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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第64話(最終回) 「旅路の涯」 

 大団円! 大団円! だれもが望んだハッピーエンド!
 実に気分がいい。ひたすらに満足です。
 いろいろありましたが挫折することなく最後まで観続けて本当によかった。

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 前回のレビューでも書きましたがマスタング大佐はDr.マルコーの隠しもっていた賢者の石を使って視力を取りもどしました。実にお手軽感あふれる復活です。原作だとリハビリに苦労していたハボック少尉までアニメではあっさり完治しましたし。こんなに簡単に失ったものを取りかえせるのならわざわざ錬金術を代価に真理と取引したエドが馬鹿に見えます。もちろん馬鹿だからこそいいんですがね!
 でもホークアイ中尉が盲目のマスタング大佐に「これからは私がずっとあなたの目になりますから……!」なんて感じのベタな告白をするものだとばかり期待していたのを完全スルーされたのは残念でした。二人の関係の終着点がちゃんと描かれなかったのも不満が残ります。もっとラブってYO!

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 傷の男スカーは死んでいませんでした。理不尽に虐殺された同胞たちの復讐のためとはいえイシュヴァール殲滅戦に関係のない錬金術師までその手にかけたテロリストなので最終的には『うしおととら』の鏢さんみたく宿願を果したすえに死ぬものとばかり思っていたのにどっこい生きのびました。左腕に再構築の錬成陣を入墨に刻んだことで破壊と再生の両面をもつキャラクターへと転換したのだから、その時点で死亡はなくなっていたのだと今なら言えます。それにそもそもタッカーはイシュヴァール殲滅戦に関係ないと言っても殺されるのがあたりまえの外道だったから別にいーか(コラ)
 そしてシン組のことが回想シーンで流れて、エドとアルが故郷にかえってきました。二人をむかえるのはもちろんウィンリィです。

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「ばか! おかえり!」
「おう!」
「ただいま!」


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 そして二年後。エドは錬金術が使えない身となってもそれなりにがんばって生活していました。そんなエドを見ればマスタング組もきっとこころよく罵倒してくれることでしょう。こんなふうに。

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 そういえばエドってまわりから愛されていた描写とかあんまりありませんでしたね。口は悪いし性格はアレだしで。それに今では国家錬金術師をやめていることでしょうから高収入でもなくなったので前よりもさらに条件が悪くなっています。……ウィンリィちゃんとつかまえとけよニーサン。

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 グラマン大総統! ホムンクルスの一件でいちばん得をしたのはおそらくこのぢぢいです。たぶんこのぢぢいのことだから軍のトップになったのをいいことに率先垂範して女性士官にセクハラかまして風紀の乱れに大きな影響を及ぼしているのでしょう。そしてさらに二年後、もと大総統夫人をみこしにかついでアームストロング少将が女性の権利を勝ちとるためにクーデターをおこす、と。ちなみにグラマン新体制における女性士官の制服はミニスカなどという生やさしいものではなく、薄くて表面積のせまい布きれがズボンになっています。パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

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 二年前は胎児くらいの大きさだったセリムが今ではこんなに成長していました。ちなみに額のチクビみたいな二重丸はホムンクルスの能力をおさえこむための封印のピップエレキバンです。信じれ。
 そしてアルのヒューズ家へのあいさつやらイノシシ&ガマの合成獣キメラコンビやらが描かれたあとに口から砂糖を吐くほどに甘いニヤニヤタイムがやってまいりました。

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「等価交換だ!
 俺の人生半分やるから、お前の人生半分くれ!」


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「ホンット馬鹿ね。半分どころか全部あげるわよ」

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 てめーら死ぬまで幸せになっちまえコンチクショー! コンチクショー!


