自分に突っ込みを禁止して読めばかなり面白い。
 ひとこと:「へのつっぱりはいらんですよ」



095.横山光輝『三国志』

 あらすじ:黄河の流れを飽かずに見つめる青年がいた。彼の姓名は劉備。中山王劉勝の末裔である。彼は義兄弟の関羽と張飛とともに、漢を混沌に巻き込んでいた黄巾族と戦う。
 レビュー:三国志に入門するには最適の漫画。オーソドックスとはすなわち王道である。蜀が天下を統一できずに魏に滅亡させられてしまうラストは当時のチビっ子たちを困惑させたことであろう。
 ひとこと:演義ベースなので“歴史的に正しい”ツッコミは野暮というもの。



096.横山光輝『水滸伝』

 あらすじ:宋代、洪大尉はふとしたはずみで108の魔王を世に解き放ってしまう。時代は流れて徽宗の御世。108の好漢たちは運命に導かれて梁山泊に集う。
 レビュー:上の『三国志』よりも横山光輝テイストの強い娯楽漫画。お子ちゃまをターゲットにしているので、好漢たちは人肉料理も食わないし老若男女を皆殺しにしたりもしない。あとこの漫画では宋広が毒殺されるまでは描かれていない。
 ひとこと:『ジャイアントロボ』に登場するキャラが多すぎ。



097.吉田秋生『BANANA FISH』

 あらすじ:ニューヨークのストリートチルドレンのボス・アッシュは瀕死の男から“バナナフィッシュ”の言葉とともに謎の薬品を受け取る。麻薬に侵されてベトナムから帰還した兄グリフィスもまた時折“バナナフィッシュ”と呟く。薬品の正体を確かめようとするアッシュはやがてコルシカ・マフィアの陰謀に巻き込まれていく。
 レビュー:未来永劫、少女漫画のベスト10から転落することはないと思われる傑作。文法はかなり少年漫画に近い。読んで損はないと断言できる数少ない漫画。
 ひとこと:アッシュの顔が変わりすぎ。



098.渡瀬悠宇『ふしぎ遊戯』

 あらすじ:高校受験を間近に控えた夕城美朱と本郷唯は『四神天地書』と題された古書に吸い込まれる。目を覚ました美朱たちが目にしたのは中世の中国に似た異世界であった。
 レビュー:少女漫画の皮を被った少年漫画。ノリはほとんどファンタジーロールプレイングゲーム。五行説や二十八宿や『南総里見八犬伝』や『ドラゴンボール』が混じっているが単体として面白いので問題なし。
 ひとこと:かつて夏休みの宿題を忘れて読み耽ってしまった。



099.渡辺電機(株)『ダンジョン退屈男』

 あらすじ:ゴブリンとコボルドの子供たちが冒険者に襲われているところをローニンが通りすがり、二匹を助ける。それが縁でローニンはサキュバスの家で居候になる。
 レビュー:Wizardryをベースにした漫画であるが、世界観が滅茶苦茶である。ワードナはボケ老人でヴァンパイアロードはその介護に追われ、マーフィーズゴーストは西海岸の頭の悪いアメリカ人のようにスケボーを乗り回す。だがそれがいい。
 ひとこと:ミフネはある意味ニートの理想像。



100.和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』

 あらすじ:幕末最強の剣客、人斬り抜刀斎。彼は維新が成った後、流浪人として各地を放浪。十年の果てに東京の神谷活心流道場に草鞋を脱ぐ。
 レビュー:少年漫画では珍しく歴史を題に採って大ヒットした。アメコミ調のデザインや格ゲー風味のバトル、そして同人臭さが特徴。作者は本当に司馬遼太郎のファンなのか疑ってしまうほどに明治政府を全否定している。
 ひとこと:「俺が殺すと言った以上、貴様の死は絶対だ」





漫画ナツ100・レビューその9 


081.三笠山出月『うめぼしの謎』

 あらすじ:そんなものが実在するならこちらが知りたい。
 レビュー:ガンガンでそれなりに成功したエニックスが発行した四コマ月刊誌『ギャグ王』。低年齢層をターゲットにしたラインナップの中でひときわ異彩を放っていた不条理四コマである。たまに五コマになったり枠が消えたりする。
 ひとこと:作者の反骨精神が災いして打ち切られた(らしい)。



082.水島新司『あぶさん』

 あらすじ:景浦安武は高校野球の地方予選決勝で飛距離155m以上の特大ホームランを放つが、二日酔いのせいでベースランニング中に嘔吐。後に社会人野球に進むがトラブルの末に免職。南海ホークス(当時)のスカウトにより代打専門として入団する。
 レビュー:主人公は天才スラッガーでありながら酒のために大成できなかった敗北の人。そんなスタンスが貫かれていた初期は掛け値なしの名作だったのだが、長期連載のせいで全てはぶち壊しに。
 ひとこと:有終の美という言葉を知らんのか。



083.光原伸『アウターゾーン』

 あらすじ:謎の美女ミザリィが水先案内人を務める奇妙な世界“アウターゾーン”。そこでミザリィは語り部として、時に傍観者として、まれに当事者として登場する。
 レビュー:マンガ版「世にも奇妙な物語」とでも言うべきオムニバス形式の作品。後半は作者が息切れしたのか、レギュラーキャラが前面に出張って内容の薄いアクションを展開する下作が多くなってしまった。それまでは佳編が多い。
 ひとこと:ミザリィがエロかった。



084.みなもと太郎『風雲児たち』

 あらすじ:維新の群像を描く歴史漫画……のはずだったが、幕末に至るまでの経緯を語るために関が原から延々と江戸時代が描き出されていく。
 レビュー:自称進歩的知識人らしい意味での日本嫌いと寒すぎるギャグに目を瞑れば、行商して売り歩きたいくらいの傑作歴史漫画。学校の図書館にこの漫画が置かれていないのは社会科教師の怠慢であると断言したい。
 ひとこと:手塚治虫のいらんところまで神格化・模倣しなくてもいい。



085.宮下あきら『魁!! 男塾』

 あらすじ:日本中のゴンタグレどもが集う私塾“男塾”。そこでは次代の日本を背負って立つエリートを育てるために封建的・軍国主義的なシゴキが行われ、そこで塾生たちは男を磨いていく。
 レビュー:民明書房の記述は事実……そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
 ひとこと:「死亡確認」



086.村枝健一『RED』

 あらすじ:19世紀末のアメリカ西部。スー族の一部族ウィシャは米軍第七騎兵隊・ブルー小隊によって一人の少年ティヨーレを除いて皆殺しにされる。それから十年。生き延びたティヨーレはブルー小隊の名簿を入手し、その生活と自らの名を捨てて復讐の旅に出る。
 レビュー:重厚極まりない復讐譚。それぞれ重い過去を背負う登場人物たちと、複雑に影響しあう人間関係が圧倒的なパワーでストーリーを牽引していく。もちろんガンアクション漫画としても一級品。暴力・流血シーンが多いが、耐性のある人は何を置いても読むべし。
 ひとこと:アドレナリンを多量分泌して燃え死ね。



087.森川ジョージ『はじめの一歩』

 あらすじ:母子家庭でいじめられっ子の幕之内一歩。クラスの不良に絡まれているところをボクサーの鷹村守に助けられたことでボクシングに興味を持ち、鴨川ジムに入門してプロボクサーとしての道を歩み始める。
 レビュー:押しも押されぬマガジンの大黒柱。最近の萌え偏重の風潮もまるで影響を受けずに、主人公の一歩のように愚直なまでにストイックにボクシング一筋を貫いている。連載初期からほとんどスタンスを変えずにここまで長く連載を続けているのは偉業と評しても差し支えないだろう。
 ひとこと:最近は中だるみ状態?



088.諸星大二郎『孔子暗黒伝』

 あらすじ:桓魋の難から逃れた孔子は西周時代の遺跡に辿り着き、そこで「宇宙の子」赤と出会う。
 レビュー:作者は手塚治虫をして「自分は諸星大二郎だけは描けない」と言わしめた独特すぎる漫画家である。言語を絶するほどに深遠な内容なので詳しくは書かないが、とにかく読んでもらいたい。
 ひとこと:酒やドラッグよりもトリップできる恐るべき漫画。



089.諸星大二郎『西遊妖猿伝』

 あらすじ:時代は隋末唐初。孫悟空は野人にさらわれた母を持ち、赤子の内に人里に捨てられた。彼は無支奇と名乗る荒ぶる神と出会い、斉天大聖の称号と無双の剛力を手に入れる。
 レビュー:『西遊記』をベースにした伝記アクション漫画。『孔子暗黒伝』よりは一般向きの内容である。
 ひとこと:諸星大二郎は保護されるべき。



090.山口貴由『覚悟のススメ』

 あらすじ:21世紀初頭、全世界規模の地殻変動によって荒廃した近未来。生き延びた人々を襲う改造人間「戦術鬼」を倒すため葉隠覚悟は強化外骨格「零」を身に纏う。戦術鬼を率いるは覚悟の兄、現人鬼・散。これは人類の存亡を賭けた壮大な兄弟喧嘩である。
 レビュー:熱い。ただ熱い。すこぶる熱い。はなはだ熱い。ひたすらに熱い。とてつもなく熱い。どうしようもなく熱い。極めて熱い。恐ろしく熱い。素晴らしく熱い。非常に熱い。異様に熱い。無類に熱い。猛烈に熱い。何もここまで、と突っ込みたくなるくらい熱い。つまり熱い。
 ひとこと:全てのセリフが名言という奇跡の漫画。





ハヤテのごとく! 第93話 

 第93話は「恋のマジカルハヤテ、ルンルン」がんばれ男の子!! です。
 サブタイトルの由来は最近ハヤテでもよくネタにされるようになったアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』第1話「朝比奈ミクルの大冒険 Episode00」劇中歌の歌詞“恋のマジカル、ミクルンルン”でしょう。本当に第二期やってくれませんかね、京都アニメーションさん。
 今週の扉絵は前回と同じようにハヤテ一人。ハヤテのヒロイン化が深く静かに進行中。

hayate_93_01

 女性陣に大好評のメイド服ハヤテ。早く元に戻れるように頑張るそうですが、呪いが解けても今回の件で開眼してしまったナギとマリアさんにコトあるごとに女装させられそうな気がしてなりません。まあこんな人たちとは大違いなだけハヤテはマシです。
 さて執事服に戻るのが不満な咲夜から一つの疑問が提示されます。

hayate_93_02

 この顏……やっぱり上から下まできっちりパーフェクトジオング、完成形態に換装されていると見て間違いないでしょう。スカート付きの異名は伊達じゃない! え? そりゃドムだって? 細かいことは気にしない。そんな一枚の布越しのアルカディアをその目に焼き付けようと、『ハヤテのごとく!』が誇るエロエロ大魔神(いま命名)咲夜の魔の手がハヤテのスカートに迫る! まあお嬢さまシスターズでは一番のお姉ちゃんなので最後の一線までは踏み越えませんでしたけど。

hayate_93_03

 生徒会三人娘あたりにこの表情を見られていたら寸毫の暇すら与えられずに絶好の標的にされていたことでしょう。
 人目につかずにハヤテがヒナ祭り祭りに潜行できるお膳立てを整えるため、そしてヒナギクに事情を説明するために咲夜と伊澄は三千院邸を後にします。そしてハヤテはマリアさんに人形師の呪いが掛けられていることを説明するのですが。

hayate_93_04


















 ジョジョは切れ味がある分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われているパロディの基本形。対して斬は見た目なんかはジョジョとあまりにも変わっている上にあえて七歳の幼女に描かせた分しょぼさと脱力感をかなり増加させて笑わせることより笑われることを目的とした玄人好みのあつかいにくすぎるネタ。使いこなせねぇと空気漫画よりひどいただのインクに汚れた藁半紙みてぇなもんだってのに何で畑先生は?

 今この瞬間、確かに畑先生は大亜門先生の領域を踏破した!
 さらに雑誌の壁も踏破した!
 そのうちときめもファンド騒動で身に着けた自粛の精神さえも踏破しそうで怖いです。


 さて事情は把握したとマリアさんは言ってくれましたが。

hayate_93_05

 マリアさんは腹黒いだけでなくかなり面白おかしい思考回路の持ち主でした。いや、ハヤテの主張を強引に無視して自分の趣向を押し付けようとしているわけなので、やっぱり純粋に腹黒いだけなのかも。あと現代日本で本職のメイドさんが働いていることのほうがよっぽど非科学的だと思うのは俺だけですか?

 所変わってヒナ祭り祭りのメインヒロイン、ヒナギクにスポットが当たります。前回から引き続いて幽霊神父も傍にいます。彼のアドバイスから自分が本当に望むものは何かと心に問いかけます。

hayate_93_06

 ついにデレモードへ移行するかと思いきや、ヒナギクが得た結論は。
“マラソン大会の決着がついていなかったから”
 モノスゴイ発想の転換です。
ヒナギクの素直になれない性格は尋常ではありません。
 そしてヒナギクの一人合点を補強すべく伊澄は手紙を渡します。伊澄は口下手だしうまく文章化も出来なかったので要点だけまとめたのですが、まとめすぎたせいでヒナギクは果たし状と勘違い。今までの心のモヤモヤはどこ吹く風と闘志を燃やします。

hayate_93_07

 さて三月三日、ヒナ祭り祭りの当日です。ハヤテは咲夜とワタルを伴って木陰で祭りを観察します。あ、伊澄は一コマも一緒にいることなく迷子になりました。

hayate_93_08

 FFの白魔道士ではなく真っ先にドラゴンスレイヤーⅣのネコミミ少女ミユを思い出してしまった俺はマニアックすぎますか。そうですか。
 ヒナ祭り祭りの本義はバレンタインの逆で男が女を誘い、一緒に踊って思い出を作るイベントだそうです。それを知っていながら伊澄を探しに行かずにハヤテに付き合ってくれるワタルは律儀な男です。単に踊りに誘えないだけのヘタレの可能性も高いですが。
 とにかくハヤテは誰にも見つからずに時計塔まで辿り着こうと力を入れますが、次のコマであっさり瀬川嬢に発見されてしまいます。なぜコートを着ているのかと訊かれてハヤテは自爆

hayate_93_09

 いじめられるのが好きな瀬川嬢さえSの波動に目覚めさせるハヤテは『デトロイト・メタル・シティ』の資本主義の豚すら凌駕する完全無欠のM男君なのでしょう。
 さて校舎ではニューフェイスが登場。話の流れから瀬川嬢の執事らしいキャラで、名前は虎鉄。きっと生徒会三人娘の残り二人の執事の名前は兼定則宗でしょう。そして実は虎鉄は魂の名前で本名は清麿。はい、仰るとおり『新撰組血風録』の読みすぎです。そもそも漢字が違うし。
 そんな虎鉄君は正真正銘の喪男。くだらないとか不純異性交遊を助長するものとかヒナ祭り祭りを悪く言いますが。
「さ……誘いたくても誘う勇気のない“漢”たちはいったいどんな夢を見れば……!!」
 布団を引っ被ってリアルの夢でも見てなさい。

 さて女性に告白する勇気など持ち合わせていない虎鉄君にも女神が微笑みます。悪魔の尻尾を生やした邪神っぽい方ですが。具体的に言うと学園漫画の定番、美少女との衝突イベントの発生です。

hayate_93_10

「性別って何? 食えるの?」と逝ってはいけない世界に旅立ってしまいそうです。そんなハヤテとの邂逅に虎鉄君は喪男らしく
「運命が……来たぜぬるりと――」
と『アカギ』ネタを心でかまします。そしてハヤテの名前を小一時間問い詰めて。

hayate_93_11

 今回の畑先生は未来も将来も明日さえも捨てて今日を闘い抜く漢でした。

 




漫画ナツ100・レビューその8 


071.藤原カムイ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』

 あらすじ:かつて大魔王ゾーマを討ち倒した勇者アレルには二人の息子がいた。長男ローランと次男カーメン。彼らはアレフガルドから帰還し、二つの王国を建てた。そして百年。異魔神と呼ばれる魔王のために、世界は再び闇に閉ざされようとしていた。
 レビュー:舞台はドラクエⅢの百年後の世界、ドラクエⅠに先行する時代である。『ダイの大冒険』よりも原作の世界観を強く反映しているが、それでいてきっちり漫画として成立している。『ダイの大冒険』に隠れている感があるが、こちらも名作である。目に付く欠点といえば、主人公のアルスが優等生すぎることくらいか。
 ひとこと:藤原カムイはどうもメジャーになりきれない。



072.古谷三敏『BARレモンハート』

 あらすじ:場末のバー、レモンハート。店のマスターと常連客のメガネさんと松ちゃんを主軸に据え、さまざまな客たちと織り成す酒のドラマ。
 レビュー:作者は戦前生まれで手塚治虫や赤塚不二夫のアシスタントを務めたこともある超ベテラン。豊富な薀蓄で有名。漫画好きにも漫画を読まない人にも勧められる。まあ『ダメおやじ』の中の人なので萌えを期待してはいけないが。
 ひとこと:超マイナー漫画のくせに600万部突破。



073.古谷実『行け! 稲中卓球部』

 あらすじ:稲豊市立稲豊中学校の男子卓球部は部員が六人の弱小部。数は少ないが一騎当千の変態ぞろい。壮絶な馬鹿どもは今日も行く。どこへ? 知らん。
 レビュー:思春期特有の馬鹿さ加減を余すところなくギャグ漫画として表現した傑作。暴力やエロやスカトロのような下品なギャグが多いが、それがこの漫画の持ち味である。
 ひとこと:作者には再び純粋なギャグ漫画を描いて欲しい。



074.原作・武論尊/作画・原哲夫『北斗の拳』

 あらすじ:200X年。核の炎は世界を滅ぼし尽くして革ジャン着たモヒカンの悪党がチェーン振り回して暴れるような未来をもたらした。そんな地獄に伝説の暗殺拳・北斗神拳の正統伝承者ケンシロウは立ち、北斗神拳と表裏を成す南斗聖拳や、天を目指す兄ラオウたちと戦っていく。
 レビュー:独特な断末魔の悲鳴や濃すぎるキャラクターや印象深いセリフ回しのおかげで今に至るもネタにされ続けている。が、それはそれとして虚心に読んでも無茶苦茶に面白い。伊達にジャンプ黄金期を支えてはいないのである。
 ひとこと:第二部は蛇足。



075.細野不二彦『ギャラリーフェイク』

 あらすじ:贋作を専門に扱うアートギャラリー「ギャラリーフェイク」のオーナー藤田玲司は金に汚く裏社会とコネクションを持ち、業界の鼻つまみ者。しかし芸術に関する造詣と美術品の修復技能は神業に近い。
 レビュー:芸術に関する薀蓄で埋め尽くされている。しかし漫画単体としても充分に面白いし、サブキャラも味がある。美術品を扱う漫画なので、割とオカルト話にも発展する。美術教師は最初の授業でこの漫画を生徒に勧めるべきである。
 ひとこと:芸術版ブラックジャック。



076.原作・ほったゆみ/作画・小畑健『ヒカルの碁』

 あらすじ:平凡な小学生、進藤ヒカルは祖父の家の蔵で古い碁盤を見つけ、平安時代の棋士・藤原佐為の霊に憑依される。囲碁のことしか頭にない佐為に振り回されるだけのヒカルだったが、同い年で天才的な囲碁の才能を持つ塔矢アキラと出会い、彼に触発されて碁に魅せられていく。
 レビュー:かつての囲碁ブームの火付け役だが、どれだけ熟読しても絶対に囲碁は上達しない囲碁漫画(漫画はたいていそんなものだが)。練りこまれた原作と超絶に巧い作画で読ませる。題材が珍しいことを除けば、昨今では珍しいくらいストレートな少年漫画だったりする。
 ひとこと:久しぶりに来週の月曜日を待ち遠しくさせてくれた。



077.ほりのぶゆき『江戸むらさき特急』

 あらすじ:時代劇をパロディ化した四コマ漫画。これで充分。
 レビュー:パロディ漫画ではあるが元ネタを馬鹿にするような不愉快な感じはしない。作者が時代劇を愛しているからだろう。たぶん。ギャグは馬鹿馬鹿しいが何度読んでも飽きない。ラストの方は同じネタを使いまわしていたのが画竜点睛を欠いている。
 ひとこと:プレステ2の『悪代官』も併せて楽しまれたし。



078.松沢夏樹『突撃! パッパラ隊』

 あらすじ:銃で撃たれても死なない“死神”水島中尉は「地獄の最強部隊」と恐れられるパッパラ隊に転属される。しかしその実態は、真面目に戦争する気のないお騒がせ部隊だった。不条理で破天荒なキャラクターたちが活躍するギャグ漫画。
 レビュー:テンションはかなり高い。映画ネタやアニメネタや漫画ネタが随所に挟まれている。後半はどんどんハーレム化が進行。あと作者の趣味で温泉とカレーがやたらと頻出する。
 ひとこと:しっと団は永久に不滅です!!



079.真鍋譲治『銀河戦国群雄伝ライ』

 あらすじ:神聖銀河帝国皇帝の崩御に伴い、多くの軍閥が抗争を繰り広げた。やがて五丈国主の比紀弾上が北天を制圧する。そんな乱世において、五丈軍の一兵卒の竜我雷は徐々に頭角を現していく。
 レビュー:鎧具足に身を固めた将兵が宇宙空間で白兵戦を繰り広げるという、SF考証を完全に放棄している漫画。初期は日本の戦国時代を反映した世界観だったのに、やがてなぜかノリが史記&三国志に。そういうカオスが魅力。野望に燃える主人公が武勲を立てて乱世でのし上がっていく架空戦記物語としてもかなり面白い。
 ひとこと:ライが五丈王になるあたりがピーク。



080.三浦建太郎『ベルセルク』

 あらすじ:鉄塊と呼称される大剣を振るう隻眼隻手の剣士ガッツ。彼は使徒と呼ばれる怪物どもを狩るために各地を放浪する。それはかつての親友であり、自分と仲間たちを生贄に捧げて魔王へと転生したグリフィスを追い求めるためであった。
 レビュー:当時マイナー雑誌だったヤングアニマルを現在の地位に押し上げた看板作品。世界観としては手垢のつきすぎた中世ヨーロッパをベースにしているが、作者の圧倒的な技量のせいで少しも陳腐さが窺えない。「黄金時代」は神域に達していると断言できる。
 ひとこと:モズグス樣が昇天されてからはパワーダウン気味。





バカ漫画レビュー『斬』五太刀「忍武士」 

 どっちやねん。
 といきなりサブタイトルに突っ込んでしまう今日この頃。ソーゼツ、チョーゼツ、大ザセツ(あと五回くらいで)の『斬』のレビューの始まりです。

zan_05_01

 相変わらず読者を愉快にさせようという努力が一向に見当たらない表情で斬が絶叫します。常識人の貫木は
「おいおい。
 何だよ、その宇宙人を見た様な反応は」

と突っ込みますが、むしろ連続殺人鬼を見たような反応でしょう。
 あ、この世界では珍しくもありませんでしたね、ハハ!(物凄く相手を小馬鹿にした口調で)
 貫木は続けて斬に説明します。
「昔は忍も沢山いたらしいが……
 今じゃその血を引く奴なんてほとんど残ってねぇからな……」

 あのー、それって君と違って忍者らしく普通に忍んでいるだけなのでは?
 忍者はスパイであり、情報収集やゲリラ戦に従事するために自分の正体を明かしてはならない宿命を背負っています。そして忍者の本業は戦闘ではないので敵と出会ったときは何よりも逃走を優先します。しかし貫木君は自分の立場を理解できずにあっさり正体を暴露するわ真剣勝負をしたがるわのトリ頭クンです。そのため、他の忍はとばっちりを食わないように彼をハブっているものと推測されます。
 貫木君はかわいそうな子なんです。すぎたんはもっとかわいそうな子なんです。

 居合いを止めて研無刀を構える斬に貫木は手裏剣五枚を同時に投擲します。ちゃんと一枚づつ狙えって。もっともそんな無茶な攻撃が功を奏して斬は左腕を負傷します。さらに貫木は手を休めず、今度は十枚

zan_05_02

 どうやったら右手一本でこんな投げ方ができるんだよ。
 斬は第一話のように研無刀を無茶苦茶に振り回します。すると。

zan_05_03

 一枚残らず叩き落せました。主人公補正もたいがいにしろ!!
 なんだかジョジョ第三部での承太郎とDIOの息詰まる駆け引きが馬鹿にされた気分です。
 DIO様! 斬が何秒動けようと関係のない処刑を執行してください!

zan_05_04

 ついでに言えば手裏剣が飛んでくる角度が滅茶苦茶です。一番上のなんて、貫木がジャンプしないと無理でしょう。『内閣権力犯罪強制取締官財前丈太郎』第一話の銃の構え方を彷彿とさせます。だっぼん。
 さて貫木はまたもや攻撃方法を変えます。刀を納めてへっぽこカンフーを構え、またもや長い長いネームを語り出します。
「フッ。
 刀を使えば一太刀の最高速度はかなりのものになる……
 が……
 反面、刀が重い分その最高速度に達するまでに小数点以下の世界で時間がかかっちまう。
 しかし拳を使えば刀の重さもないし、とっぱじめから最高速度の一撃がくりだせるっつうわけだ!
 リーチは短くなるし威力も落ちるが俺のウリはスピードだ。
 いくらお前が居合で超高速太刀を放とうと、俺の拳には勝てない……
 先手必勝! 攻撃は最大の防御だ!!」

 真剣よりも素手の方が強いというワンダーランド。
 剣道三倍段という格言を知らんのか。
というか素手で真剣を振るう相手に向かっていくにはよほどの理由付けが必要のはずですが。
 あとそんなに最高速度にこだわりたいんだったら、Wizardryの忍者を見習って裸で攻撃しろ。もしまともな忍者だと主張したいのなら忍者らしく匕首使え。
 ついでに。

zan_05_05

“貫木。お前の目は見えているのか!
 あれが居合いの構えか!? あれが居合いの構えか!?“

 とうっかり強化外骨格に宿る3000の英霊のようなツッコミをかましてしまいました。
 ともあれ貫木は超スピードで正面から斬に突進。
>そのスピードで正面から斬り掛かった方が速いだろ
前回俺が指摘していた作戦を実行します。最初からやっていれば良かったのに。

zan_05_06

 腹の底から「ザマミロ&スカッとサワヤカ」の笑いが出てしょうがねーぜッ!
 殴り飛ばされた斬は地面と平行に飛行。顔面に喰らったんだから頚骨がヘシ折れていても不思議じゃないんですが。
 さて貫木はそんな斬を三連コンボ。リアリズムのカケラも見当たらない見事な格ゲーバトルです。

zan_05_07

 この世界にはサマーソルトキックをかます忍者ガイル。
 あと、せっかく研無刀を手放させたのにわざわざ一緒に蹴り飛ばしてくれる貫木君は頭がどうかしているととても親切だと思います。

   ↓サマーソルトキックの二コマ前
zan_05_08

 ダウンした斬に貫木は降参するかと訊きますが、斬は武士(おとこ)らしく立ち上がります。そしてやっぱり都合よく暴走モード突入。

zan_05_09

 どこが?
 ……はっ! ゲフンゲフン! いやはや失敬、つい本音がポロリと失言してしまいました。そうですね……うぅむ……
 いつもより多めにホコリを巻き上げております!
 まあフォローになっていないフォローはさておき。貫木は「な、何なんだよ。この嫌な感じはよぉ」急にヘタレて素手ではなく手裏剣で攻撃します。

zan_05_10

 だから投げすぎだっつーに。
 確か相原コージの忍者漫画『ムジナ』には、手裏剣一枚は100~200グラムくらいだから携帯できるのは十枚が限界とあったはずですが……。着実に『MUSASHI-GUN道-』化が進行しているようです。あ、これって今更でしたっけ?
 斬はさっきと同じように防御。研無刀使いに一度見せた技は通用しない!

zan_05_11

 角度がおかしいのはさっきと一緒ですが、十八枚中十二枚しか防御できていません。撃ちもらした手裏剣はどこへ飛んで行ったのでしょうか? 本気でどうしようもなくなってきました。なお貫木は弾き返された手裏剣を左足に喰らいます。
 その後、斬の攻撃を貫木は宙に跳んでかわします。手応えのなかった斬は暴走モード終了。頭上からの貫木の攻撃に気づかないまま来週に引きます。

 そこで問題だ!
 この絶体絶命の危機でどうやってあの攻撃をかわすか?
   3択――ひとつだけ選びなさい
答え①ハンサムの斬は突如主人公補正が働いて察知できる
答え②仲間がきて助けてくれる
答え③かわせない。
   現実は非情である。

 俺が○をつけたいのは答え②だし期待もできる……
 斬に全てを押し付けて去って行った月島さんがあと数秒の間にここに都合よくあらわれてアメリカンコミック・ヒーローのようにジャジャーンと登場して「相手の死角から攻撃するなんて卑怯よ!」と間一髪背後から奇襲してくれるってわけには結局すぎたんワールドだからいくだろーぜ。

zan_05_12


 こんなふうに。



漫画ナツ100・レビューその7 


061.西川秀明『Z MAN』

 あらすじ:遠い未来、人類は新しい生命体“イーデア”を誕生させた。しかし後にイーデアは人類を粛清しようと暴走を始める。それから千年。イーデアは人間を捕食するようになっていた。イーデアに襲われる少女ヤティマ。彼女の叫びに呼応するかのように石柱から少年が飛び出し、イーデアを倒す。ヤティマは彼を“ナナシ”と名づける。
 レビュー:思いっきり藤田和日郎していた漫画。“日本一熱い少年漫画誌”の三分の二くらいの熱さを担当していた(当社比)。草創期のガンガンを支えた良作だが、こういうストレートな漫画は現在のガンガンには合わないだろう。
 ひとこと:え? 『職業、殺し屋。』? なにそれ?



062.丹羽啓介『キャットルーキー』

 あらすじ:万年最下位のプロ野球チーム・大和トムキャッツ。オーナーの球団身売りを」撤回させようとルーキーの雄根小太郎は奮闘する。
 レビュー:『ストッパー毒島』と同じようにパ・リーグをモデルにしたペナントレースを軸にストーリーは進む。三部作構成だが、タイトル通り主人公がルーキーに代替わりするので飽きさせない。
 ひとこと:十年以上も連載していた長寿漫画なのに超マイナー。



063.にわのまこと『THE MOMOTAROH』

 あらすじ:桃から生まれた桃太郎。その二代目が現代のマットで大暴れ! おとぎ話を下敷きにしたキャラクターたちがプロレスで戦うアクションギャグ漫画。
 レビュー:ギャグとシリアスのブレンドが子供心に非常に斬新だった。最終回は本気で落胆したものである。リアルタイムだと周囲の評価は低かったが、高校や大学のオタ臭い知人たちからはやたらと評判が良かった。
 ひとこと:にわのまことはこの漫画だけ読んでいれば充分。



064.長谷川哲也『アラビアンナイト』
 あらすじ:紀元八世紀、ウマイヤ朝はムハンマドに近しい血を引くアッバース朝に滅ぼされた。ウマイヤのカリフの孫、クライシュの鷹と畏敬されたアブドゥル=ラフマーンの奇想天外な活躍を描く。
 レビュー:あらすじだけ見ると歴史物語のようだが、実際は神々やら怪物やら異空間やら時空転移やらが幅を利かせるファンタジーアクション。古代オリエント神話が好きな人には無条件でお勧めできる。雑誌の休刊に伴う打ち切りが非常に惜しまれる。
 ひとこと:長谷川マジック万歳。



065.長谷川祐一『マップス』

 あらすじ:平凡な高校生のはずだった十鬼島ゲン。しかし彼は「風まく光」と呼ばれる秘宝の在り処を指し示す地図人間だった。彼は女宇宙海賊カリオン(実際は部下のリプミラ)に誘拐されるが、紆余曲折を経て彼女と宇宙に行く決心をする。そしてゲンは銀河を超えた規模の争いに巻き込まれていく。
 レビュー:呆れを通り越して笑いに到達してしまいそうなほどにスケールがでかいSF漫画。といって粗雑な内容ということはなく、やたら多い登場人物は無駄な配置というものがないし各所の伏線もラストまでにきっちりと回収された。見事に畳まれた大風呂敷である。
 ひとこと:これくらいの作品を描けないから最近の日本SF界は低迷を続けているのだ。



066.平野耕太『進め!! 聖学電脳研究部』

 あらすじ:聖学園高校に転校して来た西新井護は日本でも指折りの腕前を誇るゲーマーである。彼は初登校の前日にゲーセンで勝負をした綾瀬由紀の所属する電脳研究部に入部し、部長の寺門に率いられて馬鹿をやる。
 レビュー:プレステ雑誌に掲載されていたくせにプレステのゲームそっちのけでファミコンのレゲーやクソゲーを熱く語りまくっていた怪作。『HELLSING』の巻末マンガのような得体の知れないカオスとエネルギーが満ち溢れている。
 ひとこと:何気にエロい。



067.福本伸行『銀と金』

 あらすじ:森田鉄男は競馬場に舞う外れ馬券を札ビラと錯覚してしまう。彼は平井銀二、通称“銀王”に声を掛けられ、機転と度胸を武器に裏世界で悪党どもをねじ伏せていく。
 レビュー:なんの背景もない青年がギャンブルなどで強大な敵と渡り合うというスタンスは『カイジ』に似ているが、こちらの方がスケールは大きいし、主人公もダメ人間ではない。全11巻だが、現在の福本伸行作品の十倍の密度がある。
 ひとこと:今の福本伸行には続編を描いて欲しくない。



068.藤子・F・不二雄『ドラえもん』

 あらすじ:必要ないだろ。
 レビュー:無用だね。
 ひとこと:偉大なるマンネリズム。



069.藤田和日郎『うしおととら』

 あらすじ:蒼月潮は実家の寺の地下で槍に貫かれた妖怪と出会う。500年ぶりに開放された妖怪の妖気に引かれた低級な小妖怪どもを退治するために潮は「獣の槍」を抜き、妖怪を開放する。やがて潮は“とら”と名づけた妖怪とともに数奇な運命に導かれていく。
 レビュー:これぞ少年漫画。絵が熱い。ストーリーが熱い。そしてもちろん登場人物がどいつもこいつも熱すぎる。そして息切れすることなくラストまで突っ走った傑作。本編での感動をぶち壊しにしてしまいかねない勢いの巻末オマケ漫画も最高。
 ひとこと:「もう……喰ったさ。ハラァ……いっぱいだ」



070.藤田和日郎『からくりサーカス』

 あらすじ:加藤鳴海は中国拳法の達人だが、他人を笑わせるまで苦しみ続ける謎の病気「ゾナハ病」に罹っている。人を笑わせることが苦手な鳴海だったが、街でオドオドした才賀勝に笑ってもらえた。謎の人形に命を狙われる勝を助けた鳴海は、サーカスで銀髪の美少女「しろがね」と出会う。
 レビュー:基本的なノリは『うしおととら』と同じく熱い漫画。設定は非常に複雑だが作者の技量のおかげで読者はほとんど負担を感じずに楽しめる。後半の急すぎる巻き展開が瑕僅である。
 ひとこと:たぶん作者は日本で一番後付け設定が巧い漫画家。





今週の極東情勢 20060820~20060826 

 次の総裁選まであと一ヶ月。ただの消化試合に過ぎなくなりそうなくらい優勢な安倍さんは来月1日に出馬表明する模様です。「安倍応援隊」などとイマイチ微妙な通称の総合選挙対策本部も発足憲法改正教育改革日本版CIAの検討と、ちょっと風呂敷を広げすぎじゃねぇのと心配になりそうなくらいの意気込みを見せてくれています。とにかく日本が少しづつ“普通の国”になりつつあるのはめでたいことです。
 で、こんな人から反対が。「100万倍まし」って、小学校の朝の会で男子に文句をつける女子じゃないんだから。しかもそんな社民に選挙協力するみんす
 安倍さん、これからも頑張って社民や民主の逆コースをひた走ってください。



   今週のお笑い半島


   北朝鮮の海水浴場
 良心の足りない俺には合成写真にしか見えません。四十日ぶりに姿を現した将軍様と同様に。合成写真を見破る方法も併せてご覧ください。
 こんな国に支局を開設する共同通信よっぽど自社の経営を左前にしたいらしい。


   ムグンファ5号打ち上げ成功…韓国も通信衛星大国に
 フランスに製作してもらい、アメリカに打ち上げてもらって「世界の通信衛星大国のトップ10入りを果たした」と公言できる神経……。
 ま、いつものことですね。


   品の無い韓国人 台中力行少年野球チームに試合禁止
 台湾の野球少年たちの心中を思うととても笑えません。


   【日韓】 金容雲漢陽大名誉教授「日本語は全て古代韓国語から始まった」[08/25]
「お前がいくら嫌いダケド、私はお前が好きだ。」
 すでに日本語ではありません。


   番外
 Made in Chinaの真髄を見た!



漫画ナツ100・レビューその6 


051.手塚治虫『火の鳥』

 あらすじ:宇宙のエネルギーのひとしずく、火の鳥。その生き血を啜った者は永遠の命を得られるという。
 レビュー:手塚治虫のライフワーク。漫画という媒体はどんな表現だって出来るということを世に知らしめた名作。あまりくだくだしいことは書かないが、日本人として生まれたからには当然のように修めておくべき基本的教養。
 ひとこと:手塚治虫はなぜあんなにレイプ表現が好きなんだ?