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 そしてさらに数年後のみんなの姿が写真におさめられてエピローグに登場しました。
 リンは賢者の石を持帰った功績が認められて首尾よく皇帝の座を射とめたようです。しかし賢者の石のおかげで永遠の命もどきを手に入れたはずの先代の皇帝が、リンがそれほど老けこまないくらいの短い時間で崩御したということは……いろいろエゲツない手段とか使ったんでしょうね。
 ハインケルとゴリウスさんはヨキ様と組んでサーカス団を結成したようです。アルについていった二人とちがってこっちの二人は合成獣キメラライフを楽しんでいるのでしょう。
 マスタング大佐にはうさんくさいチョビ髭が生えました。原作にはないつけたしですが、これはこれでアリでしょう。アニメは原作とは似ているようですこしづつちがう平行世界のようなものであり、それぞれのキャラクターの未来もまたかならずしもおなじものが用意されているわけではないと考えたほうが楽しいので。しかしこれで原作既読者の大不評の声に屈するかたちで大佐のヒゲがDVDで修正されてたらやだな。
 そういえばマスタング大佐の養母の水商売オバさんについてはちゃんと語られずにハガレンが終ってしまいました。こういう細かい未消化の伏線は劇場版で明かされるのかどうか。
 そしてガーフィールさんのところで撮影したとおぼしきエルリック家の集合写真には衝撃の未来が……!

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 いつ種をまいたんだエド。
 あとメイの背丈が伸びすぎ。『Phantom』のキャルなみの成長速度です。



【総評】

 第二期ハガレン、第一クールは文句の言いどころが山ほどある出来でした。とにかく原作を駆足展開でアニメに起す必要があったためにセリフも描写も説明もすべてが足りず、原作のよさをスポイルしてしまくっていたために、正直このころはレビューを始めたのを後悔したほどでした。
 しかし第二クールからはテンポも適度なものになり、イシュヴァール殲滅戦の簡略化など不満なところもいくつかあったものの、おおむね原作をていねいで忠実にアニメ化していて、安心して観られるようになりました。特に資金が潤沢なせいか作画のクオリティが下手なOVAよりもよっぽど高かったのはポイントが高かった。
 そして最後は長く垂れこめていた黒雲がようやく晴れてうそのように澄みわたった空のようにすっきりした最終回。今回の頭にも書きましたが、挫折することなく最後まで観続けて本当によかった。アニメスタッフのみなさま、原作者の荒川弘先生、そしてこの作品にかかわったすべての人に対して、感謝のことばを述べさせていただきます。
 このようなすばらしい作品をつくってくださってほんとうにありがとうございました。

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 そして最後だから言える、たまに鋼の錬金術師をタイプミスして鼻毛の錬金術師にしてしまったことを。いやもちろんミスったところは直しましたけど。HAGANEとHANAGEだから指まかせにタッチタイピングやってるとまちがえるばあいがあるんです。



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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第63話 「扉の向こう側」 

 最終決戦、決着!

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 エドは艱難辛苦の果てにようやく取りもどした右腕を使ってラスボスをボテくりまわします。素手で殴るよりも錬金術で攻撃したほうがダメージは大きいはずなのにこの最後の戦いであえて肉弾戦をしかけるあたりにエドの肉体に対する信仰というか荒川先生のいい意味のマッチョイズムが感じられます。最後に頼れるのは自分の身体。
 ところでギャラリーどもは応援する元気があるのなら銃弾の一発でも撃ったほうがよっぽどエドのたすけになると思うのですこしは働いたらいいと思います。

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 “お父様”のホントに最後の悪あがき。賢者の石を求めてグリリンに狙いをつけます。グリードはリンを巻きこまないために自分から離れて“お父様”に取りこまれ、そのからだをボロ炭に変えようとするものの途中までしか果せず、ひきはがされて一人で逝きました。ところで“お父様”はグリードに反抗されたときに「グリードなぜ父に逆らう!?」なんて叫んでいましたが俺からすればグリードはずっと前から人間サイドについているのに今さら驚くのはアホじゃなかろかと思えてしまいます。いやもしかしたら強欲のグリードが自己犠牲精神を発揮したところに驚いたのかも。