052.手塚治虫『ブッダ』

 あらすじ:カースト制度という四段階の身分が確立していた紀元前のインド。シャカ族の王子シッダルタは何不自由ない暮らしを送っていたが、幼いころから死や身分差について思いを巡らしていた。後に彼は出家し、人々を救済しようと決意する。
 レビュー:超能力勝負とかけっこう好き勝手やってる。というか世界四大聖人の一人の口を借りて『火の鳥』の思想を語らせている(実際の釈尊とは正反対の思想だ!)手塚治虫は、やっぱり常人ではない。
 ひとこと:ブッダ(目覚めた人)のくせに死ぬまで悩み続けるシッダルタ。



053.手塚治虫『ブラックジャック』

 あらすじ:ツギハギの顔をした黒マントの男、ブラックジャック。彼は医師免許を持たないモグリではあるが、天才的外科医である。法外な料金と引き換えにさまざまな難病や怪我を治療していく。
 レビュー:最初は恐怖マンガ。コンピュータや幽霊や宇宙人まで治療してしまう。架空の病気が登場したり二世紀先くらいの技術が使われていたりと、割とトンデモ。しかし名作には変わりない。
 ひとこと:通読してみると主人公の言動が意外と支離滅裂。



054.原作・寺島優/作画・藤原カムイ『雷火』

 あらすじ:紀元三世紀前半、女王卑弥呼が治める邪馬台国。熊鬼山に住む雷火は邪馬台国の巫女の壱与と出会う。魏の帯方軍塞曹掾史・張政は卑弥呼を暗殺し、その罪を雷火に被せ、壱与を新しい女王に擁立しようと画策する。
 レビュー:古代日本が舞台という珍しい漫画。登場人物たちは国造りがどうのこうのと言っているが、ラストの超常バトルを見ると常人一万人がかかっていっても敵わないと思う。ちなみにラスボスの張政は『三国志』東夷伝に登場するれっきとした実在の人物。
 ひとこと:「きてはあ~!!」



055.冬目景『羊のうた』

 あらすじ:養父母と平凡に暮らす高城一砂は、古い記憶に導かれるようにかつての実家を訪れ、姉の千砂と再会する。一砂は千砂に父が死んだこと、高城家には発作的に他人の血が欲しくなり、最終的には発狂に至る奇病が伝わっていることを告げられる。
 レビュー:純文学的な雰囲気を漂わせる傑作。吸血鬼のような設定の高城の奇病だがアクションシーンはゼロ。微妙な心の動きを中心に静かに話は展開していく。近親相姦が一つのテーマだが気持ち悪さはまるで感じられず、禁忌を犯す清冽な罪悪感というイメージ。
 ひとこと:“羊の群れに紛れた狼はさみしい牙で己の身を裂く”



056.鳥山明『ドラゴンボール』

 あらすじ:不要。
 レビュー:不要。
 ひとこと:不要。



057.永井豪『デビルマン』

 あらすじ:不動明は親友の飛鳥了から、かつて地球を支配していたデーモンが氷の中から復活しようとしていることを知らされる。明はデーモンと合体しながらもその精神力で逆にデーモンの力を取り込み、デビルマンとして戦っていく。
 レビュー:映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ映画版さえなければ(以下無限ループ)
 ひとこと:黙示録エンディングの先駆け。



058.原作・七月鏡一/作画・藤原芳秀『ジーザス』

 あらすじ:伝説の殺し屋・ジーザス。彼は一トンのヘロインを奪い、自分そっくりの姿をした藤沢真吾の死体を使って自分が死んだと偽装した、しかし後に藤沢真吾は高校教師に内定していたことが発覚、さらにヘロインは黒板に隠されてしまった。ジーザスはヘロインを見張るために一年間、全く不慣れな高校教師を演ずることになる。
 レビュー:あらすじだけ見るとギャグ漫画かコメディーだしそういった部分もかなりあるが、実際はひたすらに熱いハードボイルドガンアクション漫画。打ち切りを喰らった後半は残念だが、ラストシーンの美しさは文句のつけようがない。
 ひとこと:純粋なヒーローが活躍する漫画って少なくなったな。



059.原案協力・七月鏡一/作画・皆川亮二『ARMS』

 あらすじ:高槻涼は幼い頃の事故で右腕に“ARMS”と呼ばれるナノマシンを移植された。やがて涼は軍産複合体を背景とする秘密組織エグリゴリに追われることになる。涼は養父に叩き込まれたサバイバル技術を駆使し、自分と同じようにARMSを移植された仲間たちとエグリゴリに立ち向かっていく。
 レビュー:サイボーグよりも人間が強い漫画。高槻涼は冷静沈着な万能キャラなので、この手の作品では珍しく主人公なのに熱血バカではない。ほとんどパーフェクトなので共感はしにくいが漫画としての面白さは折り紙つき。パーティーの名前の由来は『ゲッターロボ』からだったりする。
 ひとこと:「力が欲しいか? ならばくれてやる!」



060.なにわ小吉『王様はロバ』

 あらすじ:そんなものはない。
 レビュー:ジャンプシステムとしては例外的なショートギャグ漫画。常に最後尾を飾りながら連載が続いた。現在の『ピューと吹く! ジャガー』のような位置。全体的に絵が白っぽいが、作者の手抜きか芸風なのかは微妙なところ。
 ひとこと:最高にキャラの描き分けができていなかった。





シグルイ 第37景「封じ手」 

 竹矢来に囲まれた仇討場で藤木源之助と伊良子清玄が対峙する。
 藤木が繰り出すは「流れ」。いきなり敗北決定。山崎九郎右衛門みたいに。

sigurui_37_01

 対する伊良子は無明逆流れ。ナントカの一つ覚えっぽいですが、虎眼先生すら屠った必勝不敗の秘剣なので多用するのも道理でしょう。予想通り藤木の剣はかすりもせず、虎眼先生のように顏半分を空に斬り飛ばされます。
 一戦を終えた伊良子に駆け寄るのは虎眼先生の一人娘、三重。「父の仇!」と斬りかかります。目の前で倒された藤木は無視かい。
 伊良子は容赦がない。五本の指ごと小柄を中空に撥ね上げる。

sigurui_37_02

 ダンスちっくな伊良子清玄。そして三重は後ろに回った伊良子に動きを封じられます。「三重どのか。さぞ美しゅうなられたことであろう」と伊良子は三重の胸に手を這わせます。エロ展開かと思いきや実際はエログロ展開。乳房をつかんで胸部を引っぺがし、肺と胸筋をあらわにします。しかも二人はなぜか裸。ある意味エログロナンセンス。
 あ、これら一連の残酷無残劇は三重が見た悪夢でした。牛股師範が完全にスルーされているのが何気にひどい。三十半ばの強面のオッサンなど三重の眼中にはないのでしょうか。あと、いくがいなかったのもいろいろと想像してしまいます。

 さて江戸時代では夜這いの風習が盛んでした。というよりも江戸時代に限らず、日本の歴史では惚れた女を夜這うのはごく当たり前の行為でした。戦後、キリスト教的倫理観の普及によって急速に衰退していったのですが、『源氏物語』でも『伊勢物語』でも夜這いはデフォルトです。

sigurui_37_03

 アシスタントさんの絵なのでしょうが、微妙に「ウホッ! いい男……」っぽいです。
 さてそんなソドムでゴモラな世界において、三重の寝室に夜這う者は皆無でした。理由は本人ではなく、親御さんにありました。やっぱり頑固親父ってどの時代にもいるものでしょう。

sigurui_37_04

 なぜか曖昧状態の虎眼先生でした。夜這い男だけではなく家人や内弟子も区別なく平等に斬り殺しそうです。そして後始末に奔走する牛股師範はお疲れ様。
 それでも一人だけ彼女の寝室を訪れた男がいました。それはプレイボーイ伊良子ではなく朴念仁の藤木でした。しかも出で立ちはフンドシ一丁。虎眼先生に気づかれなかったのでしょうか? いや、たぶん見逃されたでしょう。当時の虎眼先生は藤木と伊良子のどちらを三重の夫にするか決めかねていました。ここで既成事実を作った方を選ぶという考えもそう突飛ではありません。虎眼先生が逆さ吊りにされていた源之助を助けて藤木家に養子縁組させたのも、彼を入り婿にしようという遠謀もあったのでしょう。意外と部屋の陰で藤木にエールを送っていたりして。
 しかし藤木にはコトに及ぶような度胸はありません。せっかく三重は覚悟を決めているというのに、海辺で拾った白い巻貝(また出たよ)を置いて去って行きました。このヘタレ! 虎眼先生が伊良子を種に選んだ理由が判りましたよ!

「藤木様」
 仏壇を前にして、初めて三重が藤木を樣付けで呼びました。藤木が生野陣内(虎眼先生を侮辱した命知らず)を斬って捨てたことを天晴れだと掛川藩家老が賞賛していたことを三重は告げます。そしてさらに二人が夫婦になることが認められていることも付け加えます。
“いかなる時も冷静な源之助の瞳がこの時ばかりは爛と輝いた”
 よっぽど嬉しかったのでしょう。それは解ります。しかしアンタ、伊良子を仕置きするときは笑ってたでしょ? 剣士ってのは業が深い生き物だね。
 そして舞台は虎眼道場へ移ります。

sigurui_37_05

 虎眼先生の横死に乱心したわけではありません。
 伊良子の太刀が下段から神速ではね上がることは藤木も牛股師範もすでに熟知しています。そこで牛股師範がぶら下がって大上段から斬り下ろすことで無明逆流れを再現しようとしていたのです。理屈は解りますが、画力が高すぎるせいでほとんどシュールギャグに仕上がっています。結局、藤木は左の脇差を下段を防いで右の太刀で伊良子の首を刎ねる型を会得します。虎眼流は剛力がデフォルトですから二刀でも問題はありません。しかし第一話で藤木の構えが「流れ」に戻っているので、やっぱりダメだったのでしょう。
 ちなみに原作小説だと二人は虎眼先生が討たれた翌日に伊良子と戦います。素敵に無策。

 あとシグルイとは関係ありませんが、今月号のチャンピオンREDからあの『ジャイアントロボ』の連載が始まりました。実際は3ページだけの予告という形でしたが、とにかくアニメ版と絵柄が違いすぎるので悶絶必至。ロボの面構えはGF団さんのところで指摘されているので、こっちは新顔のエキスパートのキャプ画像を貼ってみましょう。銀鈴がミニスカ和服ですがその辺はどうでもよくて。

sigurui_37_06

 はい、どう見ても村雨三兄弟の長男坊です。
 どんな特殊能力を使うのか激しく気になります。九大天王・大塚署長ほどではありませんが。

  




ハヤテのごとく! 第92話 

 二週間ぶりの『ハヤテのごとく!』、最初のコマはおヒナさまでした。来るべきヒナ祭りへの滑り出しは上々ですよフフフフフ……。
 しかし雛壇にはなぜか女雛が二体飾られています。そして場所は鷺ノ宮家の蔵の中。その時点で曰くつきの代物だと判明してしまいました。伊澄の説明によれば、やはりそれは呪いのヒナ人形でした。下手に触って首でももごうものならこの辺で一番運のない人に呪いがかかるとシリアスモードで振り向きアクション。なんか『イースⅡ』の振り向きリリアを思い出してしまいました。
 もちろん咲夜のことですから、伊澄が忠告しているそばから人形の首をもいでしまいます。なんだか咲夜が桂先生・ちみっこバージョンに見えてきました。

 扉絵はものすごく珍しいことにハヤテ一人。男だけの扉絵なんて、いったい何話ぶりのことなのでしょうか。もしかしたらこれが初の快挙だったりして。
 第92話「ヒナ祭りの頃に~鬼隠し編~」執事に安息の日々は訪れないのかも。
 元ネタは言わずと知れた同人のキラータイトル『ひぐらしのなく頃に~鬼隠し編~』です。わざわざ編名までくっ付けているということは、綿流し編・祟殺し編・暇潰し編・目明し編・罪滅し編・皆殺し編・祭囃し編を加えた全八話構成でやってくれるのでしょうか? もちろん主役はヒナギクで。

 ヒナギクが誕生日ということで、ナギはブランド物の腕時計をプレゼントすることに。不自然なまでにキラキラ光っていますが多分それは貧乏人のハヤテの視界なので後光が射しているように錯覚しているのでしょう。
 ハヤテは時計の値段を聞いて恐縮しますがもちろんナギが不機嫌な理由がそこにあるわけではありません。

hayate_92_01

 うんうん、メインヒロインのジェラシーストームもまたラブコメ漫画の基本ですな。半眼で睨みながら顔を近づけてくるナギ萌え。
「でも忘れるなよ!! ハヤテなんて私がいなかったら……
 宇宙一運のない男なんだから!!」

と自分の有り難さをアピールしますが、今回ばかりはまずかった。
 ドラゴンボール風味のフラッシュが挿入されて。

hayate_92_02

 ムーンプリズムパワー、メイドアップ!!!?
 何気にカチューシャがネコミミモード
 ナギとマリアさんは日野日出志のキャラクターのように眼球を飛び出して驚きます。その場は硬直してしまってハヤテの格好を問い質す余裕はありませんでしたが、結局マリアさんが訊いてみることに。

hayate_92_03

 さすがハヤテをお嫁さんにもらうと決心しているお嬢さま。覚悟はすでに済ませています。
 最初はこの漫画らしくマリアさんとハヤテの会話はまるで噛み合いませんでしたが、作者は引っ張る気がないらしく一ページで誤解が解けます。

hayate_92_04

 わざわざスカートをつまみ上げたりその場で回転してみたり、ハヤテもまんざらではないように感じられて仕方がありません。『ハヤテのごとく!』がアニメ化されようものなら、このシーンだけで一千人の腐女子の大隊も鎧袖一触で撃滅させられることでしょう。一呼吸おいて絶叫しますが、取って付けたような印象は拭えません。

hayate_92_05

 真っ先にマリアさんを疑うハヤテ。彼女には前科もありますし(第八話)、極めて自然なリアクションです(ぉ 
 さておき女装したハヤテの破壊力はすさまじい。“この辺で一番運のない人”というわけで三千院邸を訪れた伊澄と咲夜も赤面する威力です。クラウスとタマがこの場にいなくてよかった。いたら絶対に話が脱線します。
 さて伊澄が呪いのヒナ人形の来歴を説明してくれます。

hayate_92_06

 こういうキャラの顔は師匠譲りです。あ、この人形職人の女装願望やら人形制作の失敗やら横領事件による処刑やらの無念がブレンドされた結果、呪いが掛けられました。あまり同情できる話ではないにしろ、伊澄をしてやっかいと言わしめるほどの強力な呪いなのです。ちなみにハヤテがメイド服を着せられたのは職人の趣味だそうで。いい仕事してますね~(違う)
 なお三月三日のヒナ祭りが終わるまでに呪いを解かないと、女装が趣味のままで一生を過ごさなくてはならなくなります。やっぱりナギはあまり困らないような。
 そしてディスペルするには、この辺で一番高い場所の主を倒さなくてはなりません。つまり白皇学園の時計塔の生徒会室における一番エラい人、我らが桂ヒナギクです。

 所変わって話題の人、ヒナギクに画面が移ります。未だにハヤテへの気持ちは整理できていませんが、それでも心境は変化しました。ハヤテを恋愛対象と仮定してみます。

hayate_92_07

 桂家ご謹製の瞬間湯沸かし器に早変わり。1つください。失敬、妄念がこぼれ出ました。1つと言わずに全部ください。
 しかしヒナギクはまだまだ認めません。ハヤテに対してだけではなく、自分の心にまでツンを貫くヒナギク萌え。
 そしてようやく、西沢さんの恋を応援すると約束したことを思い出します。ヒナギクもかなりいっぱいいっぱいだったようです。そこを例の幽霊神父が再登場して自分の気持ちに素直になれと、無責任にアドバイスします。こういうヤツが空想世界でも現実世界でも人間関係をややこしくするんですよ。まぁこの漫画では泥沼の人間関係なんて成立しっこないでしょうからそういう意味では安心ですけど。とにかくヒナギクは神父のアドバイスを心に留めます。
 今回はヒナ祭りの前夜祭のはずなのに、肝心のヒナギクの出番が少ないと思っていたら。

hayate_92_08

 ちょっと待った! BSで言ってたヒナ祭りって、俺は今の今までヒナギク祭りと信じていたんですよ! それが蓋を開けてみればヒナ祭り祭りだなんて……ヒナとは唯一無二であるべきなんですよ!
「裏切ったな!
 僕の気持ちを裏切ったな!
 父さんと同じに裏切ったんだ!」

 父さんて誰やねん。







漫画ナツ100・レビューその5 


041.新谷かおる『エリア88』

 あらすじ:民間航空会社のパイロット候補生・風間真は社長の娘と婚約する。しかし親友に騙されてアスラン王国の外人部隊に入隊するサインをしてしまった。彼の戦場は地獄の一丁目、エリア88。除隊に必要な違約金150万ドルを稼ぐため、真は今日も敵機を撃墜する。
 レビュー:トンデモ兵器が登場しすぎとか、ジェット時代の戦闘機がこんなにポロポロ撃墜されるかよとかいうツッコミが野暮に聞こえてしまうほどに熱い物語。鋼鉄を駆るカラスどもが活躍する漫画なので、登場人物の九割が戦死する。後半は必要以上に話が広がりすぎたきらいがあるが、きっちり風呂敷を畳んだラストは見事の一言。
 ひとこと:なぜか絵とか展開とかが意外と少女漫画チック。



042.せがわまさき『鬼斬り十蔵』

 あらすじ:放蕩息子の源蔵は誤って鬼込の太刀の封印を解いてしまう。八百年の呪縛から自由になった陰陽師・芦屋道満は源蔵の身体を奪い、『金烏玉兎集』に記された秘術「生活続命の法」を求める。彼を追うのは妹の香奈瑚に魂を宿した源蔵、かつて道満の妻であった妖狐の尾咲、そして烏天狗に師事して秘剣を修め、その身に狗神を憑かせる隻眼の剣士・十蔵!
 レビュー:荒唐無稽ジャパネスク・ファンタジー! 源蔵とその妹でヒロインの香奈瑚は芦屋道満を封印した安部晴明の子孫。十蔵に憑く狗神ゴウザはかつての武蔵坊弁慶で、十蔵の兄弟子は源九郎義経。さらにラスボス安部晴明は、紀元前に始皇帝の命で不老不死の薬を求めて日本に渡来した徐福の転生体! 『バジリスク』もいいが、俺はこっちの方が好み。大法螺に酔え。
 ひとこと:「心に刻みたるは唯一事」



043.高田裕三『3×3 EYES』

 あらすじ:四年前、チベットで行方不明になった民俗学者を父に持つ藤井八雲。彼を頼って日本を訪れた無垢な少女・パイは三只眼吽迦羅と呼ばれる妖怪だった。彼女は瀕死の八雲を助けるために不老不死の術を使い、八雲は不死身の妖怪“无”となる。
 レビュー:青年誌に連載されながら講談社漫画賞少年部門を受賞した漫画。主人公の八雲がハーレム風味にモテる。パイのもう一つの人格・三只眼はツンデレ。ある意味、二十年先を走っていた漫画である。中盤以降の展開はかなりグダグダだが、ヒロインたちが可愛いので許せてしまう。
 ひとこと:はいそこ、『三つ目がとおる』のパクリとか言うな。



044.高橋ゆたか『剣客 渋井柿之介』

 あらすじ:柿の頭をしたさすらいの剣客、渋井柿之介。出鱈目な剣術で毎回勝っていく。
 レビュー:リアルタイムで読んでいたときはやたらと好きだったが、今では内容もほとんど思い出せない。当時の印象で推してみた。ちょっとだけエロい。
 ひとこと:「ふっ」



045.高橋留美子『らんま1/2』

 あらすじ:水を被ると女になってしまう特異体質の少年、早乙女乱馬。彼とその許婚、天道あかねを中心にしたドタバタアクションラブコメ漫画。
 レビュー:高橋留美子作品では最大のヒット作。他の代表作に較べて対象年齢がやや低いせいか、リアルタイムで読んでいたころはまだ小さかった俺には一番受けた。シャンプーがいい。
 ひとこと:アニメの方が出来が良くない?