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「バカヤロウ、グリード、まだ死ぬんじゃねえ。まだ世界の王になってねえだろうがよォ。
 おまえは……すべてを手に入れるんだろォ!
 グリード!」


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「もう……手に入れたさ。
 ハラァ……いっぱいだ」


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「グリードォォ!!」

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「はいはいそのへんで『うしおととら』ごっこはやめるようにね」

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「えー」
「えー」


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 グリードの命をかけた変身で首から下をボロ炭にかえられた“お父様”はエドの渾身のクロスカウンターをみぞおちに受けて胸に大きな穴を開けられ、そこからクセルクセス人たちの魂がのこらず解放され、ついに肉体を維持していられなくなって内側から喰われて消滅しました。
 そんなかれの行き先は、エドたちにも因縁ぶかいあの場所でした。

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 結局ホムンクルスとは何だったのか。作中では断片的かつ思わせぶりなことしか語られなかったのではっきりした答えは導き出せませんが個人的な解釈だと、扉のむこうがわに存在する真理のきれっぱしみたいなものでしょうか。真理が全だとすればホムンクルスは一。人間たちよりもはるかに深い知識を持つけれど肉体は持たない。それが偶然ホーエンハイムの血によって実世界に顕現したのを機に、さまざまな手段を講じて真理=神を手に入れ完全な存在になろうとして失敗し、もといたところへと送りかえされた、というところでしょうか。実際のところはわからないんですけどね。

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 アルをこの世に引き戻すためにリンは賢者の石を使うことを提案しますがエドは首をたてに振りません。ホーエンハイムの命を使うこともまた然り。このときの親子のやりとりは原作のよりもウェットでしたが、これはこれでアリかなと。そしてエドは人体錬成の陣を描き、最後の錬成をしにあの場所へと行くのでした。

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 エドが対価としたのはみずからの真理の扉であり、そのむこうの錬金術のすべてでした。この答えに真理は正解だと言い、エドはアルを取りもどすことに成功したのでした。ところでこのばあいの「正解」とは、エルリック兄弟に限定した意味での正解なのでしょう。次回のネタバレになりますがマスタング大佐は錬金術を対価として支払うことなく賢者の石を使って光を取りもどすのですが、これがまちがいであるなどとはだれにも言えないはずです。エドにはエドの真理があり、ほかのひとたちにもまたそれぞれの真理があるのですから。

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 錬金術という強大な力に魅入られ、振りまわされ、何度もまわり道をさせられ、それでもエドとアルは目的を果して帰還しました。メイは感きわまってアルに抱きつくのですが、メイって生身のアルの姿は見たことがなくて頭のなかで美化されたイメージを育て上げていたわけなので現在の餓死寸前っぽいアルの姿を見てメイが「乙女の純情をもてあそんだわね、この骨皮筋右衛門ーッ!」と泣きさけんでアルに飛び蹴りを食らわしていてもおかしくなかったんですよね。この感動的な場面でそんなことになっていたらさぞかし見ものだったことでしょう(をい

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 ヴァン・ホーエンハイムにもようやく永の休みが訪れました。ただの奴隷として生を終えるはずだった男が、ホムンクルスの血の提供者となったばかりに数奇な運命をになわされ、同胞たちの仇を討つために数百年の時をかけ、それでも妻子を得て人としての幸せをつかんで最後は満足して死ねました。『鋼の錬金術師』の主人公はエドとアルのエルリック兄弟ですが、ホーエンハイムはこの作品の裏の主人公と言えるでしょう。



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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第62話 「凄絶なる反撃」 

 “お父様”は地上に出てアメストリス軍人たちを賢者の石に変えようとしてホーエンハイムに邪魔されました。

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 被害者たちからすればおそるべき事態に直面しているのですが、大所高所から見れば“お父様”の逆転の目はほとんどふさがれています。そもそも今さら人間を賢者の石に変えようとしていることがすでに決定的失敗を糊塗するための泥縄的対処にほかなりません。今や“お父様”は『幽☆遊☆白書』で仙水がプレイしたRPGのラスボスのように、高すぎるHPをゆっくりと、しかし着実にけずられていくだけの存在なのです。