046.たかもちげん『祝福王』

 あらすじ:宗教をテーマにした漫画。未見の読者のために、これ以上は説明しない。
 レビュー:無理。
 ひとこと:騙されたと思って読んでみれ。



047.田丸浩史『スペースアルプス伝説』

 あらすじ:主人公の貴藤真澄は一目惚れの相手・氷室まつり目当てでワンゲル部(山岳部)に入部する。
 レビュー:ギャグ漫画なのかラブコメ漫画なのか、ジャンル分けに苦しむ作品。たぶん作者はそのへんの苦労については最初から放棄している。個人的にはラブコメ展開の方が好きだった。ヒロインがボクっ娘。
 ひとこと:『デトロイト・メタル・シティ』の先駆けをなすデスメタル漫画。ではない。



048.つの丸『サバイビー』

 あらすじ:ミツバチのバズーは親兄弟の顔を知らない孤児。しかし他の昆虫たちとその日その日を楽しく暮らしていた。しかし一匹のスズメバチによって仲間たちは皆殺しにされてしまう。
 レビュー:一言で表せば“キャラクターが死にまくる『みなしごハッチ』”。しかしそんな揶揄でスルーするには勿体なすぎる。この作品の本質は種族の生き残りを掛けた戦争漫画である。熱い。ひたすらに熱い。
 ひとこと:ジャンプ打ち切りシステムによって漫画界が被った最大の損害。



049.つの丸『みどりのマキバオー』

 あらすじ:凱旋門賞場を父に、桜花賞馬を母に持つ期待の超良血馬は犬のような豚のようなロバのような珍妙な生き物だった。
 レビュー:人語を解する馬やネズミが何の違和感もなく登場するナンセンスの極みのような漫画。しかしレースシーンではリアルそのものに化ける。ジャンプ漫画なのに主人公が良く負けるのも印象が深い。キャラの名前の元ネタはたいていが戦国武将。
 ひとこと:「んあ~」



050.手塚治虫『どろろ』

 あらすじ:父親の野望のために生まれながらにして魔物に五体を奪われて捨てられた主人公は、流れ着いた先で作り物の身体を与えられる。成長した主人公は自分の身体を取り戻すために旅に出、魔物たちと戦っていく。
 レビュー:いかん、あらすじが『魍魎戦記MADARA』とまったく同じだ。
 ひとこと:どろろはツンデレ。






皇国の守護者 第26話 

 四方を圧倒的多数の敵に包囲されながらなお新城は任務を遂行する。新城は諦めという概念を理解しない。運命とは自分のあたうる限りの行動と智嚢を絞りつくしてなお打開できないときに不満を抱きながらしぶしぶ受け入れるものだと信じている。
 東側に二斉射を命じ、次に南側に対応。銃剣を着装させ、斉射の後に踏み込んできた敵兵を突き上げるように刺殺していく。正面の敵は撤退したが、東から縦隊が突入。装填の暇はないと判断し、新城は白兵戦に持ち込む。
 新城は最悪の状況でなお最善の行動を積み重ねてゆく。しかし兵力は確実に目減りしていく。そして帝国軍はこの地で確実に新城の部隊を磨り潰すと決めている。新城は自らの命を道具にして一人でも多くの部下を救おうと心に決める。
「曹長、君は参加するな。
 とりまとめ役が必要だ。もう一合戦済んだならば負傷者を率いてただちに降伏しろ」

 交戦を命じられたのは新城であり、彼が死ねば命令は中に浮く。下士官である猪口はその場の状況から降伏を判断する。そういう筋書きか。
「でも、あなただけ死のうってのは虫が良すぎやしませんか大隊長殿?」
「何を言ってるんだ。
 指揮官にはそれなりの特権がある。曹長はそいつの尻拭いが商売だろう。
 しかし、まあ。勝手に死ねと言わないでくれてありがとう」

 新城と猪口の絆は強く、絶望の極みにありながら軽口を叩き合える。そして漆原も参加した。絶え間ない戦闘の果てに彼の天然の愛嬌は意図的な諧謔味に進化した。漆原が完全に立ち直ったことを知り、喪失するだけの戦場で新城はちょっとしたものを得たと感じられた。そして再び喪った。帝国軍の斉射に漆原は脳漿を撒き散らした。
 ついに新城は全滅を覚悟する。しかし夕焼けを見て違和感を抱き、我に返って懐中時計を確認する。新城は捕虜のバルクホルンに近寄る。自分を殺すつもりかとバルクホルンは訊ねたが新城は否定する。
「この言葉は軍事的偽善だが「貴官の勇戦に敬意を表す」。出血がひどいな」
「手荒く運ばれたのでね。貴官が私を殺すつもりだと考えた」

 もはや新城にはバルクホルンの諧謔に付き合えるほどの気力すらない。療兵を呼んで手当てを命じる。
 現在時は二月二十四日午後第四刻過ぎ。新城に課せられた刻限である。
 新城とその部下の任務は完了した。北領の雪原を同胞と敵兵の血で染めて、自らは侵略者の膝下に頭を垂れて。

 




バカ漫画レビュー『斬』四太刀「貫木の力」 

 今日も素敵に無敵に絶望的に、『斬』のレビューの始まりです。

 扉絵のハシラには「やがて同じ運命を共にする2人の初対決の行方は!?」などと書かれていますが、そこまで連載が続くかどうか。あと「同じ」は省略した方がすっきりした日本語になりますよ。

 今回はライバルキャラの貫木がひたすらに斬を過大評価するストーリーでした。あ、過大評価はいつものことか。
 まず初っ端から研無刀を獲物にしている理由で相当の腕利きと勘違い。
「さっそく見せてもらうぜ。
 研無刀使いの実力とやらをなぁ!」

と放言します。が、斬の攻撃を待って自分からは仕掛けません。真剣勝負ってのは一太刀喰らえば普通はそこで御仕舞いなので、ひたすらに攻めるのがセオリーだと思うんですが。相手の実力を推し量ろうとする気概は認めますが、真剣勝負を楽しみたいんだったら簡単に殺されないように最大限の努力を払ってください。『殺し屋1(イチ)』の垣原みたいに。必然的……逃亡!
 まぁすぎたんに人並みな期待を抱くのは酷なのでこれ以上の追及は止めておきましょう。とにかく様子見に徹する貫木に、斬は攻撃を仕掛けます。

zan_04_01

 いい感じに力が抜ける、というよりも全身の力が根こそぎ抜き取られそうなダッシュです。あ、これもいつものことか。前回のレビューで指摘したように我々と精神構造が極めて近い貫木君、
「お、おいおい何だ?
 えらく足遅ぇ上に直線的だな……」

至極もっともに呆れます。だんだんこの世界における唯一最後の良心のような気がしてきました。さて律儀に斬が到着するまで待っていると。

zan_04_02

 馬鹿力の一撃を紙一重で回避。周囲に爆風が発生します。日本刀の造りで風が起こせるか!! なお今回の真剣勝負の責任者、不細工・ザ・不細工はやっぱり読者のカンに触るようなことしか言いません。
「ギャ――風でスカートがめくれちゃうじゃないスケベ――!!」
 生皮をめくって人体標本人形の恋人にしてやろかと怒鳴りつけてやりたいくらい不愉快です。
あ、例によってキャプ画像は貼りません。
 貫木は斬の鈍足を作戦と勘違い。

zan_04_03

 コンクリートにヒビを入れられなくても真剣だったら大怪我です。そして貫木はツッコミ所のありすぎる解説を始めます。
「普通、真剣だとコンクリートに弾かれちまうし(明石先輩だったらチーズのように斬り裂けます)
 それどころか刀の刃が欠けるか最悪折れちまう(“折れず曲がらずよく斬れる”が日本刀の真髄です)
 ところがその研無刀とやらはヒビどころかキズ一つ付いてねぇ(せめて刃毀れと表現してください)
 流石に硬さと破壊を売りにしているだけの事はあるな(やっぱりただの鉄棒でいいじゃん)」

 精神構造はともかく、オツムの出来の悪さはこの漫画のキャラクターにとっては不治の病のようです。
 さて斬の強さを買いかぶった貫木はますます面白がり、今度はこっちの番と高速移動。一瞬で斬の後ろに回り込みます。そのスピードで正面から斬り掛かった方が速いだろ、というツッコミは他のリアリティ皆無のバトル漫画にも適用可能。レベルの低い部分だけは一緒……いやはやまったく斬新なことで。あ、もちろん斬は主人公補正で防御します。

zan_04_04

 これには安西先生も身体を震わせて感動の嵐。
「おい……見てるかあゆあゆ……お前を超えるうぐぅ使いがここにいるのだ……!」
 うぐっだよ。そして貫木はまたもや斬をベタ褒め。もーいいって。
 貫木に対抗して斬は居合い、のマネゴト。先週の『剣術・基本編』に掲載されていた構えをヤケクソ風味に出しただけ。ここまで世間を舐め切ってよく今まで生き残って来られたものです。そして今週もまた『斬』の魅力が爆発。
「やっぱりお前ただもんじゃねえな。
 フン。
 居合い抜きの基本はそこにいながら自らの攻撃範囲に入ってきた相手を一閃で打ち抜く芸当。
 動かない分自らの鈍足をカバーしつつ勝負の見えている足の速さ勝負は捨てて逆に豪腕を最大限に生かして俺の足とあのハンパねぇ剣速で勝負しようっつうことか。
 たしかに俺は動きには自信がある……しかしこれじゃあ迂闊に攻撃を仕掛けるわけにはいかねぇな」

 長すぎる割にあまり内容のないネーム。これぞまさしく『斬』クオリティ。
 そんな斬に貫木は手裏剣で対抗することに。敵の強さを見破ることもまたサバイバルに必須の能力なんですが……。あ、貫木は忍者だそーです。へー。ほー。あっそー。
 まあ相手にとって相性の悪い攻撃を仕掛けるのは基本だから文句はつけませんが、どうせ飛び道具を使用するなら不意打ちの方が効果的でしょうに。
「飛び込むのがヤバイなら遠距離から攻撃するまでだ」
なんて公言してどうする。真剣勝負にこだわっているつもりなんでしょうが、だったら刀だけで戦え。すこぶる中途半端。
 最後に。忍者の戦闘はあくまでもやむを得ざる場合だけ行うのであって、わざわざ真剣勝負なんてしないんですが。本物の忍者というよりはアメリカライクなNINJAっぽい。




Wizardryのごとく! 第十八話(最終回) 

「待ちに待った時が来たのだ!」
「多くのマーフィー君が無駄死にでなかったことの証のために!」
「再び三千院の理想を掲げるために!」
「シナリオクリア成就のために!」
「ワードナよ、私は還ってきた!」
「なにガトー少佐の名ゼリフを二人で使いまわしているんですかあなた方は」
「いえ、その場のノリってやつですよ」
「ぶっつけ本番の割には息がピッタリよね」
「ふふん、当然だ。私とハヤテの相性は最高なのだからな!
 ……。
 …………。
 ………………」

「自分で言っておいて自分で照れないでください」
「う、うむ。それでは気を取り直して。
 いざ推参!」


wizgoto_18_01

「あ、今度はこっちが先制攻撃だよ」
「当然だ。この状況を作り出すまでずっとMALORで仕切りなおし続けていたのだ」
「セコいというか、なんというか……」
「万全の体勢を整えるためには努力を惜しまない、とでも表現してくれ。さておき、前衛の三人はワードナを集中攻撃するように」
「ナギ。私は……?」
「ふむ。先制攻撃だと魔法は使えないのだったな。よし、伊澄はVAMPIREの群れをDISPELLしてくれ」
「魔法を無効化させるんですか?」
「言葉の意味は同じだが、効果は違う。これは僧侶と司祭、君主に可能な特殊攻撃で、負の生命エネルギーで動いているアンデッドの活動を停止させるものだ。要は聖職者による御祓いだな。よほどレベルに差がないと成功は覚束ないが、それでも何もしないよりはずっとマシだ」
「で? いつものように何もすることのない私はキタキタ踊りでも踊っていればいいのかな?」
「泣いても笑ってもラストバトルだ。猫の手でも借りるつもりだぞ。ハムスターはボルタックで購入しておいたRING of RIGIDITYを取り出してくれ」
「何コレ?」
「魔法の心得のない職業でも2レベルの僧侶魔法MANIFOが唱えられるアイテムだ。KATINOと同じく敵1グループを動けなくさせる魔法だが、こちらはアンデッドにも効果がある。伊澄と同じようにVAMPIREどもに使ってくれ」
「これで残るはナギだけですね。あなたはどんな攻撃をするんですか?」
「……、……!」
「……あのー、まさか自分のことはすっかり忘れていたとか?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ザムディン!」
「忘れてたんですね」
「ううううううるさい!」
「さ、さあ皆さん! 泣いても笑ってもラストバトルなんだから頑張りましょう!」
「確かにハヤテ君の言う通りよね。っと!」

wizgoto_18_02

「あれ? もしかして一撃で倒しちゃったんですか?」
「うむ。たとえラスボスといえどもクリティカルヒットからは逃れられない」
「なんて大味なゲームバランス……」
「魔界塔士Sa・Gaを彷彿とさせますね」
「かみはバラバラになった!」
「私、チェーンソーなんて使ってないって」
「私のDISPELLは失敗……」
「紅雷浄化(ジー・ベイル)を使えば一発だったのに」
「アルハイムじゃないんですから」
「さ、第二ラウンドね」

wizgoto_18_03

「わ、いかにも闇の貴族ってイメージ」
「VAMPIRE LORD――その美麗なグラフィックと『隣り合わせの灰と青春』のワードナへの忠誠心から人気の高い敵キャラだ。が、魔法に対する抵抗力が無いから魔法使いと僧侶の最強攻撃魔法をぶつければ一ターンで倒せる。正直ザコに毛が生えたようなものだ。前衛は標的をVAMPIREに変更。ハムスターはそのまま。伊澄はMALIKTO、私はTILTOWAITだ」

wizgoto_18_04

「二ターンで倒せちゃいました」
「最近のRPGでは考えられないくらいスピーディーね」
「気を抜くなよ。城に帰るまでが冒険だ」
「遠足じゃないんですから」
「ワードナの玄室には城へのワープポイントは無い。しかしAMULET――ワードナの魔除けにはMALORの魔法が封じ込められているから問題ない」

wizgoto_18_05

「これでクリア。めでたしめでたしね」
「ほとんど台詞がありませんでした……」
「ネタキャラ化に一層の磨きがかかりました……」
「ところでお嬢さま、階級章って何ですか?」
「ワードナを倒したキャラに与えられるシルシだ。絶対に外すことはできないし、これが付いていると二度とワードナと戦えない。正直、まるでうれしくないプレゼントだな。ちなみに名前の右隣に>が付く。こんなふうに」

wizgoto_18_06

「私の名前、最後までハムスターのままだったー!」


 とっぴんぱらりのぷう。





今週の極東情勢 20060813~20060819 

 小泉さんの靖国参拝に触発されて新しいコンテンツを立ち上げてみました。しかしますます混沌の度合いを深めていくな、俺のブログ。

 初っ端で言及したように、8月15日に小泉さんが靖国神社を参拝しました。せっかくなのでようつべの記者会見動画も紹介(part1,part2)。で、例によって例のごとく、アジア各国とは特亜以外には存在しないと壮絶に勘違いしているCの国Kの国が猛反発。いくら年中行事のようなものとはいえ、よくもまあ飽きないものです。
 ま、「日本には歴史問題を永遠に話すべき」との指令が下っていたことが判明したので、現代の中つ国については気にする必要もないでしょう。半島は言わずもがな。

 対して国内の反応
 阿部さんは過不足なし。金持ちケンカせずという所でしょう。
 谷垣さんにはちゃんと周辺諸国を特定アジアと呼び替えて頂きたい。
 麻生さんはちょっと微妙。分祀派ですし。「中日関係に有益だった」と中共の外交部が報道してますし。
 もっとも麻生さんは外交の転換を公約に掲げています。本音はどっちやねん。
 個人的には麻生さんは外相で据え置きのまま辣腕を振るっていただきたいものです。あとマンガノーベル賞の設立にも。




機神咆吼デモンベイン 第12話(最終回) 

 予想は裏切り、ついでに期待も裏切る。そんな最終回でした。

 原作ゲームのアルルートの最終章と同名のサブタイトルは“STRANGE EONS”。元ネタはやっぱりクトゥルー物で、ロバート・ブロック『アーカム計画』の英題です。

demonbane_12_01

 作画担当がまた替わった。モミアゲと睫毛の描き込みが杜撰に見えて仕方がない。前回と同じ方のがよかったのに。
 C計画、すなわちクトゥルーの召喚さえ、マスターテリオンにとっては土台に過ぎなかった。神を苗床としてさらに上位の神・ヨグ=ソトースを召喚。旧支配者の幽閉された外宇宙と繋がる存在を開放することこそがマスターテリオンの真の目的だった。
 扉の先、最終決戦場に姿を消すリベル・レギス。九郎はマスターテリオンを追おうとしますがアルに契約を破棄すると告げられます。ただの人間である九郎を外道と怪異の渦巻く異界に引き込みたくはない。
 しかし九郎は真性のロリコンです。アルはアルでもはや九郎なしではいられなくなっていたので
「離れたくないんだ。俺は、アルっつー傲岸不遜でクソ生意気な小娘に、惚れちまってんだ」
との九郎のプロポーズであっさり陥落。再契約なのか単にリビドーの赴くままの行動なのか、とにかくキスします。

demonbane_12_02

 18禁アニメじゃないので当然ハァハァは無し。絶技も開眼せず。アニメだとメタトロンが登場しなかったのでデモンベインとの追いかけっこは無しか。
 お互いの気持ちを再確認し、心を一つに定めた九郎とアル。デモンベインを駆ってヨグ=ソトースの門を潜ります。そしてリベル・レギスとのラストバトルなのです、が。

demonbane_12_03

 たった一合で戦闘の舞台を変えるな。それと追魂奪命剣くらい再現してくれ。
 それは置いておくとして、リベル・レギスの存在を否定しつくすためにデモンベインはついに(外部からの介入を受けて)シャイニング・トラペゾヘドロンを手にする。対するリベル・レギスもまた同じようにシャイニング・トラペゾヘドロンを構える。

demonbane_12_04

「二つのシャイニング・トラペゾヘドロンの衝突。
 ただそれを為す、ただそのためだけに君たちは無限に繰り返される運命に囚われていたのさ。
 ヒトの正の極限、絶望を識らぬ英雄、大十字九郎・
 ヒトの負の極限、絶望を識る魔人。
 必要な駒はその2つだった。
 そう。総てはこのナイアルラトホテップの意のままに!」

 や、ナイアさん。いきなりネタバレしないでください。しかしもちろん彼女の声は九郎たちには届いていません。
 そしてついに最後の決着をつけるべく、九郎たちは詩を紡ぐ。

demonbane_12_05

「荒ぶる螺旋に刻まれた」
「神々の原罪の果ての地で」
「血塗れて 磨り減り」
「朽ち果てた 聖者の路の果ての地で」
『我らは今 聖約を果たす』
『その深き昏き怨讐を胸に』
『その切実なる命の叫びを胸に』
『埋葬の華に誓って』
『祝福の華に誓って』
『――我は世界を紡ぐ者なり!』


 そして二つのシャイニング・トラペゾヘドロンが激突し、ナイアさんはその悲願が果たされたものと高らかに哄笑します。
「これで宇宙があるべき姿に戻る。
 シャイニング・トラペゾヘドロンによって封ぜられていた、僕たちの宇宙が戻る!
 アザトースの庭が、解き放たれる!!」


 しかし。
 人間の身でありながら、否、人間の身であるからこそ大十字九郎は邪神の意思すらも踏破した。シャイニング・トラペゾヘドロンの力を取り込み、その力を解放する!

demonbane_12_06

『祈りの空より来たりて――』
『切なる叫びを胸に――』
『我等は明日への路を拓く』
『汝、無垢なる翼――デモンベイン』


demonbane_12_07

 間違えた。こっちだ。

demonbane_12_08

 そしてナイアさんこと旧支配者ナイアルラトホテップもろともリベル・レギスを撃破。マスターテリオンとエセルドレーダは宇宙の果てを永劫に漂うことになりましたが、あらゆる呪いから開放されてラブラブモードなので幸せ一杯。それこそマスターテリオンの一人称が僕に代わっているくらいの勢いで。
 そしてまた九郎とアルも宇宙を漂う運命に。しかしアルは九郎を地球に返す決断を下す。……って、旧神エンドじゃないのか!? 正直、驚きです。

demonbane_12_09

 おのれ、史上最強の広報め!
 それはさておき、かつてのアーカムシティとは違い、別の並行世界に飛ばされた九郎はやっぱり貧乏探偵のままでした。元の世界で所有していたはずの乗用車も見当たりません。その点だけは正しい世界のようです。

demonbane_12_10

 なんで“スーパーウェスト無敵ロボGR1~すべてはビッグ・アフロのために~”じゃないんだ。
 そして肝心のアルですが、帰り道でバッタリ再会してしまいます。なんでやねん!
 や、まあウィルバー・ウェイトリーのエピソードを省略してしまったから、ミスカトニック大学の秘密図書館で再会させるわけにいかないのは解りますよ。でもなんだって宇宙の因果すら乗り越えた感動の再会を、ここまであっさりしたものにしやがるんですか!
 しかも救いようがないことに、理由付けとして旧神の九郎とアルを引っ張り出します。

demonbane_12_11

 旧神エンドとアルハッピーエンドの良いとこ取りをしようとして完全に失敗。めちゃくちゃ説明不足。原作にないエンディングを勝手に作ってしかもそれがろくでもない出来って、もはや理解不能です。アルエンドかと思った自分がバカみたいです。原作を知らない視聴者の頭上には無数の?マークが浮かんでいることでしょう。
 あ、ラストのデモンベインが飛翔していくムービーは非常に美麗でした。

 結論、55点。うち30点は原作そのものの魅力なのでアニメ単体としての評価からかなり差っ引かれます。何度も言うようですが、やっぱり2クールで制作するべきでした。
 正直DVDはデモベファンのコレクターズアイテムくらいの位置。原作未プレイの人がわざわざ高い金を払ってまで購入するような出来ではありません。
 言いたいことは山ほどありますが、今はとにかくスタッフの皆様。お疲れ様でした。

 最後の最後。削られていたのが不満なセリフ、ナンバーワン。
「どうも俺、やっぱりロリコンだったみたいでさ。あいつの綺麗な躰知っちまったら……
 てめぇなんざ汚な過ぎて抱く気にもならねえんだよ! ババア!