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 うれしはずかし出産シーン(ぉ
 “お父様”はからだの中のクセルクセス人たちを復活(?)させ、ホーエンハイムたちが茫然自失しているところへごんぶとビームをぶっ放しました。うん、やはりラスボスはこれくらい外道でなくては。

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 ピッコロさーん!!×2

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 そしてここからが人類のターン!
 ファイアーエムブレムで砦からワラワラと増援が出て来るのとちょうど逆の感じでどんどんエドの仲間たちが参戦してきます。ちょっと人間がまじっているゴリラとかホムンクルスとかもいますがとりあえず人類のカテゴリーに入れておきましょう。
 ここだけ見ると“お父様”が数の暴力にあらがいきれずにおしつぶされていくように見えますが、これまで人間を下等生物と見くだして賢者の石の材料くらいにしか存在価値を認めていず、わが子たちのホムンクルスも自分の野望を達成するための駒としてあつかってきたツケがここ一番というところでまわってきただけのことで、要するに“お父様”の自業自得なのでハナクソほども同情する気がおきません。

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 今まで人間たちをだましてきたバチがあたって“お父様”に太くて長くて黒い鼻がはえました。嘘です。
 そんなこんなで絶賛フルボッコ中の“お父様”の内部で賢者の石がとうとう底をつきました。エドたちみたいに戦闘技術をみがくことなど一切せずにありあまるエネルギーを考えなしにたれ流した結果がコレです。ご利用は計画的に。

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 “お父様”はイタチの最後っ屁みたいなエネルギー大放出をやらかし、おかげで人類サイドの戦力がしばらく無力化され、エドにいたっては身動きが取れなくなってしまいました。そしてアルは自分の鎧のからだがもうもたないことを悟り、そして……
 ここから先の展開は作画もセリフも音楽も演出も何もかも最高なので俺が書くことは何もありません。エドが“お父様”を圧倒してからのセリフについてだけふれて筆を擱くことにします。

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「立てよド三流!
 俺たちとお前との格の違いってやつを見せてやらあ!」


 わー形勢逆転したとたんに上から目線でタンカを切るニーサンまるでチンピラみたーい
といつもの俺なら茶化すところですが今回ばかりはそれ以上に感動のほうが大きいのです。俺たち。そう、エドはひとりでここまでやってこれたのではありません。マスタング大佐が、傷の男が、ホーエンハイムが、今は亡きヒューズ中佐が、有名無名のたくさんの人たちが、そしてなにより弟のアルがいたおかげで、人を超越したモノを倒せるところまでこぎつけられたのです。俺たち、ということばにはこれまでのエドの旅の経験のすべてがこめられていると言っても過言ではありません。すくなくとも俺はそう受けとりました。
 俺たち。このたったひとつのことばにこれほど涙腺を刺激させられたのははじめてです。



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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第61話 「神を呑みこみし者」 

 タメが足りない。
 というわけで恐れていたことが現実に。のこされた時間が短いからどうしてもテンポが速めになり、枝葉はバッサリ切り落されました。アニメ独自の疾走感が得られたことよりも原作の重厚感が失われたことのほうが大きいように思えます。特に“お父様”などはそのあおりをモロにうけて、国いっこ造り数百年の時をついやすほどの手間暇をかけてようやくその手につかんだ無双モードがたったの数分で御破算になってしまいました。タメが足りないおかげで貫目も足りなくなったのだから悲惨のひとことにつきます。

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「完全な存在? 不老不死かな」
「んー……もっとすごいもんじゃね?」
「もっとすごいもの?」
「たとえば……神さま、とか」