 異界の中心でロリを叫んだケダモノ、大十字九郎の魅力が半減ですよ!

  




Moon of Samurai 

 ブログを開設してちょうど三ヶ月なのでタイトルを変更してみました。
 というかなんで誰も”ブログなのにホームページとはこれいかに?”と突っ込んでくれなかったんだ。



漫画ナツ100・レビューその4 


031.原作・倉科遼/作画・ナカタニD.『DAWN~陽はまた昇る~』

 あらすじ:ウォール街伝説の男(という設定)矢作達彦はハゲタカのごとき外資(という設定)から日本を救うために衆目人を驚かす(という設定)アイデアで立ち向か、日本の夜明け(という設定)に邁進する。途中からなぜか(日本の国益を中共に売り飛ばすことで)アジアの夜明けを目指すようになる。
 レビュー:こちら。
 ひとこと:「拉致被害者……返してくれるかな?」



032.小林まこと『柔道部物語』

 あらすじ:中学時代、トランペットを吹いていた三五十五(名前だ)は、高校では軽い気持ちで柔道部に入部する。最初はハードな練習についていけない十五だったが、やがて飛び抜けた柔道センスを開花させ、強敵たちに勝利していく。
 レビュー:かなりノリの軽いスポ根漫画。斬新な設定や奇抜なアイデアで読ませるのではなく、読み始めたら最終巻の最後のページを捲るまで目が放せないタイプの面白さ。主人公は天才肌なのに、最近のバトル漫画のような不愉快さはまるで感じないのも好印象。
 ひとこと:「俺ってバカだぜ~!!」



033.西条真二『鉄鍋のジャン!』

 あらすじ:中華料理の頂点に立つ五番町飯店。そこを異様に目つきの悪い少年が訪れる。彼は秋山醤(ジャン)。「中華の覇王」と恐れられた秋山階一郎の孫である。
 レビュー:主人公がまるきり悪役。「料理は勝負!」と放言して勝つためには手段を選ばない。審査員もひとこと「まずい」と言えば済む話なのに、誰もが夢中になって料理を食う。あと料理シーンの動きがやたらと激しい。女性キャラは全員スイカ二つをぶら下げているような爆乳ばかりなので、肩が凝ってしょうがないだろうと余計な心配をしてしまう。
 ひとこと:読んでいて食欲が減退するという独特の料理漫画。



034.さいとう・たかを『ゴルゴ13』

 あらすじ:説明する必要を認めない。
 レビュー:ここ三十年の国際情勢を知るには最適の本。
 ひとこと:ゴルゴはなぜか朝鮮半島がらみの依頼だけは受けたことがない。



035.原作・酒見賢一/作画・森秀樹『墨攻』

 あらすじ:「非攻(侵略否定)」と「兼愛(博愛主義)」を思想の核とした集団・墨家。自分からは決して攻撃しないが、その類まれな防衛技術によって他国からの侵略を退ける。どんな小国からの依頼も受け入れ、報酬は決して求めない。
 レビュー:絵は泥臭いが、画力そのものは高いので問題はない。それにいかにも大陸らしくて作品にマッチしている。原作小説では主人公の革離が異様にドライだったり、梁城攻防戦で射殺されたりする。なお墨家は諸子百家の一派として実在した。映画化決定。
 ひとこと:実はいつの間にか百年以上タイムスリップする。



036.佐藤正『燃える! お兄さん』

 あらすじ:山で暮らしていた空手家に育てられた野生児・国宝憲一。彼は出生の秘密を知って下山し、本当の家族と再会する。これだけ聞くとシリアス漫画のように錯覚してしまうが実際はやたらハイテンションなドタバタギャグ漫画。
 レビュー:作者が長年『ハイスクール! 奇面組』の新沢基栄のアシスタントを務めていたので、絵柄もキャラクター造詣もかなり似通っている。第一話が掲載されたジャンプの表紙を見たとき、新沢基栄の新連載かと勘違いしたのは秘密である。いわゆる用務員事件を筆頭に、色々とやりすぎ。
 ひとこと:「はー、シュポシュポ」



037原作・三条陸/作画・稲田浩司『DRAGON QUEST-ダイの大冒険-』

 あらすじ:モンスターばかりが生息するデムリルン島に流れ着いた赤ん坊、ダイ。彼は“勇者の家庭教師”アバンに師事して勇者としての才能を開花させる。復活した魔王ハドラーの前にアバンは敗れるが、ダイは不思議な力を発揮してハドラーを撃退。アバンの使徒ポップとともに大魔王を倒すことを決意する。
 レビュー:円満終了したジャンプ漫画の代表。原作を知らなくても楽しめるという時点ですでに傑作。あらゆる点で非常にレベルが高い漫画だが、メインキャラがご都合主義に何度も復活することが難点である。アバン先生の再登場には正味あきれた。
 ひとこと:それにつけてもマァムはエロい。



038.椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』

 あらすじ:バブル絶頂期、地価が高騰した日本にはもはや幽霊を住まわせておく場所などない。ボディコン守銭奴・美神令子、煩悩の固まり・横島忠夫、真のヒロイン・おキヌちゃんの三人が悪霊を除霊するドタバタアクション漫画。
 レビュー:ある意味バブルの落とし子。横島はポップ系キャラ。この漫画が終わってから『絶対可憐チルドレン』までの椎名高志は正直微妙。なおGSとはゴーストスイーパー(幽霊掃除人)の略である。ガソリンスタンドでもグループサウンズでもない。
 ひとこと:高校時代、おキヌちゃんに全てを捧げた先輩がいた。



039.柴田亜美『南国少年パプワくん』

 あらすじ:ガンマ団ナンバーワンの殺し屋、シンタロー。海を漂流して辿り着いたパプワ島は人語を解する巨大なナマモノどもが闊歩する魔境だった。その島での唯一の少年・パプワたちとのシュールコメディ。
 レビュー:ガンガンで最初のアニメ化作品。俺がこれまで読んできたギャグ漫画とはまるで切り口が違っていたのが印象に残っている。作者の趣味のせいで色々とホモ臭い漫画。毎回誰かが鼻血を流している。中盤からシリアス展開になっていったが各所にギャグが挿まれるのでそれほど違和感はない。
 ひとこと:室戸市在住でもないのにシットロト踊りを普通に踊っていた時期がある。



040.新沢基栄『ハイスクール! 奇面組』

 あらすじ:一堂零をリーダーとする変態五人組で結成された「奇面組」。彼らを中心とした一応高校の変態たちが所狭しと活躍するギャグ漫画。
 レビュー:ラストの夢オチも大目に見られるほどの傑作。一堂零とヒロイン唯ちゃんとのラブコメも見所の一つ。最初は異様に絵がヘタだったが徐々に画力が上がっていった(『SLAM DUNK』ほどの急成長ではなかったが)。タイトルは違うが同一の世界観を有する前作に『三年奇面組』がある。
 ひとこと:「奇面フラッシュ!!」





ハヤテとヒナギク――両親に捨てられた子供たち 


 91話のレビューで言っていたように、ハヤテとヒナギクが自分たちの両親についてどう認識しているかちょっと考察してみます。それに絡めて二人の性格についても。


 まず綾ハヤテ。皆さんもご存知、一億五千万の借金を押し付けられて両親に蒸発された主人公です。ハヤテは両親についてかなり突き放した見方をしています。91話のセリフを抜粋してみると、
「へ?
 いや……どうって……ヒドい親だな~って……
 子供捨てるなんて人として最低だし……
 こんなろくでなし、他にいないっていうか……
 ま、人間失格ですよね。人間……」

とかなり冷静で客観的な評価を下しています。これはヒナギクに自分の暗い過去を見せまいとする韜晦ではありません。91話以外でも似たようなものですから。
 そして桂ヒナギク。こちらも皆さんご存知、完全無欠の生徒会長様です。そして単行本未読の方々はご存知でない設定として、四歳のときに八千万の借金を押し付けられた過去があります。
 しかしハヤテと違ってヒナギクは両親を悪し様には言いません。むしろ
「理由が!!
 理由があったんじゃないかって……思わなかった?」
「あんなに優しかったのに突然いなくなるなんて……!!
 何か仕方ない理由が……!!
 理由が……」

というふうに自分を捨てた両親を庇うような物言いです。

 この差異は何に起因しているのか。勝手な想像ですが、両親に蒸発されたときの二人の年齢によるものだと考えています。
 そのときのハヤテは16歳。自分の両親であっても最低な人間は最低な人間であることを認められる年齢です。しかもそれまで両親がいかにダメな人間なのかずっと見てきたわけです。そしてハヤテは当然の行為として、両親を美化することも好意的に解釈することも諦めました。感情よりも理性を優先させることで両親についての不必要なストレスから逃れられたわけです。オーソドックスですが幼児には不可能な自己防衛行動でしょう。
 対してヒナギクは当時4歳。この世に悪意が存在することなど想像の埒外にある年齢です。“あんなに優しかった”という思い出も、煎じ詰めれば客観的な判断ができない幼児の印象に過ぎません。それは客観的な事実だったのかも知れませんし、両親は優しかったし自分は愛されていたはずだと信じたいだけなのかも知れません。つまりヒナギクはハヤテのように両親を客観視することができていないのです。幼児期、もしくは成長する際に築き上げられた両親の偶像は歳月を掛けているだけに堅固ではありますが、壊れるときは非常にもろいでしょうしリバウンドも大きいでしょう。

 両親に対する認識の違いは、ハヤテとヒナギクの能力や性格にもいくらかの影響を及ぼしていると考えられます。
 二人はどちらも努力型の万能選手ですが、そこに至るまでの経緯はかなり違います。
 ハヤテは去年までろくに家計費も入れない両親に替わってさまざまなバイトに従事してきました。バイトの経験のおかげで執事としての能力はかなり高いのですが、その代わりとして普通の高校生としての成績は特筆に価するものではありません。
 ハヤテが高いレベルで技能を修得できたのは、金のためだと手を抜いたりせずに真面目に働いてきたからでしょう。“最後に笑うのはきっとひたむきでマジメな奴だ” と信じているからです。結局、ハヤテは悲惨な境遇で育ちながらも根っこの部分では世界の善性を信じているし、自分は善人であろうと努力しているわけです。去年のクリスマス(劇中時間)以降の彼はいわゆる“いい奴”です。先天的な要素も大きいのでしょうが、成長するに従って自分を作り変えた結果として、他人の不幸を放っておけない今のハヤテがあるのでしょう。
 逆にヒナギクの真骨頂は勉強や運動やカリスマ性のように学生としての能力にあります。料理の腕も充分以上ですがこれはヒナギクにとっては余技に近いものでしょう。つまりヒナギクはハヤテと較べて学業に専念できたということです。これは当時すでに高校生だった桂先生のおかげでしょう。ヒナギク姉妹を引き取ってくれた養父母が富裕層であるのも大きいです。
 こういった環境でなぜヒナギクが完全無欠の生徒会長様に成長できたのか。資料が少ないので判断しかねますが、桂先生や養父母に対するある種の負い目がヒナギクをそうさせたのかも知れません。もしかしたら両親に捨てられたのは自分がいい子にしていなかったから(虐待された児童はだいたいこんなふうに考えるそうです)と思い込んでいたからなのかも知れません。もちろん漫画では語られていないから全くの想像ですが。

 またハヤテは現時点で一番の本命であるマリアさんを美化したりはしませんし、ヒナギクが綺麗で格好いいことを知るのも出会ってからかなり経ってのことでした(第一印象が情けなかったせいもあるのでしょうが)。これは最も近しい人間である両親が欠点だらけの人間だったので、他人に対して過度の期待はしないように心がけているせいでしょう。
 反面、ヒナギクは乙女チックな夢も見ますし、意中の相手に自分と同じ答えを期待したりもします。これは両親に対して主観的な見方をするヒナギクの性格によるところが大きいでしょう。単純に思春期の女子高生だからという理由も否定し切れませんが。

 結論。ハヤテは両親の欠点を直視してきたから、両親をかなり突き放して見ることができます。しかしヒナギクは幼い頃に両親と別れたせいで、ハヤテほどドライになることができません。
 このままだとヒナギクが過去のトラウマと向き合わなければならなくなったとき、きちんと自分で答えを出せるのかが心配になってきます。
 しかし91話の最後のページで。

hayate_91_00

 同じ苦しみを持っている相手として気になっていたはずなのに、それをひとまず棚上げにできる余裕がヒナギクに生まれています。ヒナギクのような真面目な女性は暗い過去にいつまでも拘らないほうがいいでしょう。ヒナギクの問題は完全に解決できる類のものではありません。それが恋であれ何であれ、自分の思ったように振舞ったほうが楽になれるでしょうから。






漫画ナツ100・レビューその3 


021.原作・大場つぐみ/作画・小畑健『DEATH NOTE』

 あらすじ:高校生・夜神月は名前を書き込んだ人間を殺すことができる「デスノート」を手に入れる。悪人を皆殺しにすることで月は(あくまで主観的な)理想社会を築こうとするが……。
 レビュー:主人公が本質的には犯罪者だったり、「友情・努力・勝利」のうち友情を完璧に素っ飛ばしたり(どころか逆手にとって利用さえした)肉体ではなく頭脳を駆使した知略戦を展開したりとジャンプでは異色の名作。Lが死んでからの第二部は正直どうでもよくなった。が、月の無様そのものの最期に全ての不満は吹き飛んだ。
 ひとこと:「僕は新世界の神になる」



022.大和田秀樹『たのしい甲子園』

 あらすじ:超不良高校・瓦崎工業高校の頭(ヘッド)、太田は素行不良で高校球界を逐われた不良球児どもを従えて甲子園を目指す。なぜ?
 レビュー:『アストロ球団』のバカ漫画的なノリを解っててやってるギャグ漫画。とにかくハッタリが効きすぎている。瓦高も対戦相手も真面目に野球をやる気がどんどん無くなっていく。主人公の太田からして金属バットよりも釘バットを握っている方が多い。一ミリグラムも人生の糧にはならないだろうが、とりあえず読んでいる間だけは充実した時間を過ごせる作品である。
 ひとこと:実写化されたら制作費の八割は火薬代に持っていかれます。



023.原作・Guy Jeans/作画・ヒラマツミノル『REGGIE』

 あらすじ:メジャーリーグで十年以上4番を張ってきたホームランバッター、レジー・フォスター。成績不振を理由に解雇された彼は日本の球団に移籍する。ベースボールと野球の違いに戸惑いながらもレジーはメジャーに復帰することを目標にバットを振る。
 レビュー:とにかくキャラクターが食傷を起こしかねないほどに個性的。しかも平山監督を除いてどいつもこいつもどうしようもない馬鹿ばかり。そんな連中が見せてくれる、一球入魂としか表現しようのない熱いプレイはスポーツ漫画の醍醐味であろう。最初期の抽象画みたいな絵柄を受け付けられる人は少ないだろうが、そのうち見やすくなっていくのでご安心を。
 ひとこと:『アグネス』仮面の最終回に絶望した!!



024.片山まさゆき『ノーマーク爆牌党』

 あらすじ:フリー雀荘にふらりと立ち寄った無名の青年、爆岡弾十郎(なんて名前だ)。ひょんなことから彼は三大麻雀タイトルの一つに参加し、ついには無敗のままタイトルを総なめにする。
 レビュー:お世辞にも絵が巧いとは言えないが、それでも麻雀漫画の金字塔。『哭きの竜』や『アカギ』と違ってちゃんと四人麻雀が描けている。天才のライバルに負け続けながらも一歩一歩成長していく凡人の主人公、というのはベタだがそれだけに王道。すんなり感情移入できる。
 ひとこと:結局、爆牌の正体って何?



025.原作・勝鹿北星/作画・浦沢直樹『MASTERキートン』

 あらすじ:大学講師の口にすらありつけないこともあるうだつの上がらない考古学者、平賀・キートン・太一。かれはSAS(特殊空挺部隊)のサバイバル教官だった経験を活かし、ロイズ保険会社の調査員(オプ)として世界中を飛び回る。
 レビュー:主人公のキートンはかつて特殊部隊のエリートであり、軍当局から幹部候補生としての待遇を受けた。そんな輝かしい経歴を弊履のごとく脱ぎ捨ててまで青年時代の夢を忘れないキートンは中年男性の一つの理想像だろう。人を殺せない設定が追加された途端に話がつまらなくなったのが非常に残念。
 ひとこと:ぐぐると絶版問題と雁屋哲の話ばかり。



026.原作・雁屋哲/劇画・由起賢二『野望の王国』

 あらすじ:神奈川一円を掌握する暴力団・橘組。その組長の五男坊として生を受けた橘征五郎は自らの野望を果たすため、僚友の片岡仁とともに周囲を血と暴力で染め上げていく。
 レビュー:劇画版『アストロ球団』。この怪作の魅力はとてもじゃないがこんな所では語り尽くせはしない。とりあえずこの漫画に山岡士郎が登場したら確実にコンクリートブロックで殴られます。
 ひとこと:「この世を支配するのは暴力だっ! 暴力が全てだっ!」(これ、警察署長のセリフです)



027.河合克敏『帯をギュッとね!』

 あらすじ:昇段審査試験で抜群(五人抜き)で黒帯を手にした柔道少年・粉川巧。彼は進学先の高校で他の有段者四人と柔道部を設立する。
 レビュー:試合だけではなく練習シーンも多いのにあまり汗臭さを感じない柔道漫画(ちょうど『SLAM DUNK』みたいに)。合間合間にギャグやラブコメが挿まれているので飽きが来ず、読みやすい。全体的に爽やかな印象を受ける。
 ひとこと:下手すりゃ本編よりも単行本のオマケ四コマの方が面白い。



028.かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』

 あらすじ:海上自衛隊二等海佐・海江田四郎は日本初の原子力潜水艦「シーバット」の艦長に任命されるが、処女航海で脱走。後に戦闘国家「やまと」として独立を宣言。彼をテロリストに指名したアメリカと戦う。
 レビュー:いかにも団塊の世代らしい作者のイデオロギーには首肯しかねる部分が多いが、とにかく傑作。海江田はカリスマ性が高いように描写されているが何を考えているのかよく解らないので、上官と仰ぐなら深町二佐の方がいい。アクロバティックな海戦はわりと滅茶苦茶。
 ひとこと:ところで“やまと保険”はどうなった?



029.北崎拓『ますらお』

 あらすじ:鞍馬寺に預けられた遮那王(後の源義経)は、その境遇からこの世の全てを恨む。どうにか鞍馬寺を脱走した遮那王は暗い憎悪を胸に平家打倒を誓う。
 レビュー:作者はラブコメばかり描いているイメージが強いが、どうしてかなりの歴史マニア。コーエーが発行していた『DA GAMA』や『歴史ファンワールド』の表紙のイラストを描いていたこともある。打ち切り風味なのが残念だが、歴史を題材にした少年漫画の中では傑作の部類に入る。が、平家ファンは読まない方がいい。
 ひとこと:なんで金売り吉次が女でしかも藤原泰衡といい仲なんだよ。



030.原作・工藤かずや/作画・浦沢直樹『パイナップルARMY』

 あらすじ:ジェド・豪士は元傭兵にして西側最高の爆発物のスペシャリスト。現在は民間軍事援助組織CMAに所属し、戦闘インストラクターとしてさまざまな依頼人たちに護身術を教授する。
 レビュー:たまに中篇もあるが大抵は一話完結のオムニバス形式。個性豊かな依頼人とその周辺人物による人情話に佳編が多い。毎回銃器や爆発物が登場する物騒な漫画ではあるが、それでいて血生臭い展開はほとんどないのでグロ耐性の無い人にも勧められる。
 ひとこと:『HAPPY!』以降の浦沢直樹はどうも性にあわない。





Wizardryのごとく! 第十七話 

「マーフィー君たちの尊い犠牲(ただし一方的)のおかげでマリアさんとヒナギクさんのレベルも最下層に潜れるくらいには上がりました」
「その後も経験値稼ぎに勤しんだおかげで二人とも再びマスターレベルに戻った。
 さて、そろそろだな」

「何がですか?」
「私たちの電脳世界での冒険が、だ。レベルは充分、アイテムも万全、前衛にはマスターレベルのエリートクラスが二人。ここまでくれば、負ける道理が見当たらない」
「確かに。作者は現在の私たちよりも貧弱なパーティーでクリアしたことも何回かありますからね」
「うむ。というわけで最下層の六フロアのモンスターどもを蹴散らし、ついに私たちはワードナの玄室にたどり着いた」

wizgoto_17_01

「営業時間って……」
「アメリカ人のセンスにいちいち突っ込んでいたらキリがないから放置するぞ」
「いざ突貫!!」

wizgoto_17_02

「ハワワワ! 相手の先制攻撃!?」
「なんの! ここまで来たんだから、一ターンくらい攻撃できなくても僕たちは耐え抜いて……」
「さてそれでは帰り支度を始めるか」
「おおっと!!」
「えーとナギ? それはさすがに弱気すぎない?」
「それで今までさんざん失敗したではないか。私にだって学習能力はあるぞ」
「その代わり運動神経は絶望的なまでに皆無ですけどね」
「shut up!」
「わ、ネイティブみたいにきれいな巻き舌」
「そんなことはこの際どうでもいい!」

wizgoto_17_03

「レベルを下げられたって……何のレベルですか?」
「キャラクターのレベルに決まっているだろう。この特殊攻撃はエナジードレインといい、主に高レベルのアンデッドが使用してくる。効果はさっき言ったようにレベルが下がる。さらに最大HPも減少し、運が悪いと年齢が上がることもある」
「いくらなんでもひどすぎるって!!」
「全くの同感だ。ある意味、一撃死よりもタチが悪いからな。さすがに極悪すぎて最近のゲームではお目にかかれないだろう。作者がプレイしたRPGでレベルが下がる特殊攻撃が存在するのはロードス島戦記(PCエンジン版)くらいか。しかもこっちは神殿で治療費を支払えば元に戻るから厳密な意味では違うのだろう。女神転生にはあると聞いたが、これ以上は脱線するから止めておく」

wizgoto_17_04

「さすがにラスボス、多彩な特殊攻撃を仕掛けてきますね」
「これでも被害は少ないほうだぞ。ワードナの打撃には毒・麻痺・石化・クリティカルヒット・4レベル相当のエナジードレインが秘められている。ぶっちゃけブレス以外の全ての特殊攻撃を繰り出してくるわけだ。おまけに使用してくる魔法のレベルは当然のように最高の7だ」
「なんだかほとんどイジメのような気がしてきました」
「一ターンでパーティーが半壊してしまいましたね」
「だから帰り支度をすると言ったのだ。さ、戦線を離脱するぞ」
「で、でもイベント戦闘では逃げられないはずじゃ……」
「普通の手段ではな。しかしマスターメイジである私がパーティーにいれば全く問題はない」

wizgoto_17_05

「MALOR……?」
「空間転移魔法、くだいて言えばテレポートだ。戦闘中に唱えれば確実に逃げられる。跳ぶ先は一階下のランダム座標だが、地下十階だと繰り上がる計算なのか地下一階になる。なおキャンプ中だと自分で座標を決められる」
「ルーラとリレミトの複合変形魔法ってところですか」
「汎用性はこちらの方がよっぽど高いぞ。しかしそれだけに初心者にはお勧めできない。もし座標先が迷宮の外やブロックだとしたら一発でパーティーが全滅してしまうのだ」
「ルーラやリレミトは転移先が指定されている分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われているテレポートの基本魔法。対してMALORは見た目なんかはルーラやリレミトとほとんど変わらねぇがあえて座標を指定できる分汎用性をかなり増加させて移動するより障害を突破することを目的とした玄人好みのあつかいにくすぎるテレポート魔法。使いこなせねぇと旅客機より不便なただの有人ロケット特攻機みてぇなもんだってのに何であのガキは?」
「某所で大人気の『斬』コピペですか」
「でも、ひとまず助かったけどまた経験値を稼がなくちゃいけないのよね」
「いや、その必要はない。というのも、エナジードレインで経験値が減るのは戦闘が終了してからなのだ。つまりMALORを使えばレベルは下がっても経験値は据え置き。宿屋に泊まればレベルは元通りになるという寸法だ。理由? 仕様としか答えようがない。システムの裏をかく技だからあまり好みではないのだが、そうも言ってられんだろう」
「ワードナ討伐は次回に持ち越しですね」





斬コラ DMC地獄の人文字 

 またもや『斬』のコラを制作してしまいました。
 世紀のネタ漫画のコラボレーション・コラージュ。

zan_dmc_01





機神咆吼デモンベイン 第11話 

demonbane_11_01

 地球皇帝アウグストゥス!!
 出ました! PS2版で追加された変態ルック!
 このキャラだけでご飯三杯はいけます。中の人の演技も素晴らしい。
 しかしあの受け狙いとしか思えないコスチュームを誰が用意したのやら。いつのまにかブラックロッジの構成員がいなくなっているから彼らに命令した線はなさそうです。島根県の年老いた母親が、息子の一世一代の晴れ舞台のために夜なべして編んでくれたのでしょうか? 井出貞治氏のご母堂についてはA計画を参照されたし。

 サブタイトルは「THE RETURN OF THE SORCERER」。元ネタはやっぱりクトゥルーもので、クラーク・アシュトン・スミスの「妖術師の帰還」です。

demonbane_11_02

 夢幻心母を追う九郎一行。すげぇトップヘビーです。まあデモンベインは全長80メートルなのだから相対的に小さく見えるだけなのでしょう。しかし高波一つで転覆しそうで怖い。

demonbane_11_03

demonbane_11_04

 この期に及んで女の戦いが勃発!? かと思いきやナアカルコードの解除キーを渡しただけでした。これでレムリア・インパクトも撃ち放題です。しかしキーの移譲はキスしなくても可能なのでは? そうでないと姫さんの前任者(たぶん覇道鋼造あたり)と唇を重ねていなくてはならないわけなのですが。祖父と孫娘の禁断の恋……。ま、姫さんルートだとそのまんまですが。
 いつの間にか回収していたシャンタクの断片を使い、飛行形態で夢幻心母に突入。

demonbane_11_05

 旧神ルックのアル、可愛すぎます。控えめに表現して犯罪です。キョンもこのアルを見てしまえば一ピコ秒でハルヒから乗り換えること必至です。しかし前回ではまだネコミミモードだったのに、なぜ姿が変わったのやら。DVDでは修正されるんでしょうか?
 さておきティトゥスが皇餓を駆ってデモンベインの行く手を阻みますが、あっさり瞬殺されます。原作どころか機神飛翔でさえもこんな感じ。正直ティトゥスはアンチクロスで一番いらない子なのでは……?
 一方、姫さんたちにダゴン(ヒュドラ?)が迫ります。迎撃ミサイルでも用意しとけよ。デモンベインを搬送するために余分な装備を取っ払ったというのならさっさと戦線を離脱すべきだし。そもそも護衛艦の編成くらい覇道財閥の力を以ってすればどうということもないでしょう。
 そんな限りなく自業自得っぽい姫さんたちの窮地を救ったのは、男の浪漫ドリル!

demonbane_11_06

 なぜか水着仕様のドクターウェスト&エルザでした。演奏しているのもいつのもエレキギターではなくウクレレ。
 あ、全世界の海上戦力を集結したダゴンとの艦隊戦は省略されました。だいたい想像はついていましたけど、やっぱり勿体無いネタですよアレ。
 さておき敵の本拠への侵入を果たしたデモンベインを待っていたのは、やはり!

demonbane_11_07

 地球皇帝アウグストゥス!!
 しかし彼はただのイロモノではありません。クトゥルーの力を借りているのでデモンベインでは歯が立ちません。が、勝負は意外なところで決着を見ます。何者かによって攻撃される地球皇帝。

demonbane_11_08

 これだけの千両役者を退場させたのは、エンネア。

demonbane_11_09

 彼女の正体はネロ。暴君ネロ。アンチクロス最強の魔術師ネロ。
「ブラックロッジがネロのものになるのは約束されていたこと、クトゥルーを解き放ち滅ぼすのはネロ、九朗が憎むべき邪悪と理不尽はネロ……
 九郎は、ネロを滅ぼすために戦っているんだよ」

 永劫とさえ思える輪廻の果て、エンネアは九郎に殺されることを望んだ。しかしナイアさんの予言どおり人間は、大十字九郎は強かった。暴走してシャイニング・トラペゾヘドロンを発動させながらも、九郎はやはりエンネアを討たなかった。
「俺が斬るのは、エンネア、お前じゃない。デモンベインは魔を断つ剣。俺はここにある邪悪だけを断つ」
 やはり大十字九郎はヒーローでした。カッコ良すぎてエンネアにキスされます。

demonbane_11_10

 おーい九郎、正妻が怒ってまっせ。

demonbane_11_11

 九郎は家に帰ろうとエンネアに手を差し出します。ぶーたれながらもアルも従いますが。
「ネロは、九郎に会う事で勇気を分けてもらうつもりだったんだ。ネロ自身を滅ぼす為の勇気を……
 ありがとう。エンネアの大好きな九郎……」


demonbane_11_12

 エンネアの腹は裂け/マスターテリオンが子宮から這い出し/リベル・レギスを召喚し/エセルドレーダが傍に立つ。

demonbane_11_13

 今回はキスシーンばかりだ。
「我が母ネロに産み落とされたのだ。
 余は、ヨグ=ソトースの血を引くもの。禁忌なる交わりの元に生まれし者。人類最強の魔術師ネロと外なる神との間に生を受けし者。邪神の落とし子。
 さあ、貴公らに余を倒すことが出来るか。神の子たるこの余を……
 神殺しの刃よ。大十字九郎よ!」


 次回、ついに最終決戦。一クールなんだからきっちり十三話編成にしてくれればよかったのに。もちろん本音は二クール希望。
 説明不足や駆け足の感は否めませんが、これまでの出来を考えれば充分に及第点でした。前回もそうでしたが、尻上がりにクオリティが向上してきています。最終回の出来にも期待が持てそうです。

  




漫画ナツ100・レビューその2 


011.石垣ゆうき『MMR』

 あらすじ:マガジンミステリー調査班、通称MMRが様々な超常現象を解明するストーリー、のはずが自称IQ170のキバヤシによる飛躍した論理でたいていノストラダムスの大予言に結びつけられ、地球が破滅するという絶望的な結論で締めくくられる場合が多い。
 レビュー:本来とは別の角度からでも漫画は楽しめるということを教えてくれた怪作。
 ひとこと:「な、なんだってー!!」



012.板垣恵介『グラップラー刃牙』

 あらすじ:史上最強の生物、範馬勇次郎を超えるために範馬刃牙は戦い、強くなる。
 レビュー:特徴的な筋肉、異様にインパクトの強い台詞回し、戦いというよりも壊し合いといったほうが適当な戦闘描写。過剰演出と先の読めない展開のおかげで読者は目が放せない。……が、『バキ』以降は大多数のファンに見放された気がする。
 ひとこと:板垣恵介には原作者、少なくとも原案協力者が必要だと思う。



013.板垣恵介『バキ特別編SAGA』

 あらすじ:筋肉のキモいガキと水商売のネーチャンがまぐわう漫画。
 レビュー:腹筋がよじれてしょうがない。
 ひとこと:最凶のギャグ漫画。



014.原作・李學仁/作画・王欣太『蒼天航路』

 あらすじ:『三国志演義』などでは悪役として扱われる曹操。この非常の人・超世の傑を主人公に、激動の後漢末期を舞台として物語は進行していく。
 レビュー:ちょっと、というか滅茶苦茶にやりすぎな三国志漫画。とにかく主人公の曹操を筆頭にアクの強すぎるキャラクターたちが過剰演出で爆走する。結局のところ何が言いたいのか意味不明な場合が多いが、「何だか知らんがとにかく良し」と思わせるエネルギーに満ちている。中級(『正史』と『演義』の区別くらいは付いている)以上の三国志ファンにお勧め。
 ひとこと:荀の変貌と賈詡のハゲ頭に涙した。



015.岩明均『寄生獣』

 あらすじ:人間の脳を食ってその人物に成りすまし、他の人間を捕食する正体不明の寄生生物。その中の一匹が泉新一を襲うが失敗し、彼の右手に寄生することになる。ミギーと名付けられた寄生生物と共に新一は数奇な生活を送る。
 レビュー:人間と地球との関係とか環境問題とかの部分で名作と評価される場合もあるが、エコロジーにはあまり興味がないのでどうでもいい。しかしこの漫画の持つ独特の雰囲気、新一とミギーの奇妙な友情、自衛隊とパラサイトとの戦闘といった表層的な部分だけでも充分に傑作。これを読まなければ人生損をする、と断言できる。
 ひとこと:ハリウッド版は駄作に終わりそうな予感がするので観る気はない。



016植芝理一『ディスコミュニケーション』

 あらすじ:「わからないから好きになる」を合言葉にした摩訶不思議恋愛漫画。平凡な女子高生戸川安理香と、彼女が好きになった奇人・松笛篁臣との奇妙なラブストーリー。
 レビュー:どう考えても必要とは思われないオブジェや書き込みが誌面に散乱している。これはこれで独自の作風だから悪くはないが、余白の美という概念から最も縁遠い漫画である。宗教的・哲学的メタファーが多用される冥界編よりも、作者のフェティシズムが炸裂しまくった学園編のほうがよっぽど面白い。
 ひとこと:戸川は絶対に中学時代の方が可愛い。



017.うすた京介『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』

 あらすじ:転校生の藤山起目粒は、友達百人を作ることが目標。しかし同じクラスの花中島マサルに気に入られてセクシーコマンドー部に入部させられてしまう。
 レビュー:ジャンプには珍しい不条理ギャグ。やたらとキャラの立ちまくった登場人物の意味不明な言動は立ち読み時には非常に危険だった。次回作の『武士沢レシーブ』がなぜあれほどまでにつまらなかったのか理解できないほどの傑作。
 ひとこと:セクシーコマンドー正伝が読みたい。



018.うすね正俊『砂ぼうず』

 あらすじ:文明が滅んでから数百年後の日本、関東大砂漠。そこで売り出し中の便利屋・砂ぼうずがウィンチェスターM1897を手に活躍する。
 レビュー:とにかく登場人物が悪党だらけ。勧善懲悪や人情モノを期待している人には絶対にお勧めできない。が、人間の汚さ・えげつなさを全開にしたストーリーは純粋に引き込まれる。コミカルな場面も多いので読後感はそれほど重くならないし。
 ひとこと:主人公の卑劣さ加減が最高。



019.衛藤ヒロユキ『魔法陣グルグル』

 あらすじ:魔王の復活が目前となった世界。両親に勇者として育てられたニケは、グルグルと呼ばれる魔法を操る少女ククリとともに旅に出る。
 レビュー:あらすじだけ聞くとシリアスファンタジーのような印象を受けるがそんなことは全然ない。ほのぼのした絵柄とシュールなナレーションによる独特な作風は万人が楽しめるだろう。あと、とにかく絵柄がコロコロ変わる。聞くところによればデビュー当時の画風は劇画調だったらしい。正直、見当もつかない。
 ひとこと:ザムディン!



020.原作・大塚英志/作画・田島昭宇『魍魎戦記MADARA』

 あらすじ:父親の野望のため、主人公は生まれながらにして魔物に五体を奪われる。赤ん坊のうちに捨てられ、流れ着いた先で作り物の身体を与えられる。成長した主人公は自分の身体を取り戻すために旅に出、魔物たちと戦っていく。
 レビュー:エヴァに先行する膨大な設定資料や文化人類学的ギミック(父殺し、母にして姉にして妻、身体の一部が欠損した異能者集団など)が当時小学生だった自分には斬新に映った。第二部以降はエンターテイメントとしての魅力が半減した気がする。絵柄もあまり好みではなくなったし。
 ひとこと:108編の物語っていくらなんでも吹きすぎだろ。





ハヤテのごとく! 第91話 

「お誕生日おめでとうございます、ヒナギクさん」
 と、最初のコマでハヤテはホスト風味にヒナギクに花束を贈ります。手作りクッキーはどうしたと心で突っ込んだらコマの外は黒塗り。たぶんヒナギクの想像らしいと当りをつけられます。しかしそれはそれでヒナギクはぬいぐるみを欲しがってたんじゃないのかと疑問に思いますが、まあ花束の方が望ましいのでしょう。バックで花びらが舞いながらバラが咲いてますし。割と乙女チックなものに憧れるヒナギクに萌えていたら。

hayate_91_01

 ちょ、てめ、まて、おま、こら、ハヤテ!

hayate_91_02

 やっぱり夢でした。ふうやれやれ。
「ま、当然夢オチなわけで……」というモノローグ、不必要に血圧が上がるから三コマ前に出しておいてください。ヒナギクもこんな夢を見てしまった自分に呆れていますし。
「我ながら……なんて頭の悪い夢なのかしら……。
 まったく……毎晩毎晩……私ときたら……」

 ままままま毎晩!? なんてこったいハマーン様。
 で? 俺はいつ三千院邸のハヤテの部屋をレクイエムで蒸発させればいいんでつか?

 今回の表紙はパジャマ姿のヒナギク。せっかくだからその艶姿を貼っておきます。

hayate_91_03

 人生は、小さな幸せと大きな不幸でできている。第91話「moment」
 サブタイトルの元ネタはガンダム種の同名のOPテーマと思われます。

 ヒナギクは生徒会室で悶々とします。
「もしかして……これは……鯉?」
 あまりにもベタベタなギャグ。だがそれがいい。
 そんな傍から見ていれば面白そうな一人芝居にツッコミが入ります。

hayate_91_04

 一話に一回、デフォルメヒナギク。全国の学校で標語として採用してもらえませんかね?
 さて体勢を立て直したヒナギクは美希嬢にハヤテについてどんな人物か訊きます。ヒナギクとしてはクラスの評判程度を期待していたのですが、美希嬢はハヤテの生年月日から血液型、現在に至るまでの経緯をえらく詳細に答えてくれました。
「ま、政治家の娘だから、調べるのは得意」
ということですが、政治家よりも秘書の仕事に近いような気がします。そして彼女の調査能力、というか出歯亀根性というかヒナギク専用ストーキング術を次のコマでも披露してくれます。

hayate_91_05

 今週のヒナギクはいったい俺をどうしようというのでしょうかっ!?(どーもしねーよ)

hayate_91_06

 かすっただけで目まいがしやがる……ッ!
 それはさておき帰宅途中、ヒナギクは自分がハヤテを意識していることを認めます。しかしそれは惚れた腫れたとかいうものはなく彼の生い立ち、両親に借金を押し付けられて蒸発されたという過去によるものと考えます。毎晩毎晩あんな夢を見ておきながらなお恋愛感情を否定するあたり、ヒナギクのツンは相当なレベルです。その反動でデレ状態に移行したときのことを考えるとファファファファファ……おっと失礼、妄念が漏れました。
 そんなヒナギクをナギと一緒のハヤテが呼び止めます。ハヤテたちにしては遅い帰りだったのは、ワタルと一緒に自習室で試験勉強をしていたせい。三人が同じ部屋で勉強するのだったら間違いも起こらないというのが理由でしょう。しかしこれを提案したのがナギなのかハヤテなのかで二人の関係は随分と変わってくるのですが。
 さてハヤテが試験勉強の難しさに弱音を吐くと、ヒナギクは。
「だったら私のプレゼントなんて買ってないで……家で勉強しなさいよ。
 べ……別に期待なんてしてないんだし……
 なくったって……別にかまわないのよ……?」

 ヤバイ。今週のヒナギクはマジヤバイ。十二の試練(ゴッド・ハンド)の宝具を装備していても下手すりゃ一撃で聖杯戦争から脱落させられそうな破壊力です。
 しかしそんな極上のツンも、ハヤテのあまりの危機感の無さに変質して果て、怒りのスーパーモードに覚醒してしまいます。

hayate_91_07

(お嬢さま!! あれが噂の絶界ってやつですよ絶界!! さすがアニメ化すると迫力が違いますね!!)
(いや!! 閉鎖空間かもしれん!! もしくはディス○ーションフィールドか?)
(ATフィール○って言う方が普通の人にわかりやすいですよ!!)
 絶界の元ネタって、結界師ですか? だからサンデーはハヤテしか読んでいないんですって。あとハヤテ、普通の人はハルヒやナデシコはもちろんのこと、エヴァだってほとんど知らないと思うぞ。
 とにかくヒナギクは試験勉強を頑張るようにハヤテに念を押して去っていきます。ハヤテは自分がなぜヒナギクを怒らせたのか理解できないまま、まず土下座してからなにを謝るのかを考えることにしてヒナギクを追います。
 この後ハヤテとヒナギクの二人はシリアスモードに突入。ヒナギクはハヤテに両親をどう思うか訊ねます。これは二人の関係のみならず『ハヤテのごとく!』全体にも大きなウェイトを占める問題なので、いずれ別件で取り上げる予定です。
 結局ハヤテはトリビアで誤魔化します。

hayate_91_08

 今回はヒナギクのみならずハヤテ萌えでもありました。

 久々のヒナギクメインの今回。これまでの出番の無さを払拭するかのごとき萌え乱舞でした。え? いつものように今回も出番の無かったマリアさんはどうかですって? や、マリアさんは前回までの不条理なまでの活躍が祟ってあと十週はメインを張れません。
 まあマリアさんにはメインヒロインという有名無実の看板だけで満足しておいてもらいましょう。ヒナギクですよヒナギク。考えてみよ、今回のヒナギク萌えの質と量を。ジオンはあと十年は戦える。フフフフフッ……
 まったく来週も楽しみだなっと再び読み返して最後のページに至りました。
 第38号……8月23日(水)発売につづく
 ……はい?
→今週のサンデーは合併号。
→来週はお休み。
→まるまる二週間はヒナギクが拝めない。
 ……
 …………
 ………………
 戦いは数だよ! アニキ!!






漫画ナツ100・レビューその1 


001.CLAMP『カードキャプターさくら』

 あらすじ:小学四年生の少女、木之本桜はこの世に災いをもたらすと言われる「クロウカード」をあやまって開放してしまう。彼女は「クロウカード」を回収するため、封印の獣ケルベロスとともにカードキャプター(カード捕獲者の意)として活躍する。

 レビュー:主人公の恋人(もちろん男)の初恋の人は男。親友は主人公のコスプレ姿の活躍をビデオに納めることに血道を上げるレズ。兄はかつての恋人を捨てて主人公の初恋の人とホモ関係。担任教師は同級生の小学生に婚約指輪を贈る。そこまで人間関係が狂っているのにあまり気にならないという妙な漫画。

 ひとこと:昨今の小学生ブームの火付け役。だったらいいな。



002.Moo.念平『あまいぞ! 男吾』

 あらすじ:巴男吾は三度のメシよりケンカ好き、口より先に拳が飛ぶ。周りの大人からは問題児扱いされ、クラスの女子からは毛嫌いされる。しかし粗野で奔放な性格ではあるが曲がったことは大嫌い。子供らしい正義感と義理堅さを胸に、男吾は今日も全力疾走!

 レビュー:コロコロコミック史上に残る傑作。初期のドタバタ人情物は大人の鑑賞にも耐えうる佳作揃い。中期のバトル三昧は荒唐無稽な描写が多いが、その圧倒的なパワーのおかげで全く気にならずに楽しめる。後期は評判が悪いが、ケンカトーナメント最後の主張には頷けるものがある。最近では失われてしまった熱さが横溢している。文部科学省はこの漫画を小学生の課題図書に加えるべきだ。

 ひとこと:お姫は俺にとって最初のファム・ファタール。



003.アンソロジー『ドラゴンクエスト四コママンガ劇場』

 あらすじ:日本を代表するRPG「ドラゴンクエスト」を題材にした四コマギャグ漫画。

 レビュー:初期は玉石混交といった感じだったが、四~五巻あたりから非常にレベルが高くなった。柴田亜美を初めとして、多数の漫画家を輩出したことでも知られる。俺はドラクエ四コマが毎月掲載されているという理由でガンガンを購読していた。

 ひとこと:「どうじゃ、世界の半分をお前にやろう」「全部くれ」ひゅるりら~



004.相原コージ『ムジナ』

 あらすじ:卍の里の下忍、ムジナは落ちこぼれ。彼は同じく落ちこぼれだった父ゴキブリの遺言に従い、周囲のあらゆる蔑みに耐えながら生き抜くことを決意する。

 レビュー:とにかくインパクトの強い作品である。絵もギャグも下品だが、そのおかげで非常に人間臭く感情移入できる。が、登場人物の九割九分が死ぬ上にろくな末路を迎えない。あとムジナの必殺技は一見の価値あり。そのあまりの素晴らしさに、手に持った単行本を地面に叩きつけること請負いである。

 ひとこと:最悪としか評価のしようがないハッピーエンドが強烈。



005.秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

 あらすじ:葛飾区の亀有公園前の派出所(実在はしない)に勤務する破天荒な巡査長・両津勘吉を中心にしたドタバタギャグ漫画。1976年42号以来、30年以上に渡って週間少年ジャンプで連載が続けられている。少年漫画界の金字塔。

 レビュー:金とホビーのためならば異常な知識と行動力を発揮する――そんな両さんのキャラが確立した中期は本当に面白かった。広範な取材、豊富なアイデア、起承転結の整ったストーリー。ジャンプのみならず日本漫画の大黒柱であった。え? 後期? 訊くな。

 ひとこと:老害の痛ましさを世に知らしめる漫画。



006.荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』

 あらすじ:19世紀末のイギリス。貴族の息子ジョナサン・ジョースターが研究していた石仮面によってディオ・ブランドーは吸血鬼となる。ジョースター一族とディオ、そして彼に従う者たちとの2世紀に及ぶ奇妙な抗争。

 レビュー:騙し絵のような構図、奇抜なアイデア、強烈な印象を与えるキャラクターと台詞回しと擬音、読者の予想をことごとく裏切る頭脳戦。他の漫画に与えた影響は計り知れない。歴史に残る名作として後世の教科書に掲載されることが約束されているような漫画である。とにかく読め。それしか言えない。

 ひとこと:「はっきりいうと、この作品のテーマはありふれたテーマ――「生きること」です」



007.荒木飛呂彦『バオー来訪者』

 あらすじ:秘密結社ドレスによって寄生虫バオーを頭脳に埋め込まれた橋沢育郎は、予知能力者のスミレとともに脱走する。バオーの力で超人的な能力を身に着けた育郎はドレスの刺客を退けるが、スミレを浚われてしまう。育郎はスミレを救うため、ドレスに立ち向かう!

 レビュー:ジャンプ史上、最もラストシーンが美しい打ち切り漫画。基本コンセプトは変身モノだが、寄生虫の力で変身するという独特かつダークな雰囲気はやはり荒木イズム。不条理に押し付けられた逆境にめげず、スミレを救うために戦う育郎はまさにヒーロー。悪口が見当たらない。

 ひとこと:「おまえらのにおいを止めてやるっ!」



008.彩花みん『赤ずきんチャチャ』

 あらすじ:世界一の魔法使いセラヴィーの弟子、チャチャ。彼女は修行中の身なので、召喚魔法をよく失敗する。二人のボーイフレンド、狼男のリーヤと魔法使い見習いのしいねちゃんと共にドタバタギャグを繰り広げる。

 レビュー:キャラクターたちはステレオタイプだが個性が非常に強く、複雑な人間関係も相まってドタバタギャグとしてはうまく出来ている。……十年前は非常にハマっていたのに、今ではあまり書くことがないな。

 ひとこと:正直、アニメの方が出来はいい。



009.あんど慶周『究極!! 変態仮面』

 あらすじ:熱血刑事の父とSM嬢の母の間に生まれた色丞狂介は、正義に燃える変態野郎だった! 女性のパンティーをマスク替わりに被ることでヒーローに変身、人呼んで変態仮面!!

 レビュー:見た目のインパクトだけならどんなヒーローにも負けない。というか何も悪くないのに思わず土下座して平謝りしたくなる風貌である。ストーリーとか人間関係とか、そういった何もかもがどうでもいい漫画であるし、実際ほとんど覚えていない。なお、かつて俺は変態仮面の真似をしてブリーフの端を肩に引っ掛けようとして母に叱られた。これに懲りてパンツを被るときは母の目の届かないところでやった。

 ひとこと:「それは私のおいなりさんだ」



010.池田理代子『栄光のナポレオン-エロイカ』

 あらすじ:コルシカ出身の青年、ナポレオン・ボナパルト。独裁者ロベスピエールを打倒して権力を握ったバラスは彼を国内軍総司令官に任命する。ナポレオンは出世の階段を駆け上がり、ついにはフランス皇帝にまで登り詰める。しかしその後は権力の拡大と維持にしか感心を持たなくなり、しだいに没落いていく。『ベルサイユのばら』のキャラクターも何人か登場する。

 レビュー:この作者の名前を出せば必ず『ベルサイユのばら』が返ってくるが、あえてこちらを選ぶ。フランス革命の狂気と流血がまるで描かれておらず、全肯定されているのが気に入らないからである。もちろん『エロイカ』も色々と美化されてはいるがナポレオンを等身大の人間として破滅するまで描いたのは好感が持てる(歴史観はともかくとして)。作品としての面白さはやはり『ベルサイユのばら』に軍配を上げるが。あと、キャラの顔が肖像画によく似ている。アレクサンドル一世の頭髪だけは豊富だが、ロシア遠征以後は激減。読者の爆笑を誘う。

 ひとこと:日本人がナポレオンの生涯を知るには最適の作品。





バカ漫画レビュー『斬』三太刀「貫木刃 参上!!」 

 今日も素敵に絶不調、大人気バカ漫画『斬』のレビューを始めます。
 先週、月島さんとの真剣勝負を経て、明日から本格的に剣の稽古を始めてみようかと決心した主人公の斬。
「今までやってなかったのかよ!」というツッコミは控えておきます。中越戦争の謝罪を求めたヴェトナムに対する中華人民共和国の返答のように、我々はもっと未来志向にならなくてはならないのですから。そういうわけで支那事変についてももっと未来志向になってください中国サマ。
 さておき斬は昼休み、『剣術・基本編』斬新すぎるほどにストレートなタイトルの本を机の上に投げ出します。

zan_03_01

 コイツ、昨日一日まるで練習していない。たぶんこの本は昨日の放課後、家に帰る途中に購入したのでしょうが、刀を振るには庭ででも道路ででもできるだろうに。それとも斬の家はカプセルホテルか?

 本日の格言:明日できることは今日するな@トルコのことわざ

 だいたい本格的に剣の稽古を始めたいのなら剣道場に入門するのが一番手っ取り早いし確実な手段でしょうに。誰でも刀を佩けるし真剣勝負と宣言すれば罪に問われることもない狂った世界なのですから剣道場なんてそこら中で繁盛していることでしょう。はじめの一歩から選択を間違える主人公、まったく斬新です。
 さて斬はクラスを見渡して自分に友達がいないと溜め息をつきます。そこを教室に入ってきた不良っぽい男に「何で俺の席に座ってんだ? のけ」至極真っ当な要求をされます。
 それに対して斬は。

zan_03_02

 スタンドを出してビビります。え? これは斬の内面描写に過ぎないですって? はっはっは、あなたは冗談がうまい。背後のスタンドが斬の内面だなんて、これほどまでに外見の斬と区別が付かないわけがあるはずないじゃないですか。いくらすぎたんが2+5=7歳児だからといって、そこまで画力が足りないと本気で考えていらっしゃるのですか? この漫画を掲載しているジャンプそのものに対する冒涜ですよ。
 斬は主人公なのでスタンド使いでもない相手にスタンド攻撃を仕掛けたりはしません。転向してきたときにこの席に座るようにと先生に指示されたことを素直に白状します。すると「たった一週間サボっただけでどういう事だよこれは!」と怒鳴られます。
 うん。その先生が全面的に悪い。何かにつけて刀を抜きたがるこの世界では、無用のトラブルを避けるのが一番重要なことでしょうに。それを期限の定められて停学でも退学でもなく単にサボっただけの生徒の席を勝手に転校生に座らせるなんて、刃傷沙汰のタネを自分から提供しているようなものです。狂った世界には狂った人間しかいないのか。
 さてその男の後頭部を月島さんが鞘ぐるみでブン殴ります。
   ↓犯行の決定的瞬間

zan_03_03

 さすが常時バーサーカーモードの月島さん、背後からの不意打ちはお手の物ですね。ドン引きする斬の表情が素晴らしい。しかしあまり力を入れていないような女の子の攻撃で前屈みになるなんて、ガラスの腰ですか?
 その月島さんは男を貫木と呼びます。クラスメイトなのである程度の面識はあるのでしょう。礼儀は最低限すらないっぽいですが。

zan_03_04

 ここまで罵詈雑言を並べ立てる月島さんも凄いですが、これほどの屈辱に耐える貫木の忍耐力もまた瞠目に値します。真っ先に刀を抜きそうなキャラなのに。彼の精神構造は斬や月島さんよりもよっぽど我々に近いようです。頑張れ貫木君、狂った世界に飲み込まれるな!
 その貫木は教室を後にしますが、彼が去ったことを確認した女生徒二人はひたすら陰口を叩きます。この漫画特有の不必要に長いネームで。
「あの貫木(クズ)また来てるよ。ウザくねぇ」
「たぶんあいつ目が合った奴、片っ端から斬ってるよ。
 っていうか犯罪という犯罪は一通り全部やってるって」

「あいつ将来、絶対に辻斬りになるよ。
 ホントあいつが教室に来ると雰囲気悪くなるしサボったまま学校辞めれば良かったのに」

 本気で容赦がねぇ! 彼に何か深刻な恨みでもあるのでしょうか?
 コイツら相手なら真剣勝負を申し込んで斬り殺しても許せる気がします。
 その1ページ前で同じように貫木を罵倒していた月島さん、彼女たちの輪に入って悪口に花を咲かせると思いきや。

zan_03_05

 自分はいいんですか月島さん!?
 月島さんの斬新な精神構造は留まるところを知りません。
根はなんとなく悪いヤツじゃない気がするそうです。なんとなくって……。確かに人生にフィーリングは大切ですけどね、少しは頭を使わないと脳ミソのシワがなくなっちゃいますよ。
 しかも月島さん、自分の主観を一方的に信じた挙句、貫木の問題を斬に押し付けます。

zan_03_06

 自分の“なんとなく”を他人に押し付けるヒロイン! 斬新すぎて立ちくらみがします。
 所変わって屋上。三人組の男に追いかけられていた女生徒を貫木が素手で助けます。

zan_03_07

 あくまでイメージ画像です。正直なところ画力は天地の開きがありますが、弱い相手には刀を抜かない貫木君の心意気に免じて目を瞑っておきましょう。
 さて貫木に助けられた女生徒です……が……。
 スゲェ不細工。おまけに助けてくれた貫木への対応も読者に不快感しか呼び起こしません。画像は貼れなくもないのですが、そんなことをしたらページが汚れるので止めておきます。どんな顔なのか確認したい方は書店へGO! あ、この後は予定調和のように屋上に到着した斬が誤解して貫木と真剣勝負することになって終わりました。
 それはさておき、下の画像をご覧ください。

zan_03_08

 見ての通り、貫木にノされた三人組は女生徒の顔をはっきり見ています。それでなおちょっかいをかけたのですから、彼らは三人とも極めて特殊な美的感覚の持ち主と言えるでしょう。いやはやまったく、斬新斬新。この漫画を読むようになってから俺はようやく諦観という言葉を本当の意味で理解しました。

 結論。貫木君は今まで登場したキャラの中で一番まともです。




漫画ナツ100 

 酔拳の王 だんげの方さんのところで漫画ナツ100を決める企画が行われていますので、俺も参加してみることにしました。
 あらすじやレビューについては後で何回かに分けて書く予定です。

   レビューその1
   レビューその2
   レビューその3
   レビューその4
   レビューその5
   レビューその6
   レビューその7
   レビューその8
   レビューその9
   レビューその10


   001.CLAMP『カードキャプターさくら』
   002.Moo.念平『あまいぞ! 男吾』
   003.アンソロジー『ドラゴンクエスト四コママンガ劇場』
   004.相原コージ『ムジナ』
   005.秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
   006.荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』
   007.荒木飛呂彦『バオー来訪者』
   008.彩花みん『赤ずきんチャチャ』
   009.あんど慶周『究極!! 変態仮面』
   010.池田理代子『栄光のナポレオン-エロイカ』
   011.石垣ゆうき『MMR』
   012.板垣恵介『グラップラー刃牙』
   013.板垣恵介『バキSAGA』
   014.原作・李學仁/作画・王欣太『蒼天航路』
   015.岩明均『寄生獣』
   016植芝理一『ディスコミュニケーション』
   017.うすた京介『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』
   018.うすね正俊『砂ぼうず』
   019.衛藤ヒロユキ『魔法陣グルグル』
   020.原作・大塚英志/作画・田島昭宇『魍魎戦記MADARA』
   021.原作・大場つぐみ/作画・小畑健『DEATH NOTE』
   022.大和田秀樹『たのしい甲子園』
   023.原作・Guy Jeans/作画・ヒラマツミノル『REGGIE』
   024.片山まさゆき『ノーマーク爆牌党』
   025.原作・勝鹿北星/作画・浦沢直樹『MASTERキートン』
   026.原作・雁屋哲/劇画・由起賢二『野望の王国』
   027.河合克敏『帯をギュッとね!』
   028.かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』
   029.北崎拓『ますらお』
   030.原作・工藤かずや/作画・浦沢直樹『パイナップルARMY』
   031.原作・倉科遼/作画・ナカタニD.『DAWN~陽はまた昇る~』
   032.小林まこと『柔道部物語』
   033.西条真二『鉄鍋のジャン!』
   034.さいとう・たかを『ゴルゴ13』
   035.原作・酒見賢一/作画・森秀樹『墨攻』
   036.佐藤正『燃える!! お兄さん』
   037原作・三条陸/作画・稲田浩司『DRAGON QUEST-ダイの大冒険-』
   038.椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』
   039.柴田亜美『南国少年パプワくん』
   040.新沢基栄『ハイスクール! 奇面組』
   041.新谷かおる『エリア88』
   042.せがわまさき『鬼斬り十蔵』
   043.高田裕三『3×3 EYES』
   044.高橋ゆたか『剣客 渋井柿之介』
   045.高橋留美子『らんま1/2』
   046.たかもちげん『祝福王』
   047.田丸浩史『スペースアルプス伝説』
   048.つの丸『サバイビー』
   049.つの丸『みどりのマキバオー』
   050.手塚治虫『どろろ』
   051.手塚治虫『火の鳥』
   052.手塚治虫『ブッダ』
   053.手塚治虫『ブラックジャック』
   054.原作・寺島優/作画・藤原カムイ『雷火』
   055.冬目景『羊のうた』
   056.鳥山明『ドラゴンボール』
   057.永井豪『デビルマン』
   058.原作・七月鏡一/作画・藤原芳秀『ジーザス』
   059.原案協力・七月鏡一/作画・皆川亮二『ARMS』
   060.なにわ小吉『王様はロバ』
   061.西川秀明『Z MAN』
   062.丹羽啓介『キャットルーキー』
   063.にわのまこと『THE MOMOTAROH』
   064.長谷川哲也『アラビアンナイト』
   065.長谷川祐一『マップス』
   066.平野耕太『進め!! 聖学電脳研究部』
   067.福本伸行『銀と金』
   068.藤子・F・不二雄『ドラえもん』
   069.藤田和日郎『うしおととら』
   070.藤田和日郎『からくりサーカス』
   071.藤原カムイ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』
   072.古谷三敏『BARレモンハート』
   073.古谷実『行け! 稲中卓球部』
   074.原作・武論尊/作画・原哲夫『北斗の拳』
   075.細野不二彦『ギャラリーフェイク』
   076.原作・ほったゆみ/作画・小畑健『ヒカルの碁』
   077.ほりのぶゆき『江戸むらさき特急』
   078.松沢夏樹『突撃! パッパラ隊』
   079.真鍋譲治『銀河戦国群雄伝ライ』
   080.三浦建太郎『ベルセルク』
   081.三笠山出月『うめぼしの謎』
   082.水島新司『あぶさん』
   083.光原伸『アウターゾーン』
   084.みなもと太郎『風雲児たち』
   085.宮下あきら『魁! 男塾』
   086.村枝健一『RED』
   087.森川ジョージ『はじめの一歩』
   088.諸星大二郎『孔子暗黒伝』
   089.諸星大二郎『西遊妖猿伝』
   090.山口貴由『覚悟のススメ』
   091.原作・山田風太郎/作画・せがわまさき『バジリスク』
   092.山田芳裕『大正野郎』
   093.山田玲司『Bバージン』
   094.ゆでたまご『キン肉マン』
   095.横山光輝『三国志』
   096.横山光輝『水滸伝』
   097.吉田秋生『BANANA FISH』
   098.渡瀬悠宇『ふしぎ遊戯』
   099.渡辺電気(株)『ダンジョン退屈男』
   100.和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』




Wizardryのごとく! 第十六話 

「結局、聖なる鎧と村正を有効活用するためにヒナギクさんとマリアさんに転職してもらうことにしました」

wizgoto_16_01

「あれ? 年齢が22歳だけど、計算が違うんじゃない?」
「いえ。前回も言及したように、私たちは何回か死にましたからね。Wizardryだと生き返らせたときに年齢が上がる場合もあるんです」
「何だかちょっと損した気分ね。……って、どうしたのハヤテ君?」
(……ぽ~っ)
「あらあら~、どうしたのかな~? 二十代に成長して大人の色気を身にまとった私にメロメロになっちゃったのかしら?」
「ごふっ!!」
「ふふ~ん、私のことなんて意識してなかったんじゃないのかな~?」
「あ、いえ、その、ですね。元々ヒナギクさんは性別を超えた意味でかっこいいし綺麗だから僕もそれほど意識せずに済んだんですけど今は女性の丸みと年上の余裕を兼ね備えているから見る目も違って来てしまうって僕は何を口走っているんですか!」
「そ、そんなふうに言われると、……こっちまで照れちゃうじゃない……」
「オフェンシブツンは諸刃の剣。カウンターによるダメージは三倍付け(当社比)です。もちろん心はデレなので、今回のように切り替えされると確実に甘々な雰囲気が周囲に漂うことになるのです」
「(ハッ! 確かにハヤテ君は大人っぽい女性に弱い!)こうなったら私もパーティーのために転職しようかな!」
「いえ西沢さん、盗賊は代わりが効かないからそのままでいてください」
「はうう!」
「もしもし、ハヤテ君。私を見て何か感想はありませんか?」

wizgoto_16_02

「えーっと……お嬢さまが帰ってこないうちにちゃんと転職していたほうがいいですよマリアさん」
「あなたの目は節穴ですかっ! ちゃんと年齢が21歳になっているでしょう!」
「あ、ホントだ。すいませんマリアさん、あまりにも外見が変わらなかったもので、つい」
「ついじゃありません、ついじゃ!」
「やっぱり数字の上では変化があっても、実際は実年齢に近づいただけだから本質的には何も変わらないってことなんでしょうか」
「はぐぁっ!」
「ただいま~。っと、マリアとハムスターはなぜ落ち込んでいるのだ?」
「それが僕にもさっぱり……」
「ハヤテ君の鈍感さは犯罪ですっ!」

「転職したてのマリアとヒナギクはどちらもレベル1だから、経験値稼ぎにコンビを組ませてマーフィーズゴーストと戦わせることにした」
「え? でもレベル1の侍でもワードナは倒せるんじゃないですか」
「いやそれ『隣り合わせの灰と青春』の読みすぎだ」
「Wizardryの、というよりもゲームノベライズの伝説的作品はさておき。二人だとやっぱり不安じゃないでしょうか」
「なに。二人とも武装度は同じだし、どちらも三種の神器を装備しているからな。正直、地下一階ではどうやったら全滅できるか想像もつかん」
「でも村正って、海外でも有名なんですね」
「ああ。たまに綴りを間違ってMURASAMA BLADEなどと書かれてしまうがな。やっぱりアメリカ人に日本語の発音は理解しにくいらしい。あちらのRPGでは忍者もけっこう活躍しているが、肝心の手裏剣がSHURIKINとかSHURIKENTAとか笑わせてくれるアイテムに変貌していることもある」
「そのへんは日本人も、和製英語とかがあるから偉そうなことは言えないけどね」
「でも村正って、なんで妖刀として知られているんでしょうか」
「徳川家に仇なす刀だからさ。徳川家康の祖父の清康と父の広忠はどちらも家臣によって斬り殺されたが、そのときに使用されたのが村正だった。家康の長男の信康が謀反の疑いで切腹させられることになったが、このとき介錯に使われた刀もまた村正だった。家康本人も村正に傷付けられたことがある。後に三男の秀忠が小刀で爪を切っていたとき、謝って指を怪我したことがある。それを聞いた家康は“その小刀も村正じゃないのか”と冗談を飛ばしたが、調べてみると本当に村正だった。さすがの東照大権現も薄気味が悪くなり、村正は公にも忌避されるようになったというわけだ」
「なるほど……さすがお嬢さま、博識ですね」
「はっはっは、いやなに。メインヒロインとして当然のことをしたまでだ」
「ちょっと日本語がヘンじゃないかな」
「さて妖刀として忌み嫌われることになった村正だが、捨てる神あれば拾う神あり。徳川幕府に転覆させようと企む反体制の闘士、具体的に言えば真田幸村や由井正雪、幕末の勤皇志士たちは好んで村正を佩いたのだ」
「ははあ」
「さて知名度としてはトップクラスの村正だが、日本刀の番付から言えばそれほどランクの高い刀ではなかったりする。と言うのも村正は数代(三代説と七代説がある)に渡って伊勢桑名で刀を鍛えた刀匠であり、言ってみれば村正の刀はブランド品だからだ。たまに正宗と並び称されたりもするが、はっきり言って格が違う。なにせ正宗の代表作は大抵が国宝か御物だ。なお村正が正宗に師事したという俗説があるが、もちろん嘘だ。五郎入道正宗は鎌倉末期に活躍した刀匠で、文亀元年に初めて銘が確認される初代村正とは200年近い開きがあるからな」





MARIA-マリア- 

 血と炎にまみれた死神の伝説があった!
 狙った標的は確実に仕留める暗殺と戦闘のプロフェッショナル!
 南米で……アフリカで……数限りない敵が血の海に沈んだ!!
 そいつの名は“マリア”!
 本名も過去も誰も知らない……

 数ヶ月前、マリアはある犯罪組織が密輸した1トンに及ぶ毒草の苗を強奪した!!
 暴力団、警察、あらゆる組織がマリアと毒草の苗を狙い逃亡と戦闘の日々が続いた!!

 そしてマリアの悪運が燃えつきるときがついに訪れた!!


 マリアは追い詰められている。マリア殺しの指揮を執っている暴力団の幹部はそう確信していた。時刻はすでに夜更けだが、荒事を担当しない組員たちに照明を操作させてある。マリアが闇にまぎれて逃げることはできない。逆に、こちらにとってはいいマトだ。
 ここは自分たちが裏取引の際に良く使う港、地の利はこちらにある。マリアの前方は拳銃とサブマシンガンで装備した組員たちにアリの這い出る隙間もないほどに包囲させている。ヤツの後方には笹船一つ浮いていない。むろん先回りして爆破させておいたのだ。
 ヤツが左手に握ったガバメントはすでにホールドオープン。右脇に抱え込んだM16に5.56mm弾は薬室にさえ残っていないはずだ。今までの戦闘でヤツは無駄弾を使っていない。そこは骨身に染みている。しかし手持ちの弾丸よりも向かってくる敵の数の方が多いとあっては、マリアにも打つ手はないはずだ。
 そしてついに、ついにマリアが物陰からその姿を現した。観念して投降するつもりか、それとも悲愴美に酔って特攻するつもりか。どちらにせよ関係はない。ありったけの鉛玉をプレゼントしてやるだけだ。
 マリアの顔に浮かぶのは不敵な笑み。その笑みを張り付かせたまま死んで逝け。
「撃て!」
 号令一下、無数の銃口が火を吹き、マリアの身体を蜂の巣に変える。鉄鋼弾が胴体を貫通していく。――ヤツは防弾チョッキを着ていない! 自分の顔が笑み崩れるのがはっきりと判った。
 マリアの身体が大きく傾いだ。流れ弾がトラックに命中し、爆発して夜の港をライトアップする。爆風が吹き荒れ、すでに死骸に成り果てたであろうマリアの身体が海中に投げ出された。
「やったか!?」
「やった!
 手応えはあった!」
 怯えと疑いに満ちた声に、やがて歓喜が取って代わる。
「ついに仕留めたぞマリアを……」
「あのマリアを!!」

 一方、港の沖合いには一艘のボートが浮かんでいた。乗員は一人、百八十センチはあろうかという筋肉質の老人だった。双眼鏡を手に港の様子を伺っていた。
 全てが終わったことを見届け、誰に語りかけるでもなく呟く。
「マリアは死んだ。
 ヤツの肉体は数十発の弾丸で貫かれ、その死体は港に浮かんだ。
 ヤツの逃亡の日は今日で終わった」
 海中から正体不明の手が伸ばされ、ボートの船縁を掴んだ。老人はそれを横目で見る。狼狽した様子はない。
 全身が姿を現す。その身体はダイバースーツに固められ、その顔は――
「そう、今日で終わったんです。
 あなたの仕掛けのおかげで。
 感謝していますよ、クラウスのご老体」
 その顔は、数十発の弾丸で貫かれて死んだはずのマリアと寸分たりとも変わらないものであった。
 クラウスと呼ばれた老人が港を振り返る。わずかに厳粛な雰囲気が漂った。
「礼は身代わりの死体に言ってやるがいい、マリア。
 まるで双子のようにそっくりだ。簡単にはバレん。
 ほとんど奇跡だ。そんな人間の死体が手に入るなんて」
「その女性、どうして死んだんですか?」
「かわいそうに……
 生まれつき病弱だったらしい。
 心臓発作で救急病院に運び込まれた時はもう手遅れだった」
 自分と同じ顔の女性の急死を聞いて、マリアは無言。その胸には何が去来しているのか、クラウスにも図りかねた。
「ひとつ聞かせてくれ。
 なぜお前はマリアと呼ばれるのだ?」
「私と戦った人はいつも最後には聖母にすがるからですよ。
“マリア様、お助けください”
ってね」
 その目は、どこか遠くを見るようだった。

 翌日、二人が訪れたのは血や硝煙とはまるで関連性のない場所であった。
「ここは家庭菜園メーカーの倉庫でな。
 ちと手間はかかったがカムフラージュは完璧だ。
 怪しまれずに南米だろうと西海岸だろうといつでも運び出せる」
「1トンの毒草の苗ですか……
 売ればいくらになります?」
「変に値崩れしなければ、70億ドルはかたいであろうな」
「運び出す船の手配は?」
「そう……
 二週間か三週間以内だ……」
「それまで私は何をしていたらいいでしょう?」
 マリアは戸惑いを覚えた。常に鉄風雷火の戦場にその身を置いてきた彼女に安息の時はなかったし、それを求めたこともなかった。これからしばらくの空白の期間を考えると、頭が呆とした。案山子のように突っ立ったマリアの背後をクラウスが通りかかる。
 全身の細胞があわ立った。骨髄にまで染み込ませた防衛反応がマリアの意思より早くクラウスに回し蹴りを見舞わせる。クラウスは全てを見通していたかのように危なげなくマリアの必殺の一撃をかわした。
 一瞬の安堵の後、マリアは激昂した。
「私の背中を取るんじゃありません、クラウスさん!」
「くっくっくっ、因果な習性だのお。
 だが、そんな危険な世界ともしばらくお別れだ」

(入れかわるのだ!
 身代わりになった女の死を知る者はまだない。
 双子のように瓜ふたつなんだ、疑うヤツはおらん。これ以上の隠れ家はあるまい?)
 クラウスの説明を回想しながらマリアはマンションを訪れた。自分の身代わりになった女性の住居である。クラウスに渡された鍵で中に入る。テーブルの上には彼女の写真が立て掛けられていた。
(信じられません、ここまでそっくりとはねぇ……)
 再びクラウスとの遣り取りが思い出された。
(今日からほんのしばらくお前は別人になりきるのだ)
(その女性の名は?)
(奇しくも同じ名だ。
 マリア……藤沢マリアだ)
 懐のコンバットパイソンを抜き、藤沢マリアの写真に照準を合わせて宣言した。
「今日から私は、藤沢マリアです」
 不敵に笑った。そのとき、電話が鳴った。すでに暗殺者のマリアでないことを自分に言い聞かせつつ受話器を取り上げる。
「はい……こちらは、ふ……藤沢ですが……」
 受話器の向こうから告げられた内容は、百戦錬磨の彼女にさえ想像もつかないものだった。

 マリアはまともな装備も与えられない情況で中東の砂漠を踏破したこともある。南米の密林でゲリラ戦に不慣れな政府軍をいいように翻弄したこともある。西海岸のコンクリート・ジャングルでマフィアとの派手な銃撃戦に完勝したこともある。マリアはあらゆる戦場を切り抜けてきた経験と自負がある。しかし今回、彼女に降りかかった危機にはどうやって対処したらいいかわからなかった。
 だから即座に全ての元凶であるクラウスを難詰した。
「嫌ですっ!
 こんなこと聞いていませんでした!
 計画にもなかったですよ!!」
「情報が不完全だったんだ、しょうがなかろう!!」
 クラウスの弁解に嘘はなさそうであった。しかしそれでマリアの悪夢が覚めるわけでもない。
「私は降ります!
 藤沢マリアをやめます!!」
「ええい、じたばたするな! もう遅いわい!!
 今日からお前は……」

 今のマリアの身を包むのは迷彩を散らした戦闘服ではなく、濃淡のワンピース。何年かぶりに穿いたスカートのせいで足元がスースーする。フリルのついた白いエプロンドレスにはアラミド繊維が織り込まれていようはずもない。これらにカチューシャを加えた自分の姿を鏡で見たとき、とりあえず死にたくなった。
 クラウスの指示が脳裏に蘇る。
「メイドになるんだ!!」
 マリアが見上げるのは贅を凝らした巨大な屋敷。
(どうして私はこんなところにいるのでしょうか……)
 彼女の疑問に答えてくれる人間はここにはいない。

「不測の事態だったんだ。
 まさか身代わりの死体になった藤沢マリアが、三千院財閥のメイドに就職が内定していたなんて!!
 覚悟を決めんかいマリア!!
 海外に逃げる手はずが整うまでほんのしばらくの辛抱だからな!
 いいか? 肝心なことは目立たないことだ。
 もと傭兵のお前さんなら分かるだろ?
 何の問題も起こさぬことだ」
 クラウスの老婆心にマリアは内心で苦笑する。
(私が自分から問題なんか起こすものですか)
 そのとき、背後に人の気配を感じた。大脳を差し置いて脊髄が反射。振り向きざまに胸倉を掴んで地面に投げ飛ばした。
 相手が無力化されたと知ってようやくマリアは我に返った。組み伏せているのは小柄な女性。その服装は、かつてマリアが最高額の報酬で暗殺したターゲットのそれよりも金がかかっているように見えた。陽光を溶かし込んだような金髪を二つに纏めて左右に垂らしている。整った顔立ちは若い、というよりも幼い。マリアの頭脳に収められた顔写真が照合され、眼下の少女が三千院家のたった一人の令嬢――三千院ナギであることが判明した。
 三千院ナギに半眼で睨み上げられる。
「お前の顔、覚えておくぞ」
(何の問題も起こさずに……)
 その決意はおよそ2秒で崩れた。


続きを読む



少年ジャンプ ワールドトリガー 斉木楠雄のψ難 ハヤテのごとく! 銀の匙
  • seo
Wizardry Ring
[ Back ][ Random ][ List ][ Next ]
ブログパーツ