 ぶっちゃけ神さまにもピンからキリまであるわけでして、多神教における神なんて悲しいほどに貧弱なのもいるんですけどね。神のなかには死ぬのもいるし。『西遊記』で斉天大聖孫悟空とその部下の魔王たちが戦った神の軍勢なんてザコもいいところで、菩薩や仙人のほうがよっぽど強いし。しかしハガレンでは神は基本的に読者がマイナスの印象を受けるような描かれかたばかりですな、第一話のレト教のときが典型ですが。敬虔な信仰者が主人公で宗教を肯定的に表現する漫画やアニメって流行らないんでしょうか。

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 五千万国民を賢者の石にしてとりこんだ“お父様”のあたらしい姿は、ホーエンハイムが若返ったような外見をしていました(声はしわがれたままでしたけれど)。すでに棄てた古い皮袋のはずなのに、当の本人は無意識ながらも執着していたのでしょうか。単にあたらしい身体をベースにするのに選ぶのが面倒くさかっただけというのも大きそうですが。

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「かぎられたホムンクルスにだけ人工的に1700万ゼノを超える小さな満月を造りだすことができるのだ!!! 星の酸素とこのパワーボールをまぜあわせることでなっ!!!」

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「いやお前が造ってるの月じゃなくて太陽だし」


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 と、ここで早くも人間の逆転劇がはじまりました。“お父様”と同じようにホーエンハイムもまたこの日のために準備をしてきたのです。ところで賢者の石のなかにやたらとホーエンハイムを慕うような幼女の声があったことを俺のデビルイヤーはもちろんのこと聞きのがしはしませんでした。彼女がホーエンハイムのロリコン趣味におよぼした影響はいったいいかほどのものであったのだろうか……

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「どうあっても邪魔をするか……ホーエンハイム!」

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「そのためにここに来たんだよ! フラスコの中の小人、ホムンクルス!」


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 というわけで“お父様”のターンはもう終了しちゃったぜ! いやまだまだ人外の強さを維持しているけどとりあえずアメストリス国民の魂は身体の中から抜きだされてもとの持主のもとへと還り、逆に神とやらの力を制禦するのに精一杯になりました。というわけでウィンリィおよびそのほかの有象無象が復活。
 そして大総統の最後の戦いへ。

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 これが最後なものだから大総統のみならずアニメスタッフまで全力投球一筆入魂のものすごいアクションになっていました。もっとも動きは満点を超えて百二十点をつけたい出来映えだったのですが、上にも書いたようにタメが足りないのでセリフが早くて軽い。そのあとの臨終シーンも残念ながらテンポのせいで画竜点睛を缺いたきらいがあります。

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 / ゚w゚ヽo彡゚ 素顔ランファン! 素顔ランファン!

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「私とあれとのあいだに遺言などいらん。王たる者の伴侶とはそういうものだ」

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「……!」


 国にかえって皇帝になったグリリンとの今後の関係について学習するランファンたんであった。俺がグリリンだったらランファンには御庭番なんぞやめさせて妃にするね絶対!

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「用意されたレールの上での一生ではあったが、お前たち人間のおかげで、まあ、多少、やりごたえのある、よい人生であったよ……」

 アメストリス国大総統、キング・ブラッドレイ、憤怒のラース。呼び名はさまざまあれど、自分の本当の名前も知らない一人の男が逝きました。最後まで主人公たちに立ちはだかる大きな壁であることをやめなかった、すばらしい悪役でした。そういう意味ではちょっとだけ『機動武闘伝Gガンダム』の東方不敗マスターアジアに似ています。だからGガンと同じようにこれからあとのハガレンもただの蛇足です
 大総統ほどのみごとな悪役はこれからさきもそうは出てこないでしょう。俺にとっては『鋼の錬金術師』における最高の悪役ですね。次点はエンヴィー。大総統とは別のベクトルでみごとな悪役でした。
 一方みっともない悪役も今回で退場することになりました。

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 プライドは自分のからだが崩壊するのをとめられず、自分のそれと似通っていそうだという理由でエドの肉体に寄生しようとします。プライドはどうしたプライド。

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 そこへあらわれたのがまさかまさかのキンブリー! プライドに呑みこまれながらも魂の荒れ狂うなかで自我をたもち、プライドのやりざまを美しくないと断じて宿主の邪魔をするのでした。自分なりの信念を持った狂人がおのれの信念を貫きとおすために結果的に主人公たちに力を貸すことになるパターンは正直なところ食傷気味なくらいに見飽きているのですがまさかこのようなかたちの逆襲がおこなわれようとは思いもよりませんでした。すごいぜキンブリー。

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 エドがみずからを賢者の石に変えてプライドに侵入し、本体だけの姿に分解して勝利しました。もはやなんでもアリっぽい。エドが不殺を貫くために必要な力技だったと解釈しておきましょう。



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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第60話 「天の瞳、地の扉」 

 そして特撮大決戦へ……

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 星とか神とか世界とか、もうこれまでのスケールを超越してしまっています。話が大きくなるのは最近のはやりなのでしょう。ちょうど今日DVDで観た黒澤明の『七人の侍』なんて戦場は山間の小さな村で、敵は野武士が四十騎ですよ? あっちは実写だからアニメみたいに安く製作できるわけじゃないといっても、とにかくスケールが大きけりゃいいってものでもないでしょうに。エヴァの影響ってすごいんですねと言わざるを得ません。

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 ブロッシュ軍曹が視聴者も忘れたころにやってきてロス少尉と再会しました。そんだけ。ストーリー上においては本気でどうでもいいシーンです。ハガレンくらいの大長編になると登場人物も多くなるのでチョイ役のまま放っておかれるケースが出て来るのもしかたありません。とりあえずこれまで未消化だった設定がきちんとたたまれた瞬間だと評価しておきましょう。もうまとめに入ってますし。しかもアニメの残りはあとせいぜい五六話。巻けますか? 巻けませんか? ってくらいのペースです。

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 ここでメイが錬丹術をたよりに“お父様”に攻撃をしかけるのですが正直なところ大魔王バーンにチウがかかっていったようなものなので(言いすぎじゃ)当然のように返討ちに遭いました。いや実際これで“お父様”がやられていたらこっちもどうしたらいいかわからなかったことでしょうからめでたくないけどめでたいことであります。ビバ予定調和。

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 大総統vs傷の男スカー。はっきり言って一対一で勝てるキャラは作中にはいないと断言できるほどの強さを誇る“憤怒”のラースですが、人間たちの命を賭しての攻撃による手傷のために本調子とはとても言えない状況です。対する傷の男スカーは、亡き兄の研究書から得た知識をもとに、錬金術の三つの過程の一つ“再構築”をおこなうための錬成陣を入墨にして自分の左手に彫りこんでいたのでした。要するにツンデレがデレたってことですけれど傷の男はこれまでもずっとエドたちと共同戦線を張ってきたしものわかりもよくなっていたので意外感はあんまりなかったのでした。

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 一方エドはプライドと戦闘。むこうは扉を強引にこじ開けた無理がたたって身体の崩壊が進攻しつつあり、エド有利に進みます。ところでプライドの「きみは小柄だから、自分よりも大きい者とばかり戦ってきた。つまり、自分より小さい者と戦った経験がすくない!」のセリフに『はじめの一歩』の島袋岩男戦がはげしくデジャヴ。

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 もうすぐ日蝕の時刻なのでエドたち人柱は“お父様”に拘束され、錬成陣の位置へとつかされます。

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 そこへ颯爽とグリリンが登場! “お父様”の野望を粉砕し、みずから世界の王にならんとする!

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 でも何の役にも立ちませんでした。つかえねー。


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 数百年前のクセルクセスの悲劇、ふたたび。これまでのエドたちのがんばりにもかかわらず国土錬成陣が完成し、アメストリス国民の魂は賢者の石へと変えられてしまいます。まぁウィンリィたちが巻きこまれている時点で復活決定なわけですけど。それを言っちゃおしまいですか?



